マレットフィンガーの症状とは?原因と治療法、よくある疑問にお答えします
カテゴリー:指の痛み
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運動中の突き指や、日常生活の中で何かに指を引っ掛けたなどが原因で指が不自然に曲がってしまっている…。
その状態はもしかすると、マレットフィンガーの可能性が高いと言えるかもしれません。
マレットフィンガーは指の第一関節が曲がりそのまま動かせなくなる状態のことで、日常生活に大きな支障が出るだけでなく、女性の場合、見た目にも影響を及ぼします。
今回はマレットフィンガーの症状や原因、よくある疑問に解決策をまとめてお伝えしていきます。
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Contents
マレットフィンガーとは
さてマレットフィンガーとはどのようなものなのでしょうか。
指の第1関節が木槌のように曲がった状態になるので、マレット変形と呼ばれます。マレット変形のなかには、伸ばすスジ(腱)である伸筋腱が伸びたために生じるものと第1関節内の骨折が生じて起こるものがあります。
マレットフィンガー:日本整形外科学会
第一関節とは爪に一番近い関節(赤丸)です。
指先の突き指、打撲などでも起こり得ることがあるマレットフィンガーには、腱性(けんせい)マレット指・骨性(こつせい)マレット指の2種類があります。
それぞれのマレットフィンガーについて見ていきましょう。
腱性マレット指
腱性マレット指は、指を伸ばす伸筋腱(しんきんけん)という腱が断裂した状態のことを言います。
腱性マレット指をそのまま放置してしまうと、PIPという関節が過剰に伸びてしまい、スワンネック変形になってしまうことも。
骨性マレット指
骨性マレット指は、指の末節骨の関節内骨折が生じていることを指します。
骨性マレット指を放置してしまうと、関節の脱臼を起こしてしまうリスクが高くなります。
マレットフィンガーの症状
マレットフィンガーは、腱性マレット指・骨性マレット指で症状に違いがありますのでご紹介します。
腱性マレット指の症状(下記の写真参考)には、
- 指の第一関節のDIPという関節が曲がったままの状態
- 伸ばす腱が切れているため、自力で指が伸ばせない
- 痛みを感じないことがほとんどのため、症状に気付きにくい
などがあります。
腱性マレット指はボールでの突き指、布やドアに指を引っ掛けた、弾かれたことが原因で起きやすい障害です。
骨性マレット指には、
- 骨折のため腫れや痛みが強い
- 痛み方もズキズキするため、異常に気付きやすい
- バレーボールやバスケットボールなどの指を酷使するスポーツで起こりやすい
などの特徴・症状があります。
骨性マレット指は骨折をしている状態でも、ある程度は自力で指を伸ばすことができるのも大きな特徴です。
マレットフィンガーの治療法
マレットフィンガーの治療法も知っていると安心できるかと思います。
マレットフィンガーはスポーツを習慣にしている人や、指を酷使する仕事、そのほか日常の何気ない動作の中でも起きうる障害ですので、決して他人事ではない指のトラブルです。
ここからは、マレットフィンガーの主な治療法3選を解説していきます。
固定期間
腱性マレット指の場合は、安静にする保存療法が基本となり、指の第一関節のDIPを真っ直ぐに伸ばした状態で6週間の固定を行い、回復を待ちます。
骨性マレット指の主な治療法には手術による整復固定が原則だと考えられています。
この理由は、骨性マレット指を放置してしまうと、関節の脱臼につながりかねないためです。
腱性マレットになったにもかかわらず、放置していた場合には、自然治癒が望めないために手術の選択となるでしょう。
整復固定の手術は切開の必要がなく指だけの局所麻酔で、しかも短時間で終了しますので、一般的に行われている手術の一つです。
ストレッチ
マレットフィンガーにおけるストレッチは時期を誤ってしまうと再び症状が出てくる場合がありますので、先生の指示のもとに開始してください。
ストレッチの方法ですが、指の曲げ伸ばしの動きがメインになります。
自力では伸ばせないため、片方の指で曲がらない、伸びない指先を伸ばしてあげましょう。
