子供に多いシーバー病とは?成長痛の見分け方とマッサージ方法をご紹介!
カテゴリー:脚の痛み
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お子さんが運動のあとに『かかとが痛い』と訴えたことはありませんか?
もしかするとそれは「シーバー病」かもしれません。
痛みを放置すると治るまでに数ヶ月要するケースもあります。
「子供に多いシーバー病とは?成長痛の見分け方とマッサージ方法をご紹介!」にて正しい知識と対処法を知っていただき、お子さんを早く楽にしてあげてください。
Contents
シーバー病とは
シーバー病とは正式名称「踵骨端骨症(しょうこつこったんしょう)」別名シーバー病・セーバー病といい、スポーツ障害の一つです。
10歳前後の男の子に多くみられる障害で、運動の負荷によりアキレス腱と足の裏に付いている足底筋膜(そくていきんまく)が、発達が不十分なかかとの骨を引っ張り、かかとの骨に血流障害を起こします。
血流障害により十分な血流が行き渡らないために、かかとの骨の先に付いていた踵骨骨端核(しょうこつこったんかく)が壊死、または炎症を起こす障害で、成長痛とよく間違われることが多いです。
青矢印が筋肉が引っ張る方向、赤丸が痛みが出るところ、そして緑矢印が地面から受ける衝撃です。
成長痛とは明確に違う点を後ほどご説明します。
シーバー病に即効性のあるマッサージ方法
マッサージは硬くなった筋肉を緩めるのはとても有効です。
指で押すと指が痛くなるので、簡単に、しかも手軽にできる方法があります。
それは【竹踏み】です。
竹を半分に切り、その上で足の裏を踏み踏みするだけです。
足の裏を緩めるにはとても効果的で、昨年は患者さんに竹踏み用の竹を100本以上も配りました。
それだけ足の裏の筋肉が関わっている痛みが多いということですね。
毎日、両足で50歩ほど踏み踏みします。
踏む位置は足の裏の硬いところや踏んで痛いところになります。
最初は痛みが強いので、体重を乗せる加減を調節してください。
次第に踏めるようになってくると同時に、かかとの痛みも軽減していくことでしょう。
シーバー病を早く治す方法
では、シーバー病を早く治す方法には竹踏みのほかにどのような手段があるのでしょうか。
下記の対処をして1週間で痛みがなくなった例も当院ではあります。
症状に対して正しい対処をすると痛みが引くのも早いのですね。
では、一つ一つみていきましょう。
アイシング
シーバー病で運動後に痛みや腫れ感、熱感があるときには患部は炎症が起きているサインです。
すぐにアイシングをして炎症を最小限に抑えましょう。
方法はこちらをご覧ください→アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点
アイシングは治療の第一歩と認識してください。
アイシングをするかしないかでは症状の出方は大きく変わります。
できる限りスポーツの現場では氷を持参すると良いでしょう。
湿布
シーバー病に限らず「身体に痛みがある」となったら第一選択肢として湿布を使うのではないでしょうか。
- 腫れている
- 熱がある
- じっとしていてもズキズキする
という症状があるときにはとても効果的ですが、痛みが落ち着き、腫れや熱もなく、押さなければ痛みがないのでしたら、湿布を使う時期は過ぎたと考えられます。
ですが人の身体は人ぞれぞれ。
湿布を貼って楽に感じるのであれば、貼り続けても問題はありません。
ストレッチ
ストレッチでふくらはぎと足の裏を伸ばすとシーバー病の症状は変化しやすいです。
まずはふくらはぎのストレッチから。
- つま先と膝の向きは前
- かかとを床から離さないように前に出した足に体重を乗せる
- 2のときに膝は曲がらないように
ふくらはぎと膝裏が伸びていれば成功です。
気持ち良さを感じながら行いましょう。
ストレッチの方法についてはこちらをご覧ください→間違ったストレッチをしないために、知っておくべきこととは?
