靭帯損傷とは?症状・治るまでの期間と早く治す方法
カテゴリー:お勉強シリーズ
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靭帯は、骨と骨をつないで関節を安定させ、動きすぎを防いでいる丈夫な組織です。
スポーツや転倒などで関節に強い力が加わると、靭帯が引き伸ばされ、一部または完全に断裂したりすることがあります。
これが「靭帯損傷」です。
靭帯損傷は、痛みが軽く歩ける場合でも起きていることがあります。
一方で、骨折や脱臼を伴っているケースもあるため、「ただの捻挫」と自己判断するのは禁物です。
この記事では、靭帯が伸びるとはどのような状態か、部位別の症状、治るまでの期間、応急処置、治療・リハビリについてわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 「靭帯が伸びた」は、軽度の損傷から部分断裂まで幅のある表現
- 靭帯損傷の多くは手術をせずに回復を目指せる
- 歩けても骨折や重い靭帯損傷を否定できない
- 適切な保護と段階的なリハビリが再発予防につながる
靭帯損傷とは
靭帯損傷とは、関節に通常の可動範囲を超える力が加わり、靭帯の線維が傷ついた状態です。
一般的には、損傷の程度によって次の3段階に分けられます。
| 程度 | 靭帯の状態 | 主な症状 |
| 軽度 | 靭帯が引き伸ばされ、線維に軽い損傷がある | 軽い痛みや腫れ。関節の不安定性は少ない |
| 中等度 | 靭帯の一部が断裂している | 腫れ、内出血、動作痛。関節が緩く感じることがある |
| 重度 | 靭帯が完全に断裂、または骨から剥がれている | 強い腫れや不安定感。機能が大きく低下することがある |
痛みの強さだけで損傷の程度を判断することはできません。
完全断裂でも意外に歩ける場合や、時間がたつと痛みが弱くなる場合があります。
「靭帯が伸びる」とはどのような状態?
日常的に使われる「靭帯が伸びた」という言葉は、正式な病名ではありません。
軽度に引き伸ばされて線維が傷ついた状態を指すこともあれば、部分断裂や、治癒後に関節の緩さが残った状態を指すこともあります。
そのため、「伸びた=必ず部分断裂」「一度伸びた靭帯は元に戻らない」と一律にはいえません。
診断では、受傷時の状況、腫れや圧痛、関節の安定性などを確認し、必要に応じてレントゲン、超音波検査、MRIなどを用いて損傷部位と程度を判断します。
靭帯損傷の主な原因
- スポーツ中の切り返し、着地、接触
- 足首や指を強くひねる
- 転倒して手や肘をつく
- 交通事故などで関節に大きな力が加わる
- 投球など、同じ動作を繰り返す
靭帯損傷は膝、足首、肘、手首、指など、さまざまな関節に起こります。
靭帯だけでなく、骨、軟骨、半月板、腱などを同時に傷めることもあるでしょう。
靭帯損傷でみられる症状
- 関節周囲の痛みや圧痛
- 腫れ、熱感、内出血
- 関節を動かしたときの痛み
- 体重をかけられない、物を握れない
- 関節がぐらつく、抜けるような不安定感
- 可動域の低下
- 受傷時の「ブチッ」「ポキッ」という感覚や音
症状は損傷した部位や程度によって異なります。
数時間後から腫れや内出血が強くなることもあるため、受傷直後に軽症と決めつけないようにしましょう。
部位別にみる靭帯損傷の症状
膝の靭帯損傷
膝には前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯などがあります。
主な症状は次のとおりです。
- 膝の痛みや急な腫れ
- 関節内に血がたまる
- 膝が抜ける、ぐらつく感じ
- 膝を曲げ伸ばししにくい
