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公開日:2024年10月3日

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成長期の男児に多く見られるオスグッドは、身体全体を支え、柔軟な動きをサポートする膝のトラブルとなるため、親御さんも心配に感じるかもしれません。

エネルギッシュに活動することこそが成長期の男児の楽しみでもありますので、オスグッドがどのような症状なのか、原因と予防策を早めに理解しておきたいもの。

この記事では、オスグッドが治らない理由やオスグッドに関する疑問にお答えします。

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院長:伊藤良太
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オスグッドとは?

オスグッドとは、

 10~15歳の成長期の子供が、跳躍やボールをけるスポーツをし過ぎると、発生します。
大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の力は、膝蓋骨を経由して膝を伸展させる力として働きます。膝を伸ばす力の繰り返しにより、大腿四頭筋が膝蓋腱付着部を介して脛骨結節を牽引するために、脛骨結節の成長線に過剰な負荷がかかり成長軟骨部が剥離することで生じます。
この時期は急激に骨が軟骨から成長する時期です
オスグッド病:日本整形外科学会

正式名称も【オスグッド・シュラッター病】と言います。

オスグッドは、簡単にお伝えすると、太ももの筋肉が膝の下に着く骨を引っ張ってしまい、痛みや腫れ、骨の隆起が起こるものです。

子どもが好むバスケットボールやバレーボール、サッカーなど、膝に負担がかかりやすいスポーツが原因で起こるスポーツ障害です。

オスグッドの症状

小学校高学年から中学生の男児に特に多いオスグッドですが、その男女比は

ジュニア期スポーツ障害患者の総数は512症例であった。男性が394症例で、女性は118症例であり、平均年齢は12.8土 1.8歳であった。

ジュニアアスリートのスポーツ障害発生の背景:日本整形外科看護研究会誌

と、女児の3倍以上も多いというデータもあります。

スポーツでは膝に負担がかかるため、少しの痛みではオスグッドの症状に気付けないケースも実は多いと現場で私は感じています。

オスグッドの症状を段階に分けると…

中度の症状からは軟骨が剥がれている状態のため、膝の下のお皿にはいつもと違った症状を感じることでしょう。

超音波(アコー)では、赤丸の部分のような明らかな骨の形状の変化が見られます。

オスグッドになりやすい年齢・性別・環境

オスグッドになりやすい人には、次のような特徴があります

またオスグッドは、膝にそこまでの負担がかからないスポーツでも起こり得ることがあります。

成長期の子どものトレーニングの一環として、以前はうさぎ跳びが行われることもありましたが、これが禁止された背景には、オスグッドの発症につながりやすいリスクが懸念されたためでもあるのです。

オスグッドを予防するには

オスグッドは、成長期の過程で太ももの前の筋肉となる大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の硬さが根本的な原因と考えられています。

そのため、10~15歳の成長期の子どもがスポーツをする際には、その前後に念入りなストレッチを行い、太ももの前にある筋肉の柔軟性の維持が重要です。

ここでは、オスグッドを未然に防ぐセルフケアをご紹介します

【ストレッチのやり方】

※床に両手をつきながらのストレッチもOKです。

ストレッチについてはこちらをご覧ください。

間違ったストレッチをしないために、知っておくべきこととは?

運動後には氷や保冷剤、冷やしたタオルなどでアイシングをし、炎症を最小限に抑えましょう。

アイシングの方法についてはこちら。

アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点

オスグッドを予防して子どものスポーツシーンを安心して見守るためにも、

というポイントを、指導者の方には意識してほしいと強く思います。

オスグッドが治らない要因

スポーツ時の動きに気を付けていたり、運動前後のストレッチ、アイシングを欠かさずに行っていてもオスグッドが治らない場合は、乖離(はくり)骨折などの重大な病気が併発している可能性があります。

先ほど紹介した重度よりも症状はひどく、日常生活の動作(階段やトイレで座る動作)でも強い痛みを感じるため、かなりの不便を強いられるでしょう。

オスグッドは子どもの骨の成長がストップした時期や1~2週間程度で痛みが引く傾向があるため、考えられる期間以上に痛みが続いている場合は、早めにドクターに診てもらうべきです。