次に足の裏のストレッチです。
- つま先を立てて膝立ちになります
- そのままの姿勢でお尻を下ろして座ります
その姿勢で足の裏が伸びていれば成功です。
お尻に体重を乗せるとさらに足の裏は伸びやすくなります。
自分の手で行う方法はこちら。
- 膝を90度くらいに曲げて座る
- つま先を反るように足首も90度以上反る
このときに足の裏が伸びていれば成功です。
いずれのストレッチも痛みを感じながら行うのは禁忌です。
タイミングは特にありませんので、できるときに積極的に行いましょう。
お子さんが一人でできなければ是非ともサポートしてあげてください。
親御さんが関わることでお子さんも安心しますし、安心が筋肉をさらに緩めるます。
テーピング
テーピングを貼ると普段の動きが楽になりますのでオススメです。
足の裏とふくらはぎの筋肉をサポートするのはもちろんですが、地面をける動きもサポートするとさらに楽になります。
どこにも書いていないことですので、是非とも試してみてください。
足の裏のテーピングは50ミリと38ミリものを使います。
- かかとから親指と小指にかけて少し伸ばして貼る
- 親指側から始まり、かかとの外→内を通り、小指側に戻る
2でも少しだけテープに張りをもたせて貼ると良いでしょう。
次はふくらはぎのテープです。
38ミリのテープを使用します。
- かかとから始まり、膝の裏まで貼る
- かかとから始まり、ふくらはぎの内側と外側に貼る
2ではふくらはぎの左右の筋肉の盛り上がりを貼る目安にしましょう。
次の張り方が難しいのですが、この張り方をすると歩くのがとても楽になります。
- 内くるぶし上からスタート(写真左)
- 外くるぶし上を通り、かかとへ(写真左と右)
- かかとからアキレス腱を通り、外くるぶしの下から内くるぶし上へ(写真左)
少しややこしくて難しいかもしれませんので、写真を見て何回か貼ってみてください。
シーバー病を楽にするポイントはかかとへの荷重を減らすことです。
このテーピングは足首をサポート方法なのですが、結果かかとへの荷重を軽減してくれます。
リハビリ
よくリハビリの一環として筋トレがありますが、この年代への筋トレは必要ないと私は考えます。
筋トレというリハビリではなく、遊びを許可をした方が神経系や持久力系なども同時に鍛えられて、局所の筋トレよりも効果的だからです。
遊びの許可をする時期は【その場でジャンプをしても痛みがないこと】が一つの判断材料になります。
競技復帰の目安ですが、押しても痛みがなければ患部の炎症や損傷が修復されたという判断ができますので、安全に慎重に経過を見る場合には【ジャンプ動作が痛くなく、しかも患部を押しても痛くない】となったらGOサインです。
このGOサインを出す基準はシーバー病だけでなく、痛み全般に対して同じ評価で私は患者さんにお伝えしています。
超音波
シーバー病は軟部組織の再生を促せば痛みもなくなります。
そのような場合には、当院で使用している【伊藤超短波社:オステオトロン】がとても効果的です。
オステオトロンは《骨折治療機器》と表記する前には《靭帯の組織の修復にも効果がある》というほど、組織の修復に有効性を示していました。
通常靭帯は自然治癒しませんが、オステオトロンを使えば再生するのです。
シーバー病のような症状にはぴったりの治療機器となっています。
酸素ルーム
当院にも設置してある酸素ルームも、組織の修復を早めます。
ただ安静にして治るのを待つのではなく、積極的に組織の修復を促していくことで早期の競技復帰が望めるでしょう。
組織の修復だけでなく、骨折や肉離れ、疲労回復、捻挫などにもとても早い結果を導いています。
酸素ルームについてはこちらをご覧ください。
シーバー病は整形外科で診断
シーバー病の診断はレントゲンやMRIで患部の状態を診る必要があります。
最初に診断と患部の状態を見極めないと、適切な治療や施術が受けられずに症状を抱える期間を長くしてしまいます。
超音波でも見ることは可能ですが、かかとには脂肪があるため深いところまでは見にくく、適切な判断が出来ないこともありますので、整形外科にてレントゲンやMRIを撮ることを強くオススメします。
「成長痛だから休んでいれば治るでしょ」とは言わずに、整形外科に連れて行ってあげてください。
シーバー病が野球やサッカーに多い原因
シーバー病になる原因としては
- 運動量が多い
- 未熟な骨である
- 成長期である
- 扁平足、または骨のアライメントが崩れている
となります。
