捻挫とは?状態や症状、治療法や疑問にお答えします。
カテゴリー:身体のいろいろな不調
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捻挫は足首や指、手首、膝に起こりやすく、足元が悪く滑りやすいこの季節には特に注意しておきたいケガのひとつです。
ここでは捻挫の状態や症状、治療法や応急処置などのついて、早めに把握しておきたい詳細をわかりやすくお伝えしていきたいと思います。
捻挫が原因で起こる骨折についてはこちら。
→足首の剥離骨折で行うリハビリとは?早く治す方法と疑問にお答えします
Contents
捻挫とは?
捻挫は足首や指、手首、膝などの関節を不自然な方向にひねり、関節を固定している靱帯や筋肉から繋がる腱、そのほか周りの組織を損傷するケガのことを言います。
ここではさらに詳しく、捻挫の状態や症状、起きやすい部位をそれぞれに見ていきましょう。
状態
捻挫をした関節の状態というのは、
- 靭帯の一部または完全な断裂
- 関節のアライメント(骨の配列)の崩れ
が生じます。
捻挫をすると【靭帯が伸びる】と言われていますが、実際には靭帯は伸びるものではなく、《一部、または完全に切れている》のです。
下記は私の足首の靭帯の様子を超音波で写した画像です。
左:靭帯の完全断裂、右:白い線が靭帯
左の画像には白い線が写っていません。
そして、足首の捻挫では自分の体重が加わりながら関節を捻ると骨の配列(アライメント)が変わってしまうことも。
関節には「遊び」と言われるごく小さく動く範囲があり、その中で捻挫と自身の体重によって骨の配列が変わるケースもあるのです。
中には捻挫の範囲を超えたもので、明らかに足首の形が変わってしまうほどの重度の捻挫もあり、脱臼まではひどくない「亜脱臼」という状態になってしまうケースもあります。
写真では分かりづらいですが、私の足では左右の内くるぶしの大きさが異なっています。
左:健側、右:捻挫をした足
症状
捻挫の症状には、関節周辺の痛みと腫れがあり、捻挫による組織の損傷が大きいほど症状は強く出る傾向です。
捻挫が中・重度の場合は、
- 熱感や内出血
- 関節のぐらつき、不安定性
- 関節可動域の制限
- 動かせない、または体重をかけられない
などの症状が生じるでしょう。
組織の損傷が小さい軽度の場合は、痛みがそこまで強くないため、日常生活を普通に送れるケースもめずらしくはありません。
打撲の対処法はこちら。
→自分で早く治す!打撲の対処法とセルフケアの方法をお伝えします!
程度の分類
捻挫には靱帯の損傷の程度によって3つの分類に分けられています。
- 靱帯がごく微細に断裂している「Ⅰ度捻挫」
- 靱帯の一部が切れている状態の「Ⅱ度捻挫」
- 靱帯が完全に切れている状態の「Ⅲ度捻挫」
靭帯は損傷(断裂)をすると自然に修復されることはありません。
そして、靭帯には痛みを感じる神経がないとも言われているため、もし損傷をしていても痛みを感じないケースもあります。
靱帯損傷について詳しくはこちらをご覧ください。
→靭帯損傷とは?症状や治療法、早く良くなる方法を解説します。
起きやすい部位
捻挫が起きやすい部位は、
- 足首
- 手首
- 指
- 膝
があり、その中でも最も起きやすいのが足首です。
足首の捻挫はケガや事故、転倒やスポーツのあらゆるシチュエーションで起こりやすく、
- 足関節捻挫の80~90%を占める「内反捻挫(内返し捻挫)」
- 足関節捻挫の10~20%で比較的少ない「外反捻挫(外返し捻挫)」
というふたつの分類に分かれています。
左:内返し捻挫、右:外返し捻挫
捻挫の見立てとは
捻挫の見立て方には、
- レントゲンやMRI・CTによるもの
- 超音波(エコー)によるもの
- 徒手検査によるもの
の3つがあります。
ここでは捻挫の3つの見立てについて、それぞれを詳しく解説していきたいと思います。
レントゲンやMRI・CT
捻挫の際、最も見なければいけないのは「捻挫と骨折を併発しているかどうか」です。
そのためにも捻挫をするとまずは、レントゲンにて骨折の有無を見る流れになります。
