舟状骨骨折について。原因や症状、治療法や早く治す方法を解説します
カテゴリー:肩・肘・手首の痛み
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舟状骨骨折(しゅうじょうこつこっせつ)は手の関節に8つある手根骨のひとつで手首の親指側にあり、船のような形をした骨(赤矢印参照)のことを言います。
スポーツや日常生活の中での転倒、事故による骨折の中でも代表的な骨折のひとつとされている舟状骨骨折について、ここでは原因や症状、早く治す方法や疑問回答集をお伝えしていきます。
Contents
舟状骨骨折について
舟状骨骨折について、はじめに原因や症状、治療法をそれぞれ見ていきましょう。
原因
舟状骨骨折の原因は、スポーツや交通事故、転倒などで手のひらをつき、舟状骨が強い衝撃を受けることが主な原因で、10~20歳の若い年代の人に見られやすい傾向にあります。
それぞれスポーツでも事故でも、身を守るために出した手が手首側からの衝撃と地面側からの衝撃を間にある舟状骨が受けてしまい折れてしまうのです。
症状
舟状骨骨折の主な症状には、
- スナッフボックス部(黒丸)の腫れと痛み(圧痛も)
※患部の状態によっては、じっとしているとそこまでの痛みではないことも - 手首を反る、または親指側に倒すと強い痛み
- 握手などの動作でスナッフボックス部に痛み
などがあります。
舟状骨骨折は痛みがそれほど強くないことや骨のズレが大きくはないため、捻挫と間違えるケースもあり、この症状に気付けない場合も少なくはありません。
手を付いての転倒では、手首の捻挫やコーレス骨折などを同時に疑いながら慎重に進めていくべき症状です。
関連記事はこちらをご覧ください。
→捻挫と骨折の見分け方は?それぞれの対処法と疑問にお答えします
→手首の捻挫は接・整骨院へ!完治までの期間と治らない理由を徹底解説!
治療法
舟状骨骨折の治療法には、
- 患部をギプスで固定する
- 消炎鎮痛剤の内服
- 手術
などがあり、舟状骨は血行が悪く治りにくい骨折とされているため、骨折の部位によって違いはありますが6〜12週間のギプス固定が必要になります。
12週間まで行う骨折の固定は太ももの骨と同じ固定期間ですので、小さい骨にも関わらず長期の固定が必要なのは、いかに治りにくい骨折かが、お分かりでしょう。
治りにくい理由には
- 手首の中で最も大きい骨で、手首の運動時に常に刺激が加わってしまう(固定力の低下)
- 患部への血液供給が乏しい
- 骨折により増えた関節液が仮骨の形成を妨げる
などによります。
手術では、特殊なネジを使用して骨折が生じた部位を固定する外科的治療も行われたり、時間が経過し、骨折した部位が偽関節になって強い痛みを伴っている場合には、別の部位から骨の採取して偽関節部に充填・固定する手術を行うケースもあります。
舟状骨骨折を早く治す方法
舟状骨骨折を早く治すためには、
- 早期発見
- 適切な固定期間と固定肢位(固定された格好のこと)
- 骨の癒合を早める生活習慣、食生活の改善
などが必要になります。
舟状骨骨折を早く治す方法それぞれについて詳しく見ていきましょう。
早期発見
舟状骨骨折は他の部位の骨折と比べると痛みが少なく、受傷後のレントゲンでも角度によっては異状が見られないケースも少なくありません。
スポーツや事故、転倒などで転び、手をついた場合は捻挫や手首周辺の骨折と同様に舟状骨骨折の可能性も高いため、MRIや超音波(エコー)にて患部の状態を詳しく見ることはもちろん、原因や症状をしっかりと確認しながらの処置と対応が必要です。
もしあなたが手を付いて転んでから手首周辺が痛い時には、しっかりと原因と症状を先生に伝えましょう。
適切な固定期間
舟状骨骨折の固定期間はおよそ6〜12週間程度と言われていますが、固定の除去を早まると同じ箇所が再び骨折してしまうリスクがあるため、しっかりとした見極めが必要です。
固定が長引き、手首の動きが固くなったとしても、舟状骨が元通りに治れば、動きも元の通りに動くようになります。
痛みがなくなると動かしたい気持ちが出てきてしまいがちですが、焦らず将来のためにしっかりと先生の指示に従いましょう。
骨の癒合を早めるためにできること
舟状骨骨折の骨の癒合を早めるためには、
- 骨に良いカルシウムを適切な量を摂る
- 骨の生成に必要なタンパク質・ビタミンD・Kを摂る
- カルシウムの吸収を妨げるアルコールを控える
- 骨の癒合を遅らる糖質の摂取を控える
などに気を付け、安静・固定を維持しながら、規則正しい生活習慣を心がけるようにしましょう。
骨折を早く治す方法の詳しくはこちらをご覧ください。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
舟状骨骨折の後遺症
舟状骨骨折の後遺症には偽関節(ぎかんせつ)という状態があります。
偽関節は骨折した部位がくっ付かない状態のままでそこに関節があるかのように偽りの関節を形成する後遺症のことを言います。
舟状骨の後遺症である偽関節は、
- 発見までに時間が空いてしまった
- 固定期間が適切ではない、固定をしていない
- 捻挫と勘違いして放置してしまった
などが原因で生じるため、後遺症を残さないためにも、
- 自己判断はしない
- 整復(骨を元の位置に戻すこと)した位置で固定をしっかり行う
- 固定期間の厳守
- 先生の指示に最後まで従う
- 自己判断はしない
- 整復(骨を元の位置に戻すこと)した位置で固定をしっかり行う
- 固定期間の厳守
- 先生の指示に最後まで従う
ことが大切です。
偽関節にならないために最も大切なのは《自己判断》しないことでしょう。
ですがもし偽関節になったとしても、腕立て伏せができないくらいの不都合しかありません…
手首を守るサポーターはこちらになります。
舟状骨骨折の疑問回答集
舟状骨骨折について
- 足でも起こる?
