不定愁訴とうつ、自律神経の関係とは?適切に治療を受けるには心療内科?
カテゴリー:身体のいろいろな不調
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最近、病院に行くまでではないけど、なんとなく身体に感じる不快な症状はありませんか?
あなたが感じている症状はおそらく不定愁訴です。
「不定愁訴ってナニ?」と感じた方は「不定愁訴とうつ、自律神経の関係とは?適切に治療を受けるには心療内科?」を読んでいただき、正しい知識を深めていただければと思います。
Contents
不定愁訴は病なの?
不定愁訴とは一体なんのことをさすのでしょう?
「不定愁訴とは、検査をしても原因となる病気がみつからない状態」のことです。
症状の程度は様々で、日常生活に大きく支障をきたすものを「更年期障害」といいます。
腰痛も検査上原因となる病気が見つからないので、腰痛も不定愁訴の分類に含まれるのです。
ちなみに不定愁訴のことを英語ではMUD(Medically Unexplained Symptom)と表記されています。
不定愁訴に多いめまい、その他の症状や痛み
不定愁訴に多い症状としてはめまいが多いのですが、全体の4割のめまいは原因が不明なのです。
不明の中でも考えられる原因は過度なストレスと筋肉の緊張といわれています。
めまいのほかに出てくる症状は、
- 頭が重い、頭痛
- 肩こりや腰痛
- イライラ感
- 疲労感
- 腹痛
- 眠れない
- 体調が優れない
- 息が切れる
- めまいやふらつき
- しびれ感
- のぼせや火照り
などとなっています。
検査をしても異常がないので、少しだけ感じる身体の不快な症状も不定愁訴に含まれるので、とても多くの症状が当てはまってしまいます。
これだけ多いと誰でも一つくらいは当てはまるかもしれません。
不定愁訴を感じたときの対応方法は?
不定愁訴を感じたときの対処法には下記のような方法があります。
- ストレスの解消・軽減
- 生活生活の改善
- 気分転換
- 運動による発散
まずはストレスについて見ていきましょう。
ストレスの解消・発散
ストレスとは嫌な気持ちや気分のときに感じるもので、積もり積もって何かのきっかけで症状となって出てくるのです。
ストレスは身体の内側からジワジワと気づかないうちにダメージを与えていき、しかも症状が出たときにはすでにストレスがかなり溜まった状態となっています。
溜まったものは何かの形で発散する必要があるので、オススメする方法としては、友人と食事に行って気の済むまでお話したり、カラオケなどで声を出すとストレスは解消・発散しやすいでしょう。
我慢もストレスになるので、関わる方とは言いたいことが伝えられる関係づくりができるとよいですね。
生活習慣の改善
生活習慣の乱れは健康の根底を揺るがすものであり、乱れのない生活習慣は健康の基本中の基本です。
もし、生活習慣の乱れが思い当たるのでしたら突然に全部変えるのではなく、少しだけ変えられるものから改善していきましょう。
例えば寝る時間や起きる時間をいつもより10〜20分早くする、食事の量を一口や二口ほど少なくしてみる、嗜好品は毎日から曜日を決める、などなど。
大きく変えることでストレスを感じるようでは本末転倒です。
まずは小さなことから少しずつ改善していきましょう。
気分転換
気分転換はできていますか?
家や外の出来事をいつまでも引きずっていませんか?
気分転換といってもストレスとなるものを忘れようとしたり、無理に納得しようとかでなく「少し今の気分やテンションを変える工夫はできていますか?」ということです。
方法は人それぞれです。
お風呂に入ってリラックスしたり、好きな音楽や香りを楽しんだり、大好きな芸能人のDVDを観たり、好きなことに没頭したり…、など一人でもできて、動きのないもので気分を変えてみましょう。
すると自然と思考がクリアになり、先ほどまでとは違う感覚になって新たな気分になれることでしょう。
「病は気から」ではありませんが、気持ちが沈んでいると身体の不具合は勝手に寄ってくるもの。
一日のうちで気分転換ができる時間の確保は是非ともおすすめです。
電車ではイヤフォンで、車では自分だけの空間の中で自分の時間に浸るのも簡単な気分転換です。
自分時間を見つけてみてはいかがですか?
