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足首が剥離骨折をしてしまうと、どんなリハビリを行い、どれくらいの安静・治療期間が必要になるのか心配になることでしょう。
スポーツ中に足を捻ったり、ヒールのある靴を履いて捻った、交通事故などが原因となる足首の剥離骨折について、今回はリハビリの内容と早く治す方法、疑問にお答えしていきたいと思います。
※この記事では「一般的に足首の外側に多く発生する足首の剥離骨折」についてお伝えします。
Contents
足首の剥離骨折で行うリハビリ
足首の剥離骨折で行うリハビリには、どのような内容があるのでしょうか。
丁寧に見ていきましょう。
その前に、足首の剥離骨折について。
足首の剥離骨折とは【足首が内側に捻られることで靱帯が骨を剥がしてしまう骨折のこと】を言い、
赤矢印の先の靭帯、前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)が骨を剥がしてしまうのが一般的です。
そしてリハビリでは、
- 筋力トレーニング
- 関節可動域の改善
- かばい動作の解消
- 運動時の恐怖心・不安の解消
が必要になります。
足首の剥離骨折のリハビリでは、固定で動きが悪くなった関節や落ちてしまった筋力を取り戻すリハビリだけでなく、固定に伴って起こる動作や恐怖心・不安の解消も必要になるのです。
それでは足首の剥離骨折のリハビリ内容を詳しく見ていきましょう。
足首以外の剥離骨折についてはこちらをご覧ください。
→剥離骨折を早く治す方法をご紹介!大切なのは適切な固定と適度な刺激!
靭帯についてはこちら。
→靭帯損傷とは?症状や治療法、早く良くなる方法を解説します。
筋力トレーニング
足首の剥離骨折は、
- 固定
- 患部保護の為、荷重の制限
- 患部の痛みや腫れ
などの要因によって、足を動かさないために筋力が必ず低下します。
筋力の低下を放置して急にスポーツや仕事に復帰すると、足首の捻挫や運動パフォーマンスの低下につながるため、ケガをする前の状態にまで筋力を取り戻す筋トレや動作の改善を行います。
筋力は3日で落ちると言われ、固定している期間が長いほど筋力も落ちていくのです。
足首の剥離骨折で筋力低下が起きる代表的な筋肉はふくらはぎで、理由は「固定により足首の動きが制限されるため」です。
固定が外れて、ある程度動けるようになったらカーフレイズでふくらはぎに負荷をかけて筋力を取り戻しましょう。
カーフレイズの方法は【かかとを上げるだけ】です。
始めのうちは10回くらいから初めて、翌日の筋肉痛の程度で、増やすのか、または減らすのかを決めていきましょう。
ポイントは【しっかりと高くかかとを上げる】です。
筋肉痛を早く治す方法はこちら。
関節可動域の改善
足首の剥離骨折は関節を固定したまま一定の期間安静が必要なため、関節の可動域の制限が起こります。
スポーツや仕事、通常の生活を取り戻すためにも関節の拘縮(こうしゅく)は残さないのがベストです。
※拘縮とは関節が固まった状態を言います。
足首の剥離骨折で足首の動きが悪くなった時の主なリハビリは、
- その場でしゃがむ
- 正座をする
のが最も効果的で、しかもいつでも行える手軽なリハビリです。
固定が取れてすぐからしゃがんだり、正座をするのはケガをした時とは違う箇所に痛みを伴いますので、焦らずに毎日行いましょう。
動かして痛みを感じるのは、固定によって固まった組織が動かされるための痛みですので心配は無用です。
※ただし、しっかりと患部の骨がくっついているのが前提条件です。
尚、固定期間中のリハビリとしても、
- 患部の安静を維持しながらも、骨折部位以外は早期から動かす
ことで、骨折部の血行が促進され、骨の癒合が早くなります。
足の指や膝の動きは固定期間中でも動かせる範囲で動かしましょう。
かばい動作の解消
