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公開日:2024年10月3日

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アキレス腱断裂はスポーツ愛好家に発生することが多く、体を動かす機会が多い人なら誰でも起こり得ます。

当院近くの高校では2年連続で同じ部活の学生2人が、運動中にアキレス腱を断裂した、という話も聞きました。

「若いから大丈夫」ではないということです。

この記事では、アキレス腱断裂の症状や治療法、リハビリなどを詳しく解説いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。

院長:伊藤良太
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アキレス腱断裂とは?

アキレス腱断裂は、踏み込み・ダッシュ・ジャンプなどの動作でふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋) が急激に収縮した時や、着地動作などで急に筋肉が伸ばされたりした時に発生します。腱の退行性変性(いわゆる老化現象)が基盤にあると考えられています。
30~50歳のスポーツ愛好家に多く、レクリエーション中の受傷が多いのが特徴です。

アキレス腱断裂:日本整形外科学会

※アキレス腱は青丸で囲まれたところ

競技では、サッカーやバレーボール、テニス、バドミントン、剣道など、片足に全体重が乗り、地面をける動作が多いスポーツをしているときに発生する傾向が強いです。

アキレス腱断裂後の経過とリハビリ

アキレス腱断裂後のリハビリは、治療法によって開始時期が異なるので先生の指示に従う必要がありますが、リハビリの方法はほとんど変わりません。

ただし、受傷後の経過によって行うリハビリが異なります。

それでは順番に見ていきましょう。

痛めてすぐ

受傷後2週間程度は、ギプスでの固定を行いますが、脚の筋力低下を予防するため、固定をしているこの期間からリハビリを開始します。

リハビリメニュー

  • 固定している側は仰向けで寝た状態で、膝を真っ直ぐにしたまま上下に動かす運動
  • 足の指の曲げ伸ばし運動
  • 固定していない側はできる範囲で筋力トレーニングや補強運動を行

ふくらはぎの筋力低下は固定をしているので仕方ありませんが、周りの筋肉まで落としてしまうと固定が取れた時の負担が患部以外にも増えてしまいます。

《患部を動かさないという》という制限はありますが、普通通りの生活や動きを続けた方が次の段階への進行が早くなるでしょう。

※【固定している側は仰向けで寝た状態で、膝を真っ直ぐにしたまま上下に動かす運動】は下ろす際には、ベッドに足は着いていません。

装具が必要な期間

ギプスが取れると、次は取り外し可能な簡易ギプスをつけます。

簡易ギプスに移行してから23週間が最も再断裂の危険性が高いので、慎重にリハビリを行いましょう。

リハビリメニュー

  • 足関節の底背屈運動
  • アイソキネティックスなどを用いたエクササイズ
  • 少しずつ膝の屈伸運動を開始する

患部の筋力トレーニングというよりは、患部の動きを取り戻す段階にあります。

再断裂のリスクもあるので焦らずに動きを取り戻していきましょう。

足関節の底背屈運動

装具なしで歩けるまで

受傷から5週間ほどで装具を外しての歩行となります。

少しずつアキレス腱への負荷を上げていきましょう。

リハビリメニュー

  • カーフレイズ(ふくらはぎの筋力強化)
  • つま先立ち、かかと歩きなどの歩行訓練
  • 常にどちらかの足が地面についた状態でのゆっくりとしたジョギン

装具なしになると、ふくらはぎの筋力を取り戻す段階に入ってきます。

普段からふくらはぎに負荷が加わるように階段を利用したり、カーフレイズでふくらはぎ局所に負荷をかける運動を始めましょう。

カーフレイズの方法はこちらをご覧ください。

ふくらはぎを肉ばなれしたときの対処法と早期回復のためにできること。

ゆったりとしたジョギングを開始するのは、痛めた方の足にかばい動作がなくなってから行った方が予後はさらに良いものとなります。

かばい動作とは歩行中、またはジョギング中につま先で地面が蹴れずに、足首が伸びない状態をいいます。

アキレス腱断裂に限らず、足首の捻挫やふくらはぎの肉ばなれにも同じかばい動作が生じやすいです。

かばい動作は動きの効率を落とすだけでなく、余計な箇所に痛みをもたらします。

鏡などを見ながら左右の足の違いをしっかりと修正してからジョギングを開始しましょう。

ジャンプができるまで

歩けるようになると、次は軽いジャンプができるようにリハビリを行います。

まずは床から足が離れない程度で、足首を使ってその場でジャンプすることから始めましょう。

 リハビリメニュー

  • 少しずつジョギングを始める
  • 片足でのジャンプができるようになれば、サイドステップやクロスステップ、スキップなどの歩行訓練を行う

スキップまで問題なくできるようになれば、ダッシュや急停止などの動作を開始します。

この頃になると左右の筋力差やかばい動作もなく動けるようになっていますが、反射や素早さなどの神経系のトレーニングも取り入れていくと競技復帰にあたり、スムーズに全体練習に合流できるでしょう。