- 歩行、階段、方向転換が不安
靭帯損傷と同時に半月板損傷や骨折を伴うこともあります。
受傷直後に大きく腫れた、膝崩れを繰り返す、伸ばしきれない場合は、整形外科で検査を受けましょう。
足首の靭帯損傷
足首を内側または外側へ強くひねる捻挫で起こります。
特に多いのは、足裏が内側を向くようにひねって外くるぶし周辺の靭帯を損傷するケースです。
- 外くるぶし・内くるぶし周辺の痛み
- 腫れ、熱感、内出血
- 体重をかけると痛い
- 足首を動かしにくい
- 繰り返し捻る、ぐらつく
捻挫では靭帯損傷が起こり得ますが、すべての捻挫が同じ程度の損傷ではありません。
また、剥離骨折や足首周囲の骨折が隠れている場合があります。
→足首捻挫が治らないのは後遺症かも!?リハビリとセルフチェック方法
下記の画像は院長の足首の靭帯損傷をエコーで写したものです。

肘の靭帯損傷
転倒して手をついたときや、野球などの投球動作を繰り返したときに起こります。
- 肘の内側または外側の痛み
- 押したときの痛み
- 腫れや熱感
- 投球時の痛みや力の入りにくさ
- 肘の不安定感、曲げ伸ばしの制限
成長期の投球障害では、靭帯だけでなく成長軟骨や骨の障害も考える必要があります。
違和感の段階で投球量を調整し、専門家へ相談してください。
指の靭帯損傷
ボールが当たる、転倒する、布や衣類に指を引っかけるなどして起こります。
- 指関節の腫れや内出血
- 曲げ伸ばしや横方向の動きで痛い
- 物をつまみにくい
- 指が横へ曲がる、不安定に感じる
脱臼や剥離骨折、腱損傷を伴うこともあります。
変形している場合は、自分で引っ張って戻そうとしないでください。
靭帯損傷は自然治癒する?
靭帯損傷の多くは、適切な固定・保護とリハビリにより、手術をせずに回復を目指せます。
足首では、完全断裂であっても適切な固定と機能的なリハビリによって手術を行わないケースも多いです。
ただし、すべての靭帯が同じように治るわけではありません。
- 損傷した靭帯の種類と場所
- 部分断裂か完全断裂か
- 関節の不安定性
- 骨折、半月板、軟骨などの合併損傷
- 年齢、喫煙、基礎疾患
- 仕事や競技で求められる動作
これらによって治療方針は異なり、膝の前十字靭帯断裂などでは、年齢や活動レベル、不安定感、合併損傷を踏まえて手術が検討されます。
「靭帯損傷は自然には修復されない」「手術や超音波治療器が必ず必要」というわけではありません。
靭帯損傷を早く治すために大切なこと
1.受傷直後は患部を保護する
無理に歩いたり、関節の緩みを何度も確認したりせず、まず患部を保護します。
- 痛みの感じる動作を中止する
- 必要に応じてサポーターや副木で支える
- 腫れが強い場合は患部を心臓より少し高くする
- 冷却で楽になる場合は、皮膚に注意して行う
圧迫が強すぎると血流や神経を妨げることがあります。
しびれ、指先や足先の冷たさ、皮膚色の変化が出たらすぐに緩め、医療機関へ相談してください。
2.骨折や脱臼の有無を確認する
靭帯損傷と骨折は症状が似ています。
強い腫れ、変形、骨の一点を押した強い痛み、荷重できない症状がある場合は、整形外科でレントゲンなどの画像検査を受けましょう。
3.固定しすぎず、適切な時期から動かす
固定は損傷部を守るために必要ですが、必要以上に長く固定すると関節が硬くなり、筋力も低下します。
近年は損傷部を装具やサポーターで保護しながら、状態に応じて早期から可動域訓練や荷重練習を行う「機能的治療」が選択されるケースが多くなってきました。
開始時期と運動範囲は自己判断せず、損傷部位と程度に合わせて決めます。
4.リハビリを途中でやめない