足首の剥離骨折では、固定により歩行がスムーズにうまくできません。
なぜなら
- 固定により周辺組織が固くなっているため
- 神経系と筋肉の関係
- 筋力低下
- 固定を外したことや痛みへの不安感
により、どうしても歩行がうまくできないのです。
足首の剥離骨折のかばい動作の解消には、
- 松葉杖にて歩行練習
- ゆっくり歩く
- 後ろ向きで歩く
などを行いましょう。
「後ろ向きで歩く」では、つま先で地面を蹴る、支えることへの刺激となります。
ふくらはぎの筋力回復にも繋がりますので、積極的に行いましょう。
歩行を戻す際には、教えてもらうよりも鏡などで自分の歩行を見ながら修正していくと一番効率的です。
やりすぎて肉離れにならないように気をつけましょう。
肉離れについてはこちらをご覧ください。
→肉離れの治療期間は?症状別に治るまでの期間や早く治すコツをご紹介。
運動時の恐怖心解消
運動時の恐怖心や不安を解消するためのリハビリでは、
- 出来る動きから確実に行う
- 不安のある動作はゆっくり行う
- ケガ以前の動作を取り戻すまでは焦らずに地道にリハビリを行う
などが必要です。
恐怖心や不安感がありながらも運動をすると、非効率的な動きになってしまいパフォーマンスの低下となってしまいます。
パフォーマンスの低下だけでなく、つま先や膝、股関節にまで影響を及ぼし、痛みとなって現れてくるでしょう。
リハビリでは【焦らない】ことが最も大切です。
先生を信じて、協力しながら行いましょう。
足首の剥離骨折を早く治す方法
足首の剥離骨折を骨折を早く治す方法について見ていきましょう。
骨折を早く治す方法はこちらよりご覧ください。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
しっかりとした固定
足首の剥離骨折は骨折した部分が元の位置にくっついていないと癒合しにくいため、ギプスや副木などでしっかりと固定をする必要があります。
ギプス固定は筋力の低下に伴い固定全体に隙間が空き始め、副木では包帯を巻き直す際に固定が緩んだり、患部が動いたりとしてしまうなどのリスクもあリます。
足首の剥離骨折の固定は、患部の状態が緩まないようにするのが重要な対処法となっていますので、自己判断で動かさないようにしましょう。
最小限の固定期間
足首の剥離骨折の固定期間は3~5週程度が必要です。
固定期間は最小限にすることで、その後のリハビリがスムーズになります。
固定期間は患部の状態を見極めながら早期に外し、適切なリハビリを開始すると復帰までの期間も短くなるのです。
病院のように「また2週間後来てください」「痛みが変わったら来てください」などのような通院になると、治るまでに余計な日数がかかるでしょう。
また、足首の剥離骨折が治っても少しの間はサポーターや包帯をしながら動くことをお勧めします。
サポーターがあると動きにくい、邪魔と感じるようになったら外しましょう。
サポーターについて詳しくはこちらをご覧ください。
食事内容の見直し
足首の剥離骨折した際には、栄養バランスの取れた食事内容への見直しも大切です。
- 乳製品や魚介類に多く含まれるビタミンD
- ほうれん草やブロッコリーに含まれるビタミンK
- カルシウム沈着を助ける肉や魚に含有が多いタンパク質
などで身体に必要な栄養素を摂り入れると、剥離骨折の早期回復につながります。
また、
- 糖質:骨の癒合を遅らせる、コラーゲンの分解
- アルコール:強い利尿作用によってカルシウムの吸収を妨げる
などのリスクがあるため、摂取は制限するように心がけてみましょう。
栄養に関して詳しくはこちらをご覧ください。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
足首の剥離骨折に関する疑問アレコレ
足首の剥離骨折に関する疑問アレコレにお答えしていきたいと思います。
ギプスの期間はどのくらい?