運動による発散
運動による発散は心身ともに良いことです。
動きすぎて身体を痛めるのはよくありませんが、身体を動かして中からの発散を促すことは本当にオススメします。
スポーツジムに行ったり、誰かと一緒にするのが億劫でしたら歩いてみましょう。
「仕事で歩いてるからこれ以上歩く必要がない」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが大きな間違いです。
【仕事で歩かされているのと、自分の意思で歩く】のでは、ストレスへの影響が実は全然違うのです。
自ら進んで行動するというのが身体には必要で、受け身ではストレスを受けているのです。
やらされているのと、自分の意思で行うのではこれまでも感覚が違うのはすでに趣味などで体感済みかと思います。
この心理的な違いが身体にも大きく影響を与えます。
影響を与えるのなら良い方に与えたいものですので、自らの意思で歩くだけでも行ってみてはいかがでしょうか。
運動後は睡眠の質も向上し、身体の資本がさらにしっかりするのも運動の良い作用ですね。
不定愁訴とうつ病の関係
不定愁訴とうつ病の関係は非常に密接で、症状だけでの判断はとても難しいものです。
うつ病になると出てくる症状には
- 眠れない、寝た気がしない
- 疲れやすい
- 体がだるい
- 頭痛
- 耳鳴り
- 腹痛
- 胃の不快感
- 肩こり
- 下痢や便秘
- 腰痛
など多くの不定愁訴を訴えるようになります。
不定愁訴が単に身体の不調として現れるのか、もしくは精神的症状と併発して現れるのかの違いがあるので、もし、精神的に思うところがありましたら参考までにうつ病チェックをしてみるといいかもしれません。
うつ病チェック
- 一日中気分が落ち込んでいる
- 一日中意欲がない
- 食欲低下(増加)して、体重の増減がある
- 眠れない、寝過ぎである
- イライラや落ち着きがない
- 疲れやすかったり、やる気がない
- 自分を責めたり、自分には価値がないと感じたりする
- 集中力が低下している
- 自分を傷つけたり、死を考える
当てはまる項目が多いほど、しかも上記の状態になってしまう時間が長いほど重症度は高いと言えるでしょう。
不定愁訴の原因の大元があるうつ病はきちんとした対処により軽減できますので、適切な行動をしていただければと思います。
不定愁訴の治療は心療内科?
不定愁訴を感じたら、まずは心理的・精神的要因が絡んでいないかのうつ病のチェックが必要です。
うつ病チェックは上記の項目でご確認ください。
心理的・精神的要因が絡んでいる場合には心療内科で診察を受けるべきですが、なかには心理的・精神的要因となるストレス源がないケースもあり、そのような場合には心療内科ではお手上げ状態になってしまいます。
「不定愁訴は検査をしても原因が見当たらないので不定愁訴」なのですが、色々と病院をめぐって検査をしてようやくはっきりとした病名がわかった、という例も少なからずありますので、一カ所の病院で原因不明と言われてもそこで諦めるのではなく、2.3件の病院をセカンドオピニオンしても良いと私は考えます。
仮にセカンドオピニオンの話をして医師の機嫌が悪くなるようなら、そんな病院は行くべきではなく、患者さん優先の医療ではありません。
そのような医師のいる病院は、ただ患者さんを通わせたいだけなのでしょう。
話が逸れました…
不定愁訴の原因の正しい診断は1回の診察や、数分の問診や触診だけではとても困難です。
検査の数値と画像で観ることだけで病名を決めてきた西洋医学のデメリットといえるでしょう。
きちんと患者さんを観てくれる先生であれば、解決策は意外と早く見つかるかもしれません。
漢方薬での治療
漢方薬での治療は更年期障害による不定愁訴にはとても効果的ですが、効果を実感するまでには少し時間がかかるのが難点です。
薬は即効性のあるものですが、漢方薬は身体の体質を変えることを目的としているために、徐々に変化していくような成分となっています。
1ヶ月飲んでも効果がないとなると、その先は様子見、または違う漢方薬を飲むことになるので、効果を実感、または症状が楽になるまでさらに時間がかかるのです。
薬とは違って身体に優しいのは大きな特徴なのですが…。
薬物療法
薬は症状への即効性が一番のメリットですので、「とても辛い…」なんてときには薬を使うことも一つの方法でしょう。
ただし薬というのは身体に毒です。
いつまでも飲み続けるのは出来るだけ避けたほうが身体には良いですので、緊急措置的に頼るには薬がオススメですが、症状が落ち着いたら漢方薬に切り替えることも一つの選択肢に出来るといいでしょう。
薬と漢方薬の両方を扱っている病院への受診を私はお勧めします。
不定愁訴を上手に訴えるには
不定愁訴を上手に医師に訴える、伝えるためにはメモ書きを渡すと良いでしょう。
記憶は曖昧ですので、記録として残しておくと医師にも伝えやすく、しかも受付時に受付に渡すと診察前に医師が目を通すことも出来るので診察時間の削減にもなります。
書く内容は、
- 症状はどんなときに感じた、出てきたのか?
