圧迫骨折時の座り方とやってはいけないこと、痛み軽減のために出来ること
カテゴリー:腰の痛み
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起き上がるときや寝返りをするときに痛みが生じる「圧迫骨折」。
高齢者の方に多いのが特徴ですが、若い方には起きないというわけではありません。
今回は、圧迫骨折になった時の座り方ややってはいけないこと、痛み軽減のために出来ることについて詳しく解説いたします。
Contents
圧迫骨折とは
圧迫骨折とは、
脊椎圧迫骨折は背骨の椎体がつぶれて扁平になったものです。
多くは後方へ転倒し尻餅をついたときに生じます。 その他にお米や布団などの重いものを持ったりしたときや、畑作業や草むしりなどの作業を長時間行っても生じることがあります。
「みぞおち」の後方にある背骨(胸椎と腰椎の移行部)に骨折が生じやすい
痛みには特徴があり、寝ている姿勢から起き上がろうとする瞬間に鋭い痛みが生じ、一旦立ち上がればあまり痛くなく、歩行もなんとか可能というもので、「体動時腰痛」といわれます。
通常はよほど大きな力が加わらなければ骨折することがありませんが、年齢とともに骨が脆くなり少しの外力で骨折することもあります。
若年者より閉経後の女性に多く発生しやすい傾向です。
圧迫骨折時の座り方
圧迫骨折時の座り方は、できるだけ骨折部に負担をかけないことが大切です。
椅子にドスンと勢いよく座ったり、背中が丸まった状態で長時間座るのは避けましょう。
椅子に座るときは、腰ができるだけ曲がらないよう、そしてゆっくり座るのがオススメです。
座椅子に座ると腰が曲がる座り方になりますので、正座や背もたれのある椅子に深く座るのが最も楽な座り方になります。
コタツや掘りごたつなども寒い時期には暖かくて良いものですが、圧迫骨折時には出来るだけ椅子に座るようにしましょう
圧迫骨折時にやってはいけないこと
圧迫骨折時にやってはいけないことは、重いものを持ち上げたり体をひねる動作は危険です。
また、買い物の際には出来るだけカートを利用するなどして重いものを持つ動作は避けましょう。
どうしても持たなければいけない時には片手で荷物を持つのではなく、小分けにして両手で持ち負担を分散させると負担の軽減になります。
受傷後はコルセットを着用し、骨折部に負担がかかる動作を制限すると症状も楽になるでしょう。
圧迫骨折の時の起き上がり方
圧迫骨折の時の起き上がり方は、普段とは違う身体の使い方で症状を軽減できます。
仰向けから勢いよく起き上がるのは大変危険で、しかも痛みが強く出ます。
仰向けの状態からまずは横向きになり、ベッド側の肘を使って少しずつ上体を起こしていきましょう。
起き上がり方は肋骨骨折の時と同じになりますので、詳しくはこちらをご覧ください。
→肋骨骨折でも楽に過ごす方法をご紹介!寝方と起き上がり方のコツとは!?
圧迫骨折の治療とリハビリ
圧迫骨折の治療とリハビリをご紹介します。
圧迫骨折の起きるところは背骨という身体の中心、かつ深いところの骨折ですので、基本的には固定して自然に骨がくっつくのを待つしかありません。
ただし、中には手術が必要なケースもあるので、圧迫骨折が疑われる場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
自宅療養
医療機関を受診して圧迫骨折と診断されたら、軽度の骨折であればコルセットで固定をしてそのまま自宅に帰ることができます。
ある程度普通に日常生活を送ることはできますが、以下のような動作は圧迫骨折の回復を遅らせてしまうので注意しましょう。
- 後ろを振り向く動き
- 靴下やズボンの着脱
- 床にあるものを拾う動き
- 頭を洗う時の屈む動き
- 寝返りや起き上がり
体をひねったり丸めたりする動作は、日常生活でついやってしまう動きです。
しかし、これらが骨折部の回復を遅らせる原因になるので、なるべく骨折部に負担をかけないように気をつけて生活をしましょう。
痛みが強かったりどうしてもしなければいけない動きがある場合には、誰かの助けを借りて出来るだけ症状の悪化を防ぎたいものです。
コルセットで固定する期間
背骨は、立ったり座ったりするたびに筋力と重力によって圧力がかかります。
圧迫骨折時には患部への圧迫力が回復を遅らせる原因になるので、コルセットを装着して骨折部を安静に保ちます。
コルセットの着用期間は、受傷直後から痛みや骨の状態の経過を観察しながらとなります。
傾向としては受傷から2か月ほどでコルセットなしでも生活できるようになることが多いです。
コルセットは基本的には常に着用しての生活になりますが、痩せ型の方は床ずれのようになってしまうこともあるので注意が必要でしょう。
リハビリの開始時期
圧迫骨折のリハビリ開始時期は症状や患部の状態によって異なりますが、軽度のものであれば痛めてすぐから始めることができます。
【受傷直後】
痛めてからコルセットの完成までに少し時間がかかる場合は、立ったり座ったりする動作は危険なので基本的にベッドで安静にして過ごします。
