ジャンパー膝の痛み・症状とは?治療・リハビリ方法も徹底解説
カテゴリー:膝の痛み
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本日はジャンプする動作の競技に多いジャンパー膝についての記事になります。
幅広い年代に起きるスポーツ障害ですので、正しい知識と対処法を身につけて、早期に復帰を目指してくださいね。
Contents
ジャンパー膝とは?
ジャンパー膝とは《ジャンプや切り返し、踏ん張り動作の繰り返しにより、腱や靱帯を痛めてしまうスポーツ障害》です。
お皿の上に痛みを感じる《膝蓋大腿靱帯炎》も同じジャンパー膝のくくりで表現されています。
「ジャンプ」競技に限らず膝を曲げることでなってしまう障害ですので、ランナーや野球、その他の競技の選手にもなりやすいものです。
ジャンパー膝の痛みの原因
ジャンパー膝の原因と考えられるものには下記の要因が大きく関わっています。
どれも一つの要素だけではなく複数の要素が絡み合って発症するケースが多いです。
伸長の伸びによるもの
伸長が伸びるのに対して筋肉も同時に伸びると良いのですが、骨の成長に筋肉が付いていけずに伸ばされている状態となります。
そして、繰り返しの動きにより靱帯や腱の付いている所にストレスがかかり続けることでわずかな損傷が起こり痛みとして感知されます。
身体が硬い
身体が硬いことで筋肉の伸縮性は低下し、少しの負荷でも靱帯や腱の付着部にストレスをかけることになります。
筋肉のみならず関節が硬いことも大きな要因となってしまいますので、常に柔軟ストレッチは行いましょう☆
ケア不足
ケアが不足することで筋肉だけでなく、周りの組織も柔軟性が失われてしまいます。
アイシングや交代浴などできちんとケアをすること心がけましょう!
オーバートレーニングや過剰な筋トレ
いうまでもありませんが、トレーニングはやればいいというものではなく、【質】がもっとも大切です。
過剰な負荷をかけることは身体を壊すことに直結しますので、きちんとスケジュールを組み、調子をみながら行うべきです。
根性論の時代はもう終わりました。
これからは効率重視の練習でより早く、ケガなく上達していく時代です。
フォームの問題
膝が内側に入る「ニーイン」になると過剰な負担が膝周辺にかかり、余計な損傷を招きます。
ジャンパー膝だけでなく、他のケガのリスクも高めてしまいますので早急なフォーム修正をすべきです。
オスグットとの違い
膝周辺の痛みということで時々オスグットと間違って来院する方がいらっしゃいます。
明確に違う障害ですのできちんと区別して覚えましょう。
ジャンパー膝はお皿の上下の所が痛くなるのに対し…
オスグットはお皿のもっと下の盛り上がっている「脛骨粗面(けいこつそめん)」というところに痛みを感じます。
膝の前の痛み、ということで混同してしまうのですね。
オスグッドについて詳しくはこちらをご覧ください。
→オスグッドの症状は放置せず冷やしてストレッチで治療期間を短く!
→オスグッドが治らない理由は?オスグッドに関する疑問にお答えします!
膝に体重をかけてジャンパー膝の早期発見のチェック方法
ジャンパー膝のチェック方法を知ることで、早期に治療と対処が出来るようになります。
両足スクワットと片足スクワットをして痛みが出るか出ないかで判断できます。
両足ではこのくらいの膝の角度で痛みを感じ、
片足スクワットでは体重が片足にかかる分、少し曲げただけでも痛みを感じます。
スクワットをして痛いところがお皿周辺であればジャンパー膝、少し盛り上がっているところが痛い時にはオスグットと判断して良いでしょう。
症状
症状の出方はそれぞれ段階により変わりますので、もし痛みがあるのでしたらどの段階かを理解して早期の治療を受けましょう。
痛みはあるけど動ける軽度
痛みはありながらも運動には支障のない程度となります。
適切な治療を受けることにより、1週間もあれば痛みもなく練習に参加できるでしょう。
このくらいの痛みの場合は運動しながら治すことができるのですが、選手一様に「いつか治るでしょ…」と受け取ることが多いようです。
確かに、動ければ問題がないのでそのまま放置してしまうのも理解できますが、
試合などが続き、負荷が減ることなく続くと中度に痛みに移行しますので、この段階での治療を心からオススメします。
運動前後に痛みを感じる中度
運動の前後に痛みを感じる中度では、練習時間の延長や負荷の増強などにより痛みはさらに強くなり、時には練習を途中で抜けるほどの痛みを感じることもあります。
中度と重度の境界のくらいの症状ですので、無理をしてその後はプレーしないことが良い判断となります。
安静と共に2~3週間ほどの期間を要するでしょう。
プレーに支障が出る重度
ここまで頑張ってきた代償として最低でも2週間前後の安静となり、日常生活では階段の上り下りなどでも支障をきたすようになります。
下半身以外のトレーニングは可能で、患部周辺は2週目前後より症状を確認しながら徐々に運動を開始していきます。
安静により筋力も落ちていきますので、運動の開始と合わせて筋トレも行っていくと復帰がすむーずになるでしょう。
ですが焦って強度を上げると痛みがぶり返すことにもなりますので、慎重に負荷は設定すべきです。
靱帯断裂
靱帯の部分断裂の場合、固定などの保存的治療でも治りますが、完全断裂となると手術を要します。
復帰までは3~6ヶ月という長い期間を要することになるでしょう。
靱帯について詳しくはこちらをご覧ください。
→靭帯損傷とは?症状や治療法、早く良くなる方法を解説します。
治療法