そして、一度症状が無くなったとしても再び身体に負担となる動きや、筋肉の柔軟性が低下すると再び痛みは戻ってきます。

成長期を過ぎるまで上手に付き合っていく必要があると私は現場で感じています。

オスグッドの治療方法と治療期間

オスグッドの治療方法と治療期間もみなさん気になるところでしょう。

オスグッドの痛みや不快感を早期に改善・予防するには、以下のような方法が選択されています。

安静

患部を休めることがオスグッドの基本治療となり、今までよりも運動を制限することを第一に優先してください。

数週間~1ヶ月程度の安静期間を経て患部の状態・症状に合わせて運動を開始していきます。

ストレッチ

ストレッチによりオスグッドに最も関わっている大腿四頭筋を緩めると、脛骨粗面(けいこつそめん)というオスグッドの痛みを感じる箇所が引っ張られるのを緩和します。

この時期にスクワットなどの筋肉に負担をかける運動はできるだけ避けたほうが無難でしょう。

テーピング

大腿四頭筋や膝関節へのテーピングにより症状の緩和は十分に望めます。

ただし、テーピングは毎日巻き続けていくと皮膚が荒れたり、痒くなったりしますので、大切な試合の時やどうしても休めない時だけに張るようにしましょう。

テーピングの効果についてはこちらをご覧ください。

テーピングの効果って?効果を最大限活かすための注意点と疑問アレコレ

サポーター

オスグッドサポーターという便利なサポーターがあり、テーピングのように皮膚が荒れることもなく、毎日装着が可能ですので一度試してみる価値は十分にあります。

定番はこちらのタイプ。

お皿と痛みのある間を圧迫して、太ももの筋肉に引っ張られるのを防ぐ目的のサポーターです。


ザムスト(ZAMST) ひざ 膝 サポーター JKバンド 左右兼用 スポーツ全般 日常生活 Mサイズ 371002

装着も簡単で、強度も調節できますので、オススメのサポーターになります。

もっと患部の固定と、膝の強度を高めたい方はこちら。


【バドミントン松友選手愛用サポーターブランド】 FILMISTA KNEE (フィルミスタ ニー) ランニング膝サポーター 薄型サポーター ブラック 左右兼用 Mサイズ 372202

お皿の上(太ももの下)を固定することで、膝を曲げたときの患部への負担軽減と同時に、患部への引っ張られるのを防ぐサポーターです。

サポーターによりお皿が大きく動きませんので、痛みの軽減にもつながるのです。

ちょうど良い強さが見つかるとかなり動きやすくなるでしょう。

手術

手術では患部にある骨小骨を摘出し、脛骨粗面部の骨が突出している部分を切除して平らに戻す遊離骨片摘出手術などが選択されるでしょう。

手術は最終手段です。

先生としっかり相談して、焦らずに治していきましょう。

オスグッドは成長痛ではない

オスグッドは成長期ではありません。

小学生高学年に多く発症することから「成長痛」だと思っている方がとても多いです。

中には先生と言われる立場の人までそのように言っていることがあり、大変残念に思います。

それぞれの違いを見ていきましょう。

オスグッド 成長痛
痛みの出るタイミング 時間に関係なく動くと痛い、押すと痛い 朝方や夕方、時には寝ている時に痛みを訴える
痛みを感じる期間 何も処置をしないと痛みは続く ずっと痛いことはない(不定期)
患部の状態 腫れや炎症、動きに制限がある 痛いところに腫れや炎症、動きの制限がない
画像診断 レントゲンに何かしらの異状がある レントゲンに異状がない
痛みへの対応 さすっても触れても痛みに変化はない さすったり触れられると楽になる

いかがでしょうか?

このように比べてみると、オスグッドと成長痛には明らかな違いがあるのです。

オスグッドの疑問Q&A

オスグッドのよくある疑問を早めに解消して、成長期ならではの子どもの健康を取り戻していきましょう。

放置するとどうなるの?

オスグッドを放置すると、患部の骨の出っ張りが大きくなるだけでなく、動きの中でも膝をかばう動作が身に付いてしまい、膝以外にも痛みが出てしまいます。

同時に痛みを長く抱えることにもなり、スポーツが最も楽しい時期に【長期間の運動中止】にもなりかねません。

最悪の場合には患部の骨の出っ張りが剥離骨折を起こし、手術が必要になるでしょう。

放置していて良いこともひとつもありません。

お子さんの足をかばう動作や、選手の動きに何かしらの変調が見えるようでしたら、すぐに手当てを受けるよう促してあげてください。

大人でも再発するの?

オスグッドは骨の成長とともになくなっていきますが、身体を酷使することが頻繁だったり、脛骨粗面に強い力を加わった時には、再発の可能性がないとも言い切れません。

ですが大人の場合には、オスグッドよりも別な診断名がつくことでしょう。

骨の出っ張りは治らないの?

オスグッドの痛みが緩和した後も、一度出てしまった骨の出っ張りが完全になくなることはないでしょう。

ただ成長とともに骨の出っ張りは吸収されていき、目立たなくはなっていきますが、大きく出てしまった場合には一生残ります。

出っ張りが残ると「正座をするときに床に当たる」などの、ストレスを感じるでしょう。

後遺症はあるの?

オスグッドの後遺症では、

などの後遺症があります。

脛骨粗面の盛り上がり以外は、成長とともに感じることはありません。

【まとめ】オスグッドを知って正しく対処しよう

オスグッドは子どものスポーツへの楽しみ・意欲を減退させてしまうスポーツ障害のひとつです。

成長期の子どもが生き生きとスポーツを楽しむことができるよう、まずは親御さんがオスグッドの予防・対処法をしっかりと解して、いっそうのサポートでお子さんを支えていってください。

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