そしてレントゲンでは見えにくい部位の場合にはMRIやCTにて詳しく見るでしょう。
皆様に一番知っていただきたいことは「レントゲンでは靭帯の損傷の有無・程度は判断できない、見ることはできない」ことです。
よく「整形外科でレントゲンを撮って靭帯は損傷していない、と言われた」という患者さんが来院されますが、実際にはそんなことはありませんので、この際にぜひお見知り置きくださいませ…。
MRIやCTでは、靭帯を見ることができます。
捻挫と骨折に見分け方についてはこちら。
→捻挫と骨折の見分け方は?それぞれの対処法と疑問にお答えします
超音波(エコー)
捻挫の超音波(エコー)検査は、
- 靱帯の損傷レベルを判断
- 損傷の状態から適切な治療法を判断できる
- 診断の他にも予後や経過観察ができる
などの特徴やメリットがあり、レントゲンでは見つけられなかった細かな症状を見ていくことができます。
数ミリの骨の損傷も見ることもでき、しかも手軽に検査できるのも大きな特徴です。
捻挫をしたら超音波(エコー)のある先生に見てもらうことをお勧めします。
徒手検査
捻挫の徒手検査とは「理学検査」と呼ばれ、実際に治療に入る前や治療の節目に行われる検査法です。
徒手検査の方法には、捻挫した部位を、
- 動かす
- 伸ばす・縮める
- 叩く
などがあり、場合によっては痛いですが抵抗運動をしてもらうケースも。
徒手検査は、捻挫による疼痛の増減や神経の症状や反応をみながら行いますが、正確に誰でも行えるものではありませんので、画像によるものが一番正確で、かつ痛みを伴わない方法と言えるでしょう。
捻挫の応急処置
捻挫の応急処置は、「RICE(ライス)処置」が最も基本になります。
- REST(安静):包帯やテーピングなどで固定をして安静を維持
- ICE(冷やす):氷や冷水、冷感シップなどで患部を冷やす
- COMPRESSION(圧迫):内出血などを最小限に抑えるための患部の圧迫
- ELEVATION(拳上):さらなる腫れや内出血を防ぐため、患部を心臓よりも高い位置に挙げる
ライス処置を適切に行うと熱感や腫れ、内出血などを最小限に抑えることができます。
【治療の第一歩】と言ってもくらい大切な処置ですので、覚えていただけると幸いです。
RICE処置の中に含まれている「アイシング」についての時間や何を使って冷やすべきか、などの詳しくはこちらをご覧ください。
→アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点
捻挫の治療法
捻挫の治療法には、症状に応じたいくつかの方法があります。
ここでは捻挫の一般的な治療法をそれぞれに見ていきましょう。
固定
捻挫は、組織の修復がある程度行われるまで患部を無理に動かさないことがベストです。
そのため包帯やサポーター、シーネなどによる固定は、患部の負担を軽減し、可動域を最小限に維持することができ、組織修復の促進や痛みの緩和につながります。
腫れや熱感、内出血がある場合には適切な固定を数日行うと、症状もかなり軽減され、重度の足首捻挫でも歩けるようになるでしょう。
足首のサポーターについてはこちらをご覧ください。
酸素ルーム
酸素ルームは、炎症や損傷部位に高濃度の酸素を送り届けることで、組織の修復や痛みの緩和に効果的です。
酸素ルームは空間内に入って息を吸うだけですので痛みは全くなく、リラックスしながらの治療が可能になり、心身のさまざまな機能が活性化する効果も期待できるでしょう。
超音波
捻挫の超音波治療は、低出力の超音波を断続的に患部に加え、筋や腱、靱帯などの損傷を受けた軟部組織の治癒力を早めるものとなっています。
超音波治療は患部に当てても痛みや不快感が少なく、どこの部位でも、どんな姿勢でも当てられるのも大きなメリットです。
通常は自然修復されない靭帯も修復されるというデータもあり、足首や肘などの靭帯損傷に適した方法と言えるでしょう。
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捻挫に関する疑問
続いては、捻挫に関するよくある疑問にお答えしていきたいと思います。
早く治す方法は?