しっかりと固定をして、患部の組織の修復が画像で確認できたのちには、積極的に指を動かしてあげましょう。
組織が硬くなっているため、動かすと痛みを感じますが、我慢できる痛みであれば積極的に動かした方が動きも良くなります。
リハビリ
マレットフィンガーのリハビリは、これまでに固定していた指の第一関節を、自分の力で自由に動かすことが目的となります。
固定していた指を意識を持って積極的に使うようにしましょう。
動かし始める時期と誤ると再負傷してしまう恐れがありますので、先生の指示のもと動かしてください。
マレットフィンガーを装具で治す
腱性のマレットフィンガーの場合は、患部を固定して安静を保つスプリントなどの装具が使用されることもできます。
マレットフィンガーのスプリントは、インターネットの通販サイト、整形外科や接・整骨院でも取り扱いがあるので、症状に合った商品選びを先生に相談してみましょう。
骨性マレットフィンガーの場合には、痛みが強く、しかも後遺障害を残す場合もありますので自分で治すより、先生にみてもらうべきです。
マレットフィンガーを自分で治すには
マレットフィンガーを自分で治すには身体に関する専門的な経験と知識が必要です。
ご自身で装具を購入して固定をするのは簡単ですが、自分で治すにおいても最も難しいのは《固定装具を外すタイミング》です。
先ほどもお伝えしましたが、早期に外すと再負傷のリスク(腱がきれる、骨折面が離れる)があり、逆に長く固定しすぎると関節や組織の拘縮(固まること)が起こり、ケガをする以前のような関節の動きを取り戻せなくなります。
できる限り先生のお世話になり、指の動きが戻るまできちんと治しましょう。
マレットフィンガーを放置するとどうなるのか
ではマレットフィンガーを放置するとどうなるのでしょうか。
マレットフィンガーは、指の先端の骨にくっついている伸筋腱が断裂していたり、骨折が起きている状態のため、放置すると
- 指の第一関節が伸びない、または曲げられない
- 手術が必要になる
- 脱臼のリスクが高まる
ことがあります。
腱性のマレットフィンガーの場合、痛みがないために放置して、指が伸びない状態の方が珍しくありません。
人差し指から小指までは結構起きやすい障害ですし、変形が残ってしまうため女性の場合は、見た目も少し気になってしまうでしょう。
マレットフィンガーの後遺症
マレットフィンガーの後遺症には、先程の放置するリスクと同じようにはなりますが、その他に
- 指の変形が見られるスワンネック変形になる
- いつも腫れているような指の状態のまま
- 手術などの他の治療が必要になる
- 関節の硬さ、こわばりが長期間続く
などがあるため、
何かのきっかけで【指が曲がらない、腫れている】などの症状を感じた際には、すぐに超音波やレントゲンで患部の状態を見てもらいましょう。
マレットフィンガーに関する疑問アレコレ
続いては、マレットフィンガーに関する疑問アレコレをわかりやすく解説していきます。
マレットフィンガーの疑問や不安、悩みを早めに解決して、指の健康を早く取り戻していきましょう。
手術が失敗するとどうなる?
マレットフィンガーによる手術が失敗すると、再度の手術を受けなけらばならなくなったり、場合によっては痛みや不快感、しびれなどが長期化し、指の曲がりが完治しないリスクもあります。
最近では肘から先を専門に診る整形外科もありますので、実績があり、信頼できる院と先生を選ぶようにしましょう。
腫れが引かないのはなぜ?
マレットフィンガーの腫れが引かないのは、
- 骨性マレット指による骨折を伴っている
- 骨折した患部が炎症を起こしている
- 安静や固定の期間が不十分
などの原因が考えられるため、腫れが長引いている際は早めに先生に相談してください。
お風呂で動かしていいの?
固定期間にもよりますが、マレットフィンガーの固定中に入浴する際には、装具を取り外して、指に負担がかからない程度の動き、曲げ伸ばしは問題はありません。
くれぐれも早期の指への過度な負担だけは避けてください。
【まとめ】マレットフィンガーにならないために
指のちょっとした動きやスポーツ時にも起こり得るマレットフィンガーは、その異状に早めに気付き、適切な処置を受けることが悪化・長期化しないためのポイントです。
何かしらの異状を感じた際には自己判断せず、適切な処置を受けてくださいね。