- リハビリ中の禁忌はある?
- 完治までどのくらい?
- スポーツ・仕事復帰までどのくらい?
- 手術は日帰り?
などの疑問に回答していきます。
舟状骨骨折は足でも起きる?
舟状骨骨折は足にも生じ、主にスポーツや転倒によって、後脛骨筋腱が付着している舟状骨が引っ張られ続けることが原因となっています。
手足で同じ名前の骨があるのは他にも
- 指の骨(指先から末節骨・中節骨・基節骨)
などがあります。
後脛骨筋腱の関連記事はこちら。
→後脛骨筋腱炎の原因、症状とは?治療や対処法、治らない理由を解説!
舟状骨骨折のリハビリで禁忌(やってはいけないこと)とは?
舟状骨骨折のリハビリの禁忌(やってはいけないこと)には、
- ギプス固定、安静期間を守らないこと
- 骨折した患部を動かそうとすること
などが当てはまります。
固定する時期ではしっかりと骨の癒合を早めるために固定を、動かす時期になったらさらに骨の癒合を早めるための刺激が必要になるのです。
固定の期間が長引くとリハビリ期間も長くなるため、先生の指示に従って正しくリハビリを行うようにしましょう。
こちらも参考にご覧ください。
→剥離骨折を早く治す方法をご紹介!大切なのは適切な固定と適度な刺激!
舟状骨骨折が全治するまで
舟状骨骨折が全治するまでには、2~3ヶ月程度〜半年かかるケースもあります。
半年もかかってしまう理由には
- 骨折の見逃しによる骨の癒合の遅れ
- 栄養状態、抱えている病気などによる骨の癒合の遅れ
が挙げられ、患者さんの身体の状態はどうすることもできませんが、診断と固定が原因による長期化は防げるでしょう。
舟状骨骨折でスポーツ・仕事復帰するまでの期間は?
舟状骨骨折は、
- 骨のズレがない場合:6~12週の固定期間とその後のリハビリで1〜3ヶ月程度
- 骨にズレがある場合:手術後4週程度の固定後、4~5ヶ月程度
でスポーツや仕事復帰できるでしょう。
特に手首を使うスポーツや仕事では、慎重にリハビリや負荷を上げていくべきです。
順調にリハビリを進めていくためには地道なリハビリとトレーニングが必要になります。
舟状骨骨折の手術は日帰り?
舟状骨骨折の手術は日帰りが可能です。
その条件としては「骨にズレがない場合に限る」ようです。
- 骨にズレがない場合:皮膚切開による埋め込み式のネジを挿入し、患部を固定する手術となり、時間は30分程度で日帰りが可能
- 骨が癒合しないまま長期間放置していた場合:別の場所から骨の移植して患部を金属で固定する偽関節手術となり、2~3週間程度の入院が必要
になります。
骨にズレが生じた場合にも手術の適応となりますが、患部の状態によって固定のみか、または手術かは先生の判断と経験によって選択されるでしょう。
【まとめ】舟状骨骨折について
本記事では舟状骨骨折の原因や症状、治療や早く治すための方法についてお伝えしました。
転倒して手のひらを付いてから、手首がいつまでも痛かったり指に力が入らない場合は、舟状骨骨折の可能性が考えられるため、早期発見と正しい固定、早めの治療を受けるようにしましょう。