痛みが減っても、関節の動き、筋力、バランス能力、不安定感が十分に戻っていないことがあります。
特に足首や膝では、可動域訓練、筋力強化、片脚バランス、着地や方向転換の練習を段階的に行うことが再発予防につながりますので、最後までやり切りましょう。
5.復帰は痛みだけで判断しない
スポーツ復帰では、次の点を確認します。
- 腫れや痛みがなくなった
- 左右に近い可動域がある
- 筋力が回復している
- 片脚で安定して立てる
- 走る、跳ぶ、止まる、方向転換が安全にできる
- 競技動作を段階的に行える
- 以前のように怖さなく動けるようになった
「痛くない=靭帯が治った」とは限りません。
靭帯損傷の治療とリハビリ
保存療法
損傷部位や程度に応じて、次の方法を組み合わせます。
- テーピング、サポーター、装具、ギプスなどによる保護
- 痛みや腫れへの対応
- 関節可動域訓練
- 周囲の筋力トレーニング
- バランス・固有感覚トレーニング
- 動作やフォームの修正
軽症でも、再発を繰り返すと関節の不安定感が残ることがありますので、適切な段階までリハビリを継続しましょう。
手術療法
完全断裂だから必ず手術になるわけではありません。
次のような場合に、靭帯の修復・再建手術などが検討されます。
- 関節の強い不安定性が残る
- 骨折や半月板損傷などを合併している
- 保存療法を行っても日常生活や競技に支障がある
- 高い競技レベルへの復帰を希望している
- 損傷した靭帯の種類や年齢から手術が適すると判断された
手術の必要性は、整形外科医と相談して決めていきましょう。
超音波・酸素ルーム・加圧式トレーニングについて
「白石接骨院いとう」では、損傷の状態を確認しながら、超音波、酸素ルーム、加圧式トレーニングなどをご案内しております。
靭帯の種類や損傷度によって適応は異なり、治癒を保証するものでもありません。
伊藤超短波社製のオステオトロンは低出力パルス超音波の機器ですが、主な適応は骨折治療です。
靭帯損傷への使用については一律に「靭帯が修復する」と断定せず、医師の診断や損傷状態を確認したうえで補助的に検討します。
※画像はオステオトロン
靭帯損傷が治るまでの期間
治るまでの期間は、部位、損傷度、合併損傷、治療法、年齢、仕事やスポーツの内容によって大きく異なります。
一般的な捻挫では数週間で日常動作が楽になることがありますが、重度の損傷では数か月以上かかる場合があるでしょう。
痛みが落ち着く時期、靭帯の治癒、仕事やスポーツへ完全復帰できる時期は一様に同じではありません。
足首
軽度では数週間で改善することがあるでしょう。
中等度以上では6〜12週間程度、重度や不安定性が残るケースでは数か月かかることもあります。
「最短で翌日に治る」と考えて競技へ戻ると、再受傷する危険がありますので、専門家と施術計画を立てて進めていきましょう。
膝
損傷した靭帯によって大きく異なり、軽い内側側副靭帯損傷では数週間で改善する場合がありますが、重度損傷や前十字靭帯損傷、複合損傷では数か月以上を要します。
手術後の競技復帰には長期間のリハビリが必要です。
肘
軽度では数週間で日常動作へ戻れる場合があります。
一方、投球による靭帯損傷では投球フォームや負荷管理を含む段階的な復帰が必要です。
手術を行った場合でも、必ず年単位かかるわけではありませんが、競技復帰には長い期間を要することがあります。
指
軽症では数週間、部分断裂や骨折を伴う場合は6週間以上かかることがあります。
腫れやこわばりは、組織が治ったあとも数か月残る場合がありますが、これらはあくまで目安です。
診察や画像所見を確認し、担当者の指示に従ってください。
靭帯損傷でも歩けるのはなぜ?