治療法は症状の程度により異なり、時には難治性となることもありますが、早期に適切な処置を受けることで防ぐことができます。
まずは安静
軽度の場合は運動しながらの治療が可能ですが、中度からの症状では痛みに耐えながら運動することはフォームの崩れを招きますので、一定期間の安静が必要となります。
ケガの治療は安静から始まるのです。
筋肉を緩める
筋肉を緩めることで柔軟性を取り戻します。
練習による疲労やケア不足、成長期の筋肉はどうしても硬くなるものです。
硬い筋肉を緩めるだけで大きな変化をすぐに感じることができます。
筋肉へのセルフケアについてはこちらをご覧ください。
→筋肉を柔らかくするセルフ施術をご紹介!筋肉にオススメのプロテイン3選
湿布
炎症や腫れがある際には湿布は効果的です。
ですが、効果を感じる期間は限定的で、ある程度症状が治まってきたら貼るべきものではありません。
もし、モーラステープなどを貼りながら太陽さんにあたると火傷のように跡が残ることも…
湿布など薬剤を使用する際には必ず使用法を確認しましょう。
難治性の場合は外科的治療へ
痛みを感じる個所では組織の修復を絶えず行っているのですが、ときに、修復と同時に血管と神経の異常増殖が起こり、痛みを長引かせてしまうこともあるのです。
その様な時には外科的な治療が必要となりますので、長期的に痛みを抱えている場合には一度専門機関を受診して詳しく診てもらう必要があるでしょう。
治療しないで放置すると…
痛みを感じながらも治療しないで放置をしていると、知らない間にフォームは崩れ、パフォーマンスの低下となるでしょう。
すると力で身体を動かすようになり、さらに身体に負担のかかる動きとなってしまう悪循環に陥ります。
時には難治性のジャンパー膝となり、さらに長期的な治療が必要になることも。
痛みに耐えながらの運動は非効率です。
良いことは何もありませんので、早期に何かしらの対処をすべきです。
体重との関連性
よく聞かれる「体重と膝の関係」です。
普段動いている選手においては急激な体重増加でもしない限り、少し動いただけでは痛みを訴えることはありません。
ですが、体重が急激に増えている時期と同時に、膝への負荷を増やすことはリスキーですので、練習内容は考慮しながら行うと良いでしょう。
ケガはたった一度の負荷でもなってしまいますからね☆
セルフ対処法
セルフ対処法でケガ予防とケアを行いましょう!
アイシング
もっとも簡単で効果的なアイシング。
痛みがある時には患部と太ももの前を、何かしらの違和感や足の重さを感じた時には太ももの前をアイシングすることで膝の痛みを防ぐことができます。
「いつもとは違う感覚だな…」と感じたらアイシングでリカバリーを必ずしましょう。
ケガの防止と悪化、の両方に効果的なアイシングですので毎日練習後には行うことをオススメします。
アイシングについての記事はこちら→《アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点》
サポーター
お皿の下を押さえるサポーターを着けることで靱帯や腱の引っ張りを軽減することができます。
サポーターを着けてみて「足が軽い」という感覚があれば合っている証拠です。
逆に「重くなった」「動きづらい」時にはしない方が良いでしょう。
『痛みさえなければそれでいいい』という時には、足の軽さへの評価は必要ありません。
サポーターの選び方はこちらの記事を参考にしてみてください。
マッサージ
選手間のマッサージよりもあなた自身で行った方が筋肉は緩むでしょう。
方法はいたって簡単☆
膝を伸ばして太もも前の筋肉を押し、硬いところ探します。
硬いところを押したまま膝を曲げ伸ばしします。
数回行うと筋肉が緩んで指が入っていく感覚を感じたら成功です♪
同じことを部位をズラして太もも前の全体に行いましょう☆
マッサージについて詳しくはこちらをご覧ください。
→もみほぐしの効果と目的とは?マッサージとほかの施術との違いを解説
ストレッチ
狙うは太ももの前と裏、骨盤前の筋肉です。
まずはまずは太もも前のストレッチから。
立ったまま行うことで最大限伸ばすことができます。
次に太ももの裏の筋肉です。
膝を伸ばしたまま腰を前に曲げていきます。
背中が丸まらないようにしましょう!
最後に骨盤前の筋肉です。
膝をつき、上半身は真っ直ぐのまま骨盤を前の方に手で押してスライドします。
伸ばす強さは【気持ち良さ9割、痛さは1割】です。
決して勢いよく行わないでくださいね!
勢いよく行うことで筋肉は防御反応を起こし、かえって筋肉を硬くしてしまいますよ~
ストレッチについて詳しくはこちらをご覧ください。
→間違ったストレッチをしないために、知っておくべきこととは?
テーピングの貼り方
太もも前よりお皿を囲むようにクルッとはります。
次にお皿の下から太ももの内側と外側それぞれに少しだけ引っ張るように貼ります。
共に少し膝を曲げたまま貼ると良いでしょう。
※使用したテーピングのサイズは【太もも前:75ミリ、両脇:50ミリ】です。
こうすることでお皿が動くのをサポートしてくれるうえに、テーピングにより筋肉の負担軽減もしてくれます。
あくまでもテーピングは補助的はものです。
根本的な痛みを感じなくなるように治療はしましょう。
テーピングの貼り方や効果について詳しくはこちらをご覧ください。
→テーピングの効果って?効果を最大限活かすための注意点と疑問アレコレ
ジャンパー膝の症状と治療方法を理解しましょう
一つだけの要素ではなく複数の要素が同時に起こって発生するジャンパー膝。
正しい対処をして、少しでも早期に完全復帰を目指しましょう!
アイシングは忘れずに!