踵骨骨折はどのくらいで歩ける?原因や症状、治療法を解説します
カテゴリー:脚の痛み
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全身を支えて衝撃から足を守る役割のあるかかとですが、強い負荷・衝撃を受けると骨折も生じる部位です。
かかとを強打した際に疑うべき踵骨(しょうこつ)骨折について、今回は原因や症状、主な治療法や骨折後の気になる経過をお伝えしていきたいと思います。
Contents
踵骨骨折について
初めに踵骨骨折についてご紹介します。
原因
踵骨骨折の主な原因には、
- 高い位置からの転落によってかかとの打撲が起こる
- 階段の踏み外しや事故、スポーツ時のケガなどでかかとに強い衝撃が加わる
などがあります。
踵骨骨折は、スポーツを習慣にしている人にも起こりやすく、この理由はかかとに繰り返し強い負荷がかかるためです。
また、かかとの骨はアキレス腱とひとつに連なった状態にあるため、アキレス腱が引っ張られるような無理な動作を続けていると、踵骨に腱や靱帯などに付着している骨が剥がれ、剥離骨折を併発してしまうことも少なくありません。
剥離骨折についてはこちらをご覧ください
→剥離骨折を早く治す方法をご紹介!大切なのは適切な固定と適度な刺激!
症状
踵骨骨折の症状には、
- 歩くと、体重をかけると痛い
- かかとの皮膚が盛り上がり、腫れて赤み、熱感がある
- かかとが脈を打つようなジンジンとした痛み
- 足首を動かした際の痛みやしびれ
- 皮下出血
などがあります。
踵骨骨折は、骨折が生じてすぐに痛みを感じることが多いため、比較的気付きやすい骨折でしょう。
踵骨骨折には骨折した部位やどのように骨折したかなどによって上記の症状が様々出てきます。
治療方法
踵骨骨折は、患部を無理に動かさず、痛みを感じる部分を冷やしながらできるだけ早めに先生にみてもらうことが治療の最初のステップになります。
では、踵骨骨折の主な治療法について見ていきましょう。
【保存療法】
踵骨骨折の保存療法とは、骨にズレがなく、軽度な骨折に対して行われる治療法です。
骨折した骨同士が適切な位置にあるかどうかの確認をし、ギプスや圧迫包帯などで固定を行います。
保存療法は骨と骨が自然にくっつくことを待ちながら、かかとに体重をかける際の負荷を分散させるための土踏まずを高めに盛り上げたインソールなどを使用することもあります。
【手術療法】
踵骨骨折の手術療法には、骨がズレていたり、剥離骨折を併発している際に行われる治療です。
手術療法では主に、医療用のピンやネジ、プレートなどを使って骨を直接的に固定する方法があります。
【リハビリテーション】
踵骨骨折のリハビリテーションとは、
- 足関節を正しく動かすための可動域訓練
- 足の筋肉を強化するストレッチやエクササイズ
などが主な内容となり、骨の修復程度に合わせて松葉杖などを使って歩行練習の開始となります。
松葉杖による部分荷重を行ったのちに、骨折の状態に応じてかかとに全体重をかけて歩行する全荷重に移行していく流れが一般的です。
踵骨骨折の経過
踵骨骨折の経過はどのような流れになるでしょうか。
それぞれみ見ていきましょう。
ギプス固定
踵骨骨折後すぐに行われることが多いギプス固定は、骨折面の固定を外側から保護し、安静を維持するために用いられる治療のことを言います。
踵骨骨折に骨と骨のズレがない場合は、4~6週間程度ギプス固定を行うのが一般的です。
歩けるまで
踵骨骨折から普通に歩けるようになるまでには、リハビリや治療の内容、骨の状態によって異なることがありますが、2ヶ月~半年程度の期間が一般的となっています。
特に糖尿病などの持病を抱えている場合には骨折の治りは遅い傾向にあり、長期間の治療が必要になるケースも珍しくありません。
仕事復帰
仕事の内容にもよりますが、骨折した骨がもとの位置にくっつき加重をかけても痛みがなくなった時には、仕事復帰のタイミングの目安になります。