ただ、安静にしている期間にも全身の筋肉は落ちてしまうので、骨折部に負担がかからない程度に手足を動かしたり筋力トレーニングが必要です。
【コルセット着用期間】
コルセットが完成したら、積極的に歩行訓練や下肢の筋力トレーニングを行い、高齢者の場合は転倒の防止のために筋力アップやバランス感覚の向上を目指します。
「トレーニング」という意識よりも日頃行わない動きを行う、という方がハードルも高くなりすぎずに行えるでしょう。
【コルセット終了後】
コルセットが外れたら全身の筋肉が衰えないように定期的に運動を続けていくこと、さらに良い生活を送れるでしょう。
《怪我の功名》ではありませんが、動く機会を機に運動をする習慣を身につけて将来の生活を質の良いものにしたいものですね。
手術が必要な場合
手術が必要な場合は保存療法で治る見込みがない、長期の安静が適していないなどの理由があると手術による治療が行われます。
保存療法では大きくて硬いコルセットを着用するので、高齢者の方にとっては少し負担が大きくなります。
一方、手術は体への負担が少ないので高齢者に適した治療法と言えるでしょう。
圧迫骨折の後遺症
押しつぶされた背骨が周りの組織を圧迫して、麻痺やしびれなどの後遺症が残る場合があります。
また、さらに重症化すると寝たきりになる可能性もあるのです。
骨の変形が激しかったり、連鎖して骨折が起こることによって背骨が変形して猫背や前傾姿勢に繋がることもあるので注意が必要です。
出来るだけ症状を緩和して、しかも動きを制限しすぎず、早い時期より運動を開始すると後遺症も小さくできるでしょう。
高齢の方は身体の痛みが招く意欲の減退や固定などによる動きの制限などで筋力が著しく落ちてしまい、動きの量や質、姿勢が大きく変わることも珍しくありません。
場合によっては痛みを感じながらも普通に生活をした方が後遺症が残らないケースもあります。
きちんと先生と相談して適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
圧迫骨折の症状
圧迫骨折の症状は、骨折部の場所や痛めたところの状態にもよりますが、基本的には以下のような症状が見られます。
- 寝返りや起き上がり時の背中の痛み
- 体を動かすたびに重い痛みを感じる
- 痛みが強く前かがみでしかいられない
このような症状が見られたら圧迫骨折の可能性が高いですが、中には全く痛みがないケースもあります。
何かの機会にレントゲンを撮ったら過去に圧迫骨折が起きていた、なんてこともあるくらいです。
骨の状態を診るにはレントゲンが最も簡単で早期に確認できる診断方法です。
上記の症状があった場合には我慢せずに病院を受診すべきでしょう。
圧迫骨折の原因
高齢者に起こる圧迫骨折のほとんどは、骨粗しょう症による骨密度の減少が原因です。
背骨は骨粗しょう症の影響を受けやすく、尻もちや軽微な転倒などちょっとした外力でも骨折してしまいます。
骨粗しょう症と医師より指摘を受けた方は、普段から転倒しないように環境の整えや、定期的な運動が必要でしょう。
若年者の場合には高所からの転落や交通事故などの大きな外力によって圧迫骨折が起こるケースがほとんどとなっています。
圧迫骨折のチェックリスト
圧迫骨折のチェックリストもご紹介します。
高齢者で腰の痛みが生じたときに加齢によるものだと自己判断して、実は圧迫骨折だったというケースも珍しくありません。
以下のチェックリストで該当するものが多いほど圧迫骨折の可能性があります。
- 背中や腰にいつもとは違う痛みが数日続いている
- じっとしていれば痛みはないが、前かがみやひねる動作で痛みが強くなる
- 寝返りや起き上がり時に痛みが生じる
- 以前より背中が丸くなって身長が縮んだ
- 骨粗しょう症と診断されている
ご自身はもちろん、ご両親にも当てはまる場合には速やかに病院に受診しましょう。
圧迫骨折で痛みが取れない理由
圧迫骨折で痛みが取れない場合も稀にあります。
何か月経っても痛みが取れないのは
- 骨がぺちゃんこに押しつぶされて骨が再生不能となっている
- 固定によって組織や筋肉の硬くなっている
などが痛みを長引かせてしまう原因と考えられます。
原型がないくらいに潰れてしまったものは、いつまで経っても骨はできませんので、骨が再生不良の場合には手術が必要です。
痛めたところをカバーするために本来あるはずのない場所に関節ができ、周りの組織を圧迫してしまうので痛みが生じます。
そして長期の固定によって周りの組織や筋肉が硬くなり、動く度に動かない組織や筋肉へは負担となり痛みとして感じるのです。
ですが基本的には回復しやすい骨折で、きちんと固定していれば自然に回復していくのも圧迫骨折の特徴でしょう。
圧迫骨折を予防するには
高齢者の圧迫骨折は骨が脆くなることによって起こりますので、適度な運動や規則正しい生活、バランスの良い食事などを心がけて骨粗しょう症を防ぐことが大切です。
すでに骨粗しょう症と診断されている場合は、骨粗しょう症の治療とともに、背骨への負担を避ける生活を送りましょう。