シンスプリントの原因と治療法、症状予防に必要な環境改善とセルフケア
カテゴリー:脚の痛み
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スポーツをしていてすねに痛みを感じたら、それはもしかすると「シンスプリント」かもしれません。
「シンスプリントの原因と治療法、症状予防に必要な環境改善とセルフケア」にて正しい知識と対処法を知っていただき、症状を最小限に抑えていただければと思います。
Contents
スポーツ選手に多いシンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)とは?
スポーツ選手に多いシンスプリントとは、正式名称「脛骨疲労性骨膜炎(けいこつひろうせいまくえん)」といいます。
すねについているひらめ筋という筋肉が骨の膜を引っ張ってしまい、炎症や痛み、腫れを起こす障害です。(※緑丸部分)
すねの内側と外側の両方で起き、ときには長い期間を治療に要することもあります。
シンスプリントになる原因とは?
シンスプリントなる原因には様々な要因があります。
それぞれ見ていきましょう。
練習環境
練習場所が足に負担のかかるコンクリートやアスファルト、クッション性の乏しいグラウンドや体育館などではシンスプリントになりやすい環境です。
雨の時期が続くと外の競技では練習場所がいつもと変わることで、靴の選択などを誤ってしまうことも。
ジャンプ、ダッシュ、つま先で地面に付く動作が多い練習や競技では、練習場所も考慮して行うとシンスプリントの予防にもなります。
オーバーユース(使い過ぎ)
練習量が増えると多いシンスプリントですが、筋肉が悲鳴を上げて「これ以上動けないよぉ~」となると骨の膜を筋肉が引っ張ってしまい症状が出てくるようになるのです。
大会などの本番で痛みが出ないように、日ごろから大会を逆算して練習量を調節することが大切です。
「痛くても練習は休むなぁ~!」という根性論はすでに時代遅れです。
その様な指導者が一人でもいないことを祈るばかりですが。
急激な運動
身体は動き続けることで次第に強度が増していくのですが、突然の運動により負荷がかかると身体が耐え切れずに組織を痛めてしまいます。
大人の方は昔のイメージで突然運動をすると痛めてしまいますので、徐々に運動の強度を上げていくことを強くお勧めします。
こちらの記事も是非とも参考にしてみてください。
筋肉の柔軟性の低下
筋肉は伸びたり縮んだりして力を発揮しますが、その縮む力が強すぎると骨の膜を引っ張り組織を傷つけてしまうのです。
柔軟性が低下すると発揮する力も低下しますので、力で動こうとします。
フォームが崩れるとパフォーマンスは下がり、ますます力で動こうとしてしまうのでケガのリスクを高める、という悪循環になります。
陸上など身体の能力を競う競技では致命的な悪循環となってしまうでしょう。
回内足や偏平足、O脚
回内足や偏平足で足を着くと、骨のたわみがないために着地の衝撃が直接足へ加わってしまいます。
骨の形も衝撃吸収の役割をしているのです。
その最たるものが「土踏まず」で、着地の際に土踏まずのたわみが伸びることで衝撃の吸収になり、足への負担軽減となっています。
回内足では接地する際に骨のアライメント(配列)が崩れているために足首への負担も大きくなり、足首に慢性的に痛みを抱えることにもなります。
O脚の足の着き方になると本来の土踏まずや筋肉の使い方にはならずに、衝撃の吸収がうまくなされない為に脚全体への負担となるのです。
回内足や扁平足の方は参考になりますので、是非ともこちらの記事もご覧ください、
→足底筋膜炎の原因と治らない理由、お勧めのインソールとテーピングの巻き方
症状とは?
基本的に発症より痛みは伴い、症状の程度はおおよそ軽度・中度・重度の3段階で分けられます。
走りながら治す軽度
軽度では、ウォーミングアップ時には痛みを感じるものの次第に身体が温まってくると症状は無くなり、普通通りに動けるようになります。
「なってしまったら出来るコト」を行いながらケアをすることで、走りながら治すことができるでしょう。
もちろん練習量の調節もマストです!
運動をすると痛みがでてくる中度
中度ではウォーミングアップにより痛みはなくなりますが、練習の終盤になると痛みが戻ってきます。
終盤の練習は実戦形式になるので、足にかかる負荷増加と疲労の蓄積で痛みを感じやすい状況となるのです。
すねが常に痛い重度
日常生活でも、階段を下りたり、つま先で踏ん張る動作になると痛みを感じます。
時には安静にしていても痛みを感じることもあるでしょう。
スポーツの最中は常に痛みを感じ、切り返しなどの踏ん張る動作は普段通りに体重はかけられません。
重度ですのでかなり症状が進行した状態です。
このような状態でもスポーツをしているのはかなり危険な状態といってよいでしょう。
安静が必要な疲労骨折
重度の症状で運動を続けるとしまいには骨が傷つくだけでなく、完全に折れてしまうことにもなるのです。
数年に一度ですが箱根駅伝でも走っている際に骨が折れてしまい、棄権する選手がいます。
せめて中度の時点で適切な対処をしていれば…と思ってしまいます。
疲労骨折についてはこちらをご覧ください。
→疲労骨折の予防法と対処法、早期の症状改善のためにできることを徹底解説!