野球やサッカーは運動量が多いためになりやすく、そのほかにもバスケットボール、裸足で行う競技、剣道や体操、新体操などで抱える子が多いです。
起きやすい年代は10歳前後と活発に動く時期です。
動く量を調節することもなく動ける分だけ動く時期であり、実際に体力もついてきているので動けてしまいます。
活発に動くのはとても良いことなのですが、動いた分だけ身体には負担となり、かかとの骨は運動量に耐えきれず損傷してしまいます。
筋肉をつなぐ腱は必ず骨にくっついていて、筋肉が動くと腱は引っ張られ、腱は付いている骨を引っ張ってしまいます。
断続的に骨を引っ張られ続けて、柔らかい部分を剥がしてしまいシーバー病になるのです。
加えて運動量が多くなることと、成長期が重なると筋肉は硬くなり、筋肉が硬くなると腱の張力も強くなります。
【運動量が増える + 骨の成長が未発達 + 成長期】というタイミングの一致がシーバー病になる確率も高めてしまうのです。
大人はシーバー病にならない
大人になると骨は発達し、硬い組織が完成しているためシーバー病にはなりません。
大人になると骨は硬く発達しますが、代わりに筋肉や腱が硬くなり骨ではなく筋肉や腱を痛めるようになります。
骨よりも筋肉や腱が強いので子供のように骨が剥離するのではなく、骨は剥がれずに引っ張られてトゲのような骨棘になり、歩くときの荷重でかかとに痛みを感じるようになります。
シーバー病の症状
シーバー病になると出てくる症状は
- 運動後の痛み
- 腫れや熱感
- かかとを着くと痛い
- かかとを押すと痛い
- つま先立ちで歩くと楽
- 休むと楽になる
となります。
子供の感じる痛みで、歩くとかかとが痛く、押しても痛い場合にはシーバー病をまず疑います。
子供は痛みがなければ気づかずに動いて遊んでいるものです。
その夢中になれるものに対しても気になる痛みを感じるようになったら、すぐに治療・施術が必要になります。
もし痛がる素振りがあるようなら、お子さんの様子をその後は注意して見守ってあげてください。
インソールはシーバー病に効果的
シーバー病になる原因の一つには足のつき方や骨のアライメント(配列)の問題があります。
これは練習や意識ではどうすることもできませんので、インソールでカバーするしかありません。
骨のアライメントが崩れる原因も様々で、
- 生まれつきのもの
- ケガの後遺症
- 普段からの歩き方や身体の使い方
など、一度なってしまったら戻すのは大変困難です。
ですがインソールを靴の中に入れると、勝手に足のつき方を変えてくれるので意識も練習も全く必要ありません。
消耗品ではありますが、通院と通院のためのガソリン代、そしてお子さんの痛みという精神的苦痛に比べたら最も手軽で即効性のある対処法になります。
当院がオススメのインソールはフランスの会社の《シダス社》になります。
《シダス社公式HP》→https://sidas.co.jp/
競技や用途によってバリエーションも豊富ですし、最近では性能はそのままにランニングコストを考えて安価な製品も登場しました。
スポーツに限らず、登校で履く靴にも対応できますので是非ともご覧ください。
身長が伸びる成長痛との見分け方
シーバー病は身長が伸びる時期の多い成長痛に間違われますが、成長痛ではありません。
その違いを比べてみましょう。
シーバー病 | 成長痛 | |
起きやすい年齢 | 10歳前後の男の子 | 幼児から小学校低学年頃まで |
原因 | かかとへの負担(筋肉・成長期・足の着き方) | 原因不明 |
痛みタイミング | 運動後特に痛みがある
歩いていると痛い |
夕方から夜間が多い
不定期で一日中痛むことなはい |
痛い場所 | かかと周辺 | 脚全般(決まった場所はなく個人差あり) |
画像診断 | 異状あり | 異状なし |
基本的にはシーバー病と成長痛には大きな違いがありますので、この機会にお見知りおきください。
シーバー病にならないために
シーバー病にならないためには、
- 練習量や遊びの時間や強度の調節
- 運動後にはストレッチ
- 足にあった靴選び
この三点を抑えることです。
スポーツ指導者は子供の成長や運動強度を調節し、できる限り一人ひとりに目配りすること。
親御さんはデザインや材質よりも、足にあった靴選びの大切さをお子さんに伝えてあげてください。
子供は痛いところがなければ動きまわります。
ふとしたときに、お子さんが痛みを訴えるようでしたら早急に対処してあげてくだいね。
最初の行動と処置が経過を左右しますので、信頼できる先生に早くみてもらえるよう行動してあげましょう。