- どんなことをすると症状が出るのか、強くなるのか?
- 症状を感じる時間帯
- 症状を感じるところ
- 症状の出る姿勢や体勢
などを時系列に書いておくとわかりやすいです。
ただし、この記録は病院を受診する数日前だけにしましょう。
なぜなら本人の気づかないうちに、この記録を書くために自身の症状を探すようになるからです。
ある程度の症状はスルーすることでいつの間にはなくなるものなのですが、記録を残そうとするとわずかな症状さえも感じ取ろうとして、本来そこまで強く感じない症状までも見つけてしまうことに目的が変わってしまいます。
こうなると脳が症状を記憶してしまうので、ますます症状の対策と対処法が難しくなってしまいます。
あくまでも症状の記録は、生活しているときに感じたものだけを書くのであって、探してまで書くのはやめましょう。
不定愁訴に隠れている心気症
実は、不定愁訴には心気症(しんきしょう)という隠れた精神疾患があり、この疾患も検査をしても異常がなく、しかもうつ病のような精神疾患とも性質となっています。
心気症とは病気がないにもかかわらず病気があるように振る舞ってしまう状態のことをいい、内科を受診する5%の患者さんが当てはまるというデータもあります。
心気症の難しいところは一回の診察や問診で見極めるのが難しいところです。
このような要因も治療や対処の遅れを招き、症状を強くしてしまいます。
不定愁訴と心気症は共に【心】が関係していて、心と同時に思考も関係していることがわかっています。
いわゆる【思い込み】です。
検査をしても異常がない、精神的にも特に心理的要因やストレスも見当たらない。
心気症に当てはまる方は感じている感覚や症状よりも脳が勝手に症状を大きくしてしまい、必要以上に身体の症状や感覚を感じてしまうのです。
そのような場合には身体に起きた症状の良い変化に意識を向けるようにすると、身体起きている良い変化を感じやすくなり、次第に症状に縛られるのではなく、良くなっている症状を自覚しやすくなるので、症状を作ってしまう思考から楽になっていく身体を自覚していく思考へとシフトしていくのです。
健康とは心と精神、身体が密接に関係し合い、絶妙なバランスのもとで成り立っているのですね。
不定愁訴と自律神経
不定愁訴と自律神経は密接に関わっています。
不定愁訴は様々な疾患に関わっているもので、ときには正確な診断をも惑わせてしまうかなり難しい症状の集まりといって良いでしょう。
自律神経の乱れは身体の乱れにつながりますので、多くの不定愁訴が出てきます。
自律神経の代表的な症状は、
- 疲労感
- 睡眠障害
- イライラ
- 無気力
- 頭痛
- めまい
- 胃痛
- 耳鳴り
など多くの不定愁訴が出てくるのです。
原因不明、それに不定愁訴が多いと自律神経失調症と診断されることがほとんどでしょう。
特に町医者にかかると詳しい検査や問診もしませんので初診から間違った対処となり、治療が遅れることになります。
患者さんはわからないことだらけですので、私は出来る限り患者さんに寄り添った施術を常に心がけたいものです。
不定愁訴と男性
あまり多くは知られていませんが、男性にも更年期障害があり、不定愁訴があるのです。
男性の場合、30後半〜70歳近くまでと幅広い年代で見られるのが大きな特徴です。
どのような症状が現れるかというと
- 抑うつ
- 集中力低下
- 不眠
- 物忘れ
- イライラ
- 体力の低下
- 性欲の低下
- 発汗
- ほてり
などなど、女性に比べると精神症状の方が出やすいのも特徴となっています。
原因には男性ホルモンの低下とともにストレスや環境の変化がきっかけとなるケースが多いです。
ストレスは性別に関係なく、生き物全てに関わってくるのですね。
男性更年期障害の検査としては問診と男性ホルモン値の測定なのですが、ホルモン値の低下と症状の程度が一致するわけでないので確実な診断がとても難しいのが現状です。
不定愁訴の原因を正しく知ろう
不定愁訴の原因は何であるのかを早い段階で見極められると適切な治療と対処ができますので、病院の選択とどのように症状を医師に伝えられるかがポイントなるでしょう。
もう一つのポイントは患者さんの話を聞いてくれる医師であること、そして、あなたの表情も観てくれる医師であれば尚更良いでしょう。
身体に感じる症状はどんな症状でも辛いもの。
我慢せずに慎重に病院選びをしたいいただければと思います。