アキレス腱断裂の治療法

アキレス腱断裂の治療法には、手術療法と保存療法の2種類があります。

それぞれ長所と短所があるので、先生とよく相談しながら治療法を決定しましょう。

手術

手術でアキレス腱を縫合すると、保存療法と比べて再断裂の可能性が低くなります。

また、早期からリハビリを開始することで筋力低下や可動域の低下を少なくすることができるので、早期の社会復帰やスポーツ復帰を目指す方に手術が選択されます。

手術から2か月ほどで正常に歩けるようになり、68か月ほどで社会復帰またはスポーツ復帰が可能となります。

スポーツ選手が手術を選択するケースが多いのも、早期の復帰が望めるからという理由です。

デメリットはアキレス腱を縫合することで足首の動く範囲が狭くなり、かかとをつけてしゃがむ動作を取り戻すまでに時間を要します。

お尻が沈んでいる

お尻が浮いている

もちろん足首の動く範囲は取り戻せますが、一般の方だけでのリハビリでは左右左が残ってしまうケースが少なくありません。

最後まできちんとリハビリを継続しましょう。

保存療法(手術をしない)

アキレス腱断裂は手術による治療が多いですが、手術を希望しない方や高齢者などは保存療法が行われます。

保存療法のメリットは、手術による合併症や手術痕の心配がないということです。

反対にデメリットは手術療法と比べて治療中の再断裂の危険性が高く、ふくらはぎの筋力低下が大きくなります。

保存療法の場合は、治療開始から3か月ほどで正常に歩けるようになり、68か月ほどで社会復帰またはスポーツ復帰が可能となります。

一般の競技者であれば保存療法の選択肢もオススメなのですが時間がかかるので、焦らずに最後までしっかりと治療・施術、リハビリを続けましょう。

アキレス腱断裂の原因と症状

アキレス腱断裂は、ジャンプやダッシュ、踏み込みなどの動作時に、下腿三頭筋(かたいさんとうきん)というふくらはぎの筋肉が急激に縮む、または伸ばされて発生します。

3050代のスポーツ愛好家に多く、アキレス腱の老化現象が基盤にあると言われています。

スポーツ選手では【試合中に後ろにステップを1歩踏んだ瞬間に切れた】という例もあり、大きな負荷だけでなく、繰り返しの負荷によってアキレス腱が摩耗している状態でも切れやすくなるのでしょう。

 アキレス腱が切れた時の状況は、

  • ふくらはぎを叩かれたり、ボールが当たったような衝撃を感じる
  • 「パン」「パチン」という音が聞こえる場合もある
  • 受傷直後は踏ん張ることができず、転倒したりしゃがみこんだりする
  • しばらくすると歩けるようになることがあるが、つま先立ちはできない

近くに居た人は「何かが弾けたような音がした」といい、本人は「誰かにアキレス腱を叩かれた」という表現をします。

アキレス腱断裂の検査方法

アキレス腱断裂の検査方法は、トンプソンテス卜が一般的です。

うつ伏せの状態で痛めた方の膝を直角に曲げ、ふくらはぎを強くつまみます。

この時、ふくらはぎの筋肉を掴むことで筋肉が縮み、つま先が上に上がるるのですが、アキレス腱が断裂している場合はこのような動きが見られません。

アキレス腱断裂はレントゲン検査で異常が認められないので、MRIや超音波(エコー)での確認が必要です。

アキレス腱断裂の後遺症

アキレス腱断裂は比較的予後が良好で、後遺症の心配もほとんどありません。

手術をした場合は術後に傷口が痛むことはありますが、日常生活に支障が出るほどの後遺症は基本的に残らないとされています。

運動時、または運動後の痛みや疲れやすさなどが見られる場合もありますが、時間が経過していくにつれてなくなっていくので問題ないでしょう。

そのためにもふくらはぎの筋力や足首の柔軟性をリハビリで取り戻すことが大切なのです。

アキレス腱断裂を放置するとどうなるのか?

断裂したアキレス腱をそのままにしておくと、どんどん硬くなり縫合できなくなってしまいます。

そのため、放置すればするほど治療が難しくなり、人工靭帯を使った手術を行うケースも

ケガ全般に当てはまりますが早期治療が大切ですので、アキレス腱断裂が疑われる場合は早めに医療機関を受診しましょう。

アキレス腱断裂の予兆

アキレス腱断裂が起こる前に、アキレス腱炎によってアキレス腱周囲に痛みや腫れを感じることがあります。

筋肉痛や打撲と勘違いしてしまうケースも少なくないですが、アキレス腱を触った時に痛みや腫れがある場合はアキレス腱炎を疑い、運動をやめてアイシングなどでしっかり冷やしましょう。

また、痛みや腫れが治まってもすぐに激しい運動をせず、アキレス腱周囲のストレッチを入念に行って軽めの運動で様子を見ることが大切です。

アキレス腱炎に関してはこちらをご覧ください。

歩くと痛いアキレス腱炎の対処法とテーピング。違和感は切れる前兆!?

アキレス腱断裂を予防するには

アキレス腱断裂を予防するには、運動前に足首のストレッチをしてふくらはぎからアキレス腱にかけての柔軟性を高めることが大切です。

また、大人の場合は運動時に強いジャンプや急なダッシュを控えるのも予防に繋がります。

もし少しでもアキレス腱周囲に違和感を覚えたら、無理をせず休みましょう。

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