痛みを強く感じない、仕事の後腫れや熱感がない、などの症状がなければ仕事に復帰しても大丈夫でしょう。
デスクワークなどに限っては、座っていても仕事に支障がなければギプス固定後すぐから仕事復帰は可能です。
先生と相談しながら仕事復帰に向けて進めていきましょう。
二ヶ月後
踵骨骨折の4~6週間の固定期間を経て、安静の状態を維持できていた場合、二ヶ月後はリハビリや治療による成果が出やすく、徐々に正しい歩行・動作ができるようになります。
ですが、上記にご紹介した経過はあくまでも一般的な流れになります。
一般的な流れというのは【固定と安静】という病院での処置のことです。
さらに骨折を早く治す方法というのは実は存在し、実行することでかなり早く治ります。
詳しくはこちらをご覧ください。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
踵骨骨折のリハビリ
踵骨骨折のリハビリをご紹介します。
踵骨骨折後の後遺症を防ぐための大切なステップとなる、リハビリの主な内容を一緒に見ていきましょう。
筋トレ
踵骨骨折のリハビリとなる筋トレは、足の着き方と足首の動きをスムーズにするための無負荷の自動運動や、トレーニングチューブなどを用いた抵抗運動が一般的に行われるでしょう。
ギプス固定により足首の動きが制限されると、ふくらはぎの筋肉は著しく低下します。
そのため、かかと上げの筋トレは必ず行われる筋トレの一つです。
壁に手をついて、写真のようにかかとを上げましょう。
回数は、翌日に筋肉痛を少し感じる程度の回数で行ってください。
初めのうちは筋力がなく、かかとが高く上げられないかもしれませんが、毎日行って早期に筋力を取り戻しましょう。
関節可動域
踵骨骨折の関節可動域のリハビリで最も苦労するのが、しゃがみ込む動作です。
和式トイレに座る習慣がない現代は、若者でも写真のように座れない方が多くなっています。
足首を含めたギプス固定により、足首の動きが制限されると一番できなくなる動きがこのしゃがみ込みなのです。
初めのうちは足首周辺やアキレス腱に痛みを伴いますが、柔らかくなるにつれて痛みも無くなっていきます。
お風呂上がりや身体が温まっているタイミングの際には必ず行うようにしましょう。
歩き方
踵骨骨折後は、固定により関節可動域が狭くなり、同時に筋力が落ちたことも重なって足首をスムーズに動かせなくなり、歩き方を忘れてしまいます。
固定と筋力低下により爪先立ちの動作がとても難しくなり、かかとがいつまでも地面に着いている歩き方になってしまい、いつまで経ってもふくらはぎの筋力が戻らないと、歩き方も戻り辛くなります。
ふくらはぎの筋トレであるかかと上げを行いつつ、鏡などで自分の歩行を確認して早期に以前のような歩き方を取り戻しましょう。
踵骨骨折の後遺症
踵骨骨折にも後遺症が残る可能性があります。
どのような後遺症があるのでしょうか。
コンパートメント症候群
コンパートメント症候群とは、踵骨骨折後の強い炎症と骨髄の出血による腫れが生じ、かかとの神経と血管が物理的に圧迫された後遺症のことを言います。
早期に医師に診てもらいましょう。
骨の変形
踵骨骨折は圧迫骨折という骨が潰れた損傷となるため、左右の骨の形が変形したり、左右の足の長さに差が出ることもあります。
圧迫骨折の関連記事はこちら。
→圧迫骨折時の座り方とやってはいけないこと、痛み軽減のために出来ること
神経障害
かかとの内側に存在している足根管という部位が踵骨骨折によって圧迫されると、その中の足裏につながる神経が通らなくなり、足裏の感覚が麻痺したり、筋肉の萎縮が生じやすくなります。
また、かかとの神経の麻痺は、足指の変形につながりやすい傾向にあるようです。
【おわりに】かかとを強打したら踵骨骨折を疑おう
踵骨骨折は、年齢を重ねるともに骨が弱くなり低い椅子や縁側などから落ちるだけでも生じやすい骨折のひとつです。
かかとを強打したらその痛みや症状、不快感の度合いにかかわらず、早めに先生にみてもらい、適切な処置をしてもらいながら、後遺症のリスクを未然予防しておきましょう。