靭帯を損傷しても、すべての支持機能が失われるとは限りません。
筋肉やほかの靭帯が関節を支えていたり、部分的な損傷で安定性がある程度保たれていたりするため、歩ける場合があるでしょう。
また、周囲の関節包や骨などの損傷も痛みに影響します。
そして歩けることだけで軽症とは判断できませんので、骨折や完全断裂が隠れている場合もあるため必要な検査を受けるようにしましょう。
痛みや腫れが長引く原因
- 初期の固定と安静期間が不十分だった
- 損傷の程度に合わない運動を続けた
- リハビリを痛みが減った段階で中止した
- 関節の可動域や筋力が戻っていない
- 靭帯の緩さや関節の不安定性が残っている
- 骨折、軟骨、半月板、腱などの損傷を伴っている
痛みが続く理由は、周囲組織の修復だけとは限りません。再評価によって別の損傷が見つかることもあります。
早めに整形外科を受診したほうがよい症状
- 関節に明らかな変形がある
- 強い腫れや内出血が急速に広がる
- 体重をかけられない、手を使えない
- 関節が大きくぐらつく
- しびれ、感覚低下、指先・足先の冷たさや色の変化がある
- 傷口があり、骨や関節まで達している可能性がある
- 膝が伸びない、関節が引っかかって動かない
- 数日たっても改善しない、または症状が悪化する
MRIが必ず最初に必要とは限りませんが、診察とレントゲンなどで骨折の有無を確認し、必要に応じてエコーによる検査やMRIを行います。
白石接骨院いとうでの対応
当院では、受傷状況、腫れや内出血、圧痛、関節の動き、不安定感、歩行やスポーツ動作などを確認しその後の施術内容や必要な期間などを患者さんにお伝えしますが、
骨折、脱臼、重度の靭帯損傷、神経・血管損傷などが疑われる場合は、施術より画像検査を優先し、整形外科をご紹介します。
施術が可能な場合は、損傷部を守る固定やテーピング、患部に負担をかけにくい身体の使い方、状態や症状に応じた施術とリハビリをご提案し、早期の症状軽減を目指します。
よくある質問
靭帯損傷と捻挫は違うのですか?
捻挫は、関節に外力が加わって起こるケガの総称で、その際に靭帯や関節包などが損傷します。
つまり、靭帯損傷は捻挫で起こる代表的な損傷のひとつです。
靭帯損傷はレントゲンで分かりますか?
通常のレントゲンでは靭帯そのものは写りませんが、骨折や剥離骨折、関節の位置関係などを確認できます。
靭帯の評価には診察に加え、必要に応じて超音波検査やMRIを用います。
痛くなくなればスポーツへ戻ってもいいですか?
痛みがなくても、筋力やバランス、不安定感が回復しているとは限りません。
競技に必要な走る・跳ぶ・止まる・方向転換などを段階的に確認してから復帰しましょう。
靭帯損傷は手術しないと治りませんか?
多くの靭帯損傷では、固定や装具、運動療法などの保存療法が行われるのが一般的です。
完全断裂でも手術をしない場合がある一方、損傷部位、関節の不安定性、合併損傷、活動レベルによっては手術が適するケースがあります。
まとめ
靭帯損傷は、靭帯が軽く引き伸ばされた状態から部分断裂、完全断裂まで程度の幅があります。
軽い痛みで歩ける場合でも、骨折や重度損傷を否定できません。
受傷直後は患部を保護し、強い腫れ、内出血、変形、不安定感、荷重困難がある場合は、早めに整形外科で検査を受けましょう。
回復を急ぐには、必要な固定を行ったうえで、適切な時期から可動域・筋力・バランス訓練を段階的に進めることが大切です。
靭帯損傷や捻挫について疑問がある方は、LINEからお気軽にご相談ください。
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参考情報
- 日本整形外科学会「膝関節捻挫」
- 日本整形外科学会「足関節捻挫」
- AAOS「Sprains, Strains and Other Soft-Tissue Injuries」
- AAOS「Sprained Ankle」
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。診断や治療に代わるものではありません。