捻挫を早く治すためには、
- 腫れを最小限に抑えるため、RICE処置を行う
- 最短期間の固定と早期のリハビリの開始
- 適度な刺激で組織修復
- 関節可動域の回復
などをスムーズに行うと早期の回復が望めます。
当院の場合では、病院に罹った場合に比べておよそ半分の期間で復帰出来ています。
- 腫れや内出血が引くまで固定をする
- 状態や症状で判断せず、「捻挫の期間は◯週間の固定が必要」と決めつける
- 痛いから痛い動きは避ける
などの治療や対応では治るまでの期間が長くなるばかり。
待つ治療よりも積極的な治療・施術をしてくれる先生に見てもらいましょう。
当院の施術の流れと様子はこちらをご覧ください。
骨折を早く治す方法ちこちら。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
「歩けるけど痛い」はなぜ?
靱帯が微細に断裂した軽症の場合は、痛みはあっても歩けるケースがほとんどでしょう。
ただ、アライメントが崩れている場合には、
- 腫れがない
- 押しても痛くない
- 熱感や内出血もない
状態でも歩けないケースもあります。
痛みが続く原因にはこんなケースも。
「歩けるけど痛い」時に仕事はいいの?
捻挫で歩けるけど痛いときは、デスクワークなどの負荷がかからない仕事であれば問題はないでしょう。
もし、歩く仕事の場合には下記のことを確認してください。
- 腫れが強くなっていないか
- 熱感や痛みが強くなっていないか
上記のことが当てはまらなければ「明日も仕事を行なっても良い」とも判断できますが、決して自己判断をせず、先生に相談しながら仕事をした方が痛みも早くなくなるでしょう。
捻挫の痛みが取れないのはなぜ?
捻挫の痛みが取れないのは、
- 骨折に気づかなかった
- 固定期間が短く、炎症が継続している
- ある動きで再度、負傷してしまった
- アライメントが崩れたまま
- 関節可動域が戻っていない
などの原因が考えられるでしょう。
腫れや熱感があるようなら【1・2・3】が当てはまり、腫れていないのに痛みがあるなら【4・5】が当てはまるでしょう。
もちろん、あくまでも一つの目安として見知りおきください。
捻挫をしてから1週間も同じ痛み続くようならすぐの先生に見てもらいましょう。
捻挫の後遺症についてはこちらをご覧ください。
→足首捻挫が治らないのは後遺症かも!?リハビリとセルフチェック方法
「歩けるけど痛い、けど腫れていない」のはなぜ?
歩けるけど腫れていない状態で考えられるのは
- アライメントを崩れ
- 筋肉による防御反応
- 靭帯のみの損傷
が挙げられます。
アライメントの崩れや筋肉による防御反応は画像でがわからず、長く痛みを抱えてしまうことも。
この場合、病院では対処できないことがほとんどですので、スポーツ障害の得意な先生に見てもらうことをお勧めします。
【靭帯には痛みを感じる神経があるのか、どうか】はいまだに明確にされていませんが、超音波で確認すると靭帯は切れているけども腫れがない、歩けるケースはこれまでもあるため、靭帯の損傷による痛みも一つの原因として考えられるでしょう。
【まとめ】捻挫とは
本記事では捻挫の症状や分類、主な治療法などについて伝えしてきました。
スポーツや転倒、事故の際に関節をひねり、痛みや皮膚の腫れが見られた場合は捻挫の可能性が高いので、早めに適切な治療・施術を治療を受けるようにしましょう。