足首の剥離骨折のギプス固定の期間は、3~5週程度が目安となり、手術を受けた場合はギプスの固定期間が短くなることもあります。
私も足首の剥離骨折の経験者ですが、4週でギプスは外れました。
ただ骨の修復を待つだけだったり、患部の状態を見ずに一般的な目安期間での固定となるとギプスしている期間は長くなる傾向です。
骨がくっ付くまでどのくらい?
足首の剥離骨折で骨がくっつくのは、固定期間と同じ期間とみてよいでしょう。
例えレントゲンではっきりと骨同士がくっ付いていなくても、「仮骨(かこつ)」と言われる仮の骨が見える状態では、完全ではありませんが、すでに骨同士はくっ付いています。
仮骨はあくまでも仮の骨なので、大きな衝撃や再び捻挫をすると剥がれてしまいますので、注意して過ごしましょう。
歩けるまではどのくらい?
足首の剥離骨折で歩けるようになるまでには、固定が外れればすぐに歩けます。(固定期間の目安は3〜5週)
ですが、固定により足首は動かなかったり、筋力の低下などでスムーズな歩行はできません。
以前のような歩行を取り戻すには、更に2〜6週ほど必要となるでしょう。
走れるまではどのくらい?
足首の剥離骨折で走れるようになるまでには、固定が外れてから
- 2~4週前後で軽いジョギングが可能
- 2~3ヶ月程度でスポーツの復帰が見込める
でしょう。
足首の剥離骨折からのスポーツ復帰は、身体を動かす前に、
- 足首まわりの筋肉
- 下半身に重点を置いた準備運動
をしっかり行う必要があります。
私の経過をお伝えすると、
- 固定期間はギプスで4週
- 歩行が元通りになるまで、固定が外れてから10日ほど
- 走れるまで、歩行開始から2週かからず
※ただし、あくまでも走れる程度 - 以前のようにダッシュが出来るまで、さらに4週ほど
ケガをしてから2ヶ月後にはダッシュはしていましたが、筋力が戻らず全力で走れなかったのを、今でも鮮明に覚えています。
以前のように動けるまでには【全治2ヶ月半(約10週)】でした。
やはり筋力を取り戻すまでには一定期間が必要ということです。
ですが、かなり早い復帰となったのは
- 当時は高校生
- 先生と密に連絡、施術を受けていた
- 毎日リハビリを怠らなかった
ことが考えられるでしょう。
剥離骨折の軽度の症状は?
剥離骨折の軽度の症状には、
- 歩いたり、動くと痛い
- 腫れ
- 内出血
- 押すと痛い
などがあり、中には痛みなく歩けるケースもあるため剥離骨折に気付けないこともめずらしくはありません。
捻挫と思って見過ごすこともあり、しっかりと患部の状態をレントゲンだけでなく、超音波(エコー)で確認する必要があります。
足首の捻挫がなかなか治らない場合には、軽度の剥離骨折の疑いがあるかもしれません。
こちらの記事も参考にご覧ください。
→足首捻挫が治らないのは後遺症かも!?リハビリとセルフチェック方法
→捻挫と骨折の見分け方は?それぞれの対処法と疑問にお答えします
全治何ヶ月かかるの?
足首の剥離骨折は固定期間やその後のリハビリは必要になるため、全治までには私のように2ヶ月半となるのはかなり早いでしょう。
だいたいの目安としては3ヶ月程度で、患部の状態やその後の経過によってそれ以上かかることもあります。
先生と相談しながら行うことを進めていきましょう。
【まとめ】足首の剥離骨折のリハビリについて
本記事では、足首の剥離骨折のリハビリ内容や早く治す方法、疑問にお答えしてきました。
剥離骨折を早く治すためには、
- 適切な固定
- 固定期間をしっかりと維持する
- 早期のリハビリ
が大切です。
もし、足首の剥離骨折をしてしまった、または疑いがある場合には参考にしていただければ幸いです。