復帰の目安
軽度
軽度であれば練習をしながら治すことができます。
痛みが無くなるまでは個人差はあるものの、一週間から10日前後となるでしょう。
中度
中度くらいだと気持ちの強い選手は休みたがらないですが、ここはグッとこらえてこの時点で少なくても一週間は休むべきです。
その後は適切な治療・処置・施術で完全復帰には三週間ほどは要するでしょう。
重度
重度になると最初の時点で1か月は必ず休むべきと判断します。
もちろん、途中で経過が良いようなら早めることは可能ですが、焦らず慎重に治療を進めていくことがもっとも復帰を早めることを知っていただければと思います。
重度では適切な治療がないと半年ほどかかる場合もありますので、早めの判断と行動が必要です。
疲労骨折
骨にヒビやそれ以上の損傷がある場合には1か月以上の期間を要しますが、適切な固定と刺激により早期の回復を望めるでしょう。
この時に大切なことは骨の修復を早める食事をすることです。
糖質(炭水化物)は骨の修復を遅らせますので、間食やお菓子・ジュースはご法度です。
我慢できれば早い復帰を引き寄せることになりますよ(^_-)-☆
組織の損傷を早く治す方法はこちら。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
なってしまったら出来るコト
シンスプリントになってしまったら待つだけではなく、積極的な治療をすることで早期の完全復帰を引き寄せます。
簡単なことばかりなので、是非とも実践してくださいネ☆
アイシングをする(冷やす)
練習後のアイシングをするかしないかで翌日の症状は変えられます。
タイミングと時間は、練習後7分以内で15分から20分ほど冷やします。
時間はあくまでも目安なので、途中で感覚がなくなってきたら止めます。
もっとも大切なのは練習後すぐに行うこと。
家に帰ってからでは炎症物質が出きっているので、アイシングの意味はありません。
監督の話をが終わったらではなく、聞きながらアイシングをしてくださいネ!
アイシングの方法についてはこちら。
→アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点
マッサージ
マッサージは揉むような刺激ではなく、筋肉の縮む・伸びる動きに少しだけ刺激を加えるだけです。
簡単ですのでお風呂の中で行ってみてください。
赤:スネの骨、青:押すラインです。
青のラインを押したまま、足首を上下に動かします。
行うごとに痛みは弱くなり、硬さも緩んでいきます。
筋肉を柔らかくする方法はこちらをご覧ください。
→筋肉を柔らかくするセルフ施術をご紹介!筋肉にオススメのプロテイン3選
ストレッチ
ふくらはぎの筋肉を伸ばすこと、足の裏の筋肉を緩めることがとても効果的です。
①ふくらはぎのストレッチ
アキレス腱伸ばしと同じ姿勢になりますが、ポイントは膝をつま先は前を向くことです。
次に、膝を曲げたままのふくらはぎのストレッチです。
ここでも膝とつま先は前を向けましょう!
②足の裏は竹踏みで!
竹を半分に切って、その上を足踏みするだけです。
回数の目安は両足で50歩くらい行ってみてください。
勢いよく踏むと筋肉痛の様な症状になりますので、優しく痛いところで踏んでください☆
ストレッチをより効果的にする方法はこちら。
→間違ったストレッチをしないために、知っておくべきこととは?
テーピング
テーピングは必ず伸びるテープを使用して下さい。
①足の裏からスネの内側にかけて皮膚の上に乗せるように貼ります。
②内くるぶしの上、または下から始まり外へ向かい、そして痛いところを通過して外側へ。
二周ほどすると強度も増して楽になります。
ポイントは患部に対して内側から外に向かって貼ることです。
テーピを引っ張る強さなどはその都度変えてみることで丁度良い強さがみつかるでしょう。
テーピングの効果を高める方法はこちら!
→テーピングの効果って?効果を最大限活かすための注意点と疑問アレコレ
湿布
「腫れている、熱がある」という時には湿布は大変効果的です、
冷える湿布ではなく、消炎鎮痛効果のある湿布を貼ると熱感や腫れの治まりが早いでしょう。
これからは夏です。
モーラステープを貼って太陽には当たらないでくださいネ!
一生消えない跡が出来てしまう可能性がありますので…
医薬品やシップなどは裏面の用法容量を守って、そして注意事項は必ずお読みください。
こんな時は整形外科へ
こんな時は迷わず整形外科に受診してください。
- 足を着いた際に「ピキッ!」「ボキッ!」という感覚を感じた
- 熱感が強く、何もしなくてもズキズキ痛む
- 一晩で腫れが大きくなった、または最後に見た時より大きくなっている
こんな時はすぐにレントゲンを撮るべきです。
ここまでの症状を感じた時には骨に何らかの損傷があることでしょう。
治療方法
保存療法
保存療法というのは手術など外科的なことをせずに治す治療法のことを指します。
中度より症状が強い時には「安静」という保存療法となります。
低周波
電気治療も効果的ですが、使用方法を誤るとかえって症状が悪化してしまうので注意が必要です。
「強く長くかける=早く良くなる」ではありません。
適切な個所に、適度な強さでかけることが症状の軽減となります。
かけるポイントは患部ではなく
- 足の裏
- 患部周辺のふくらはぎの硬いところ一点、または二点ほど
がお勧めです。
強さは少し筋肉が動く程度で行いましょう。
ビクンビクン!と筋肉が動いたり、痛みを感じる強さは逆効果ですので行わないでください。
手術
長く症状が良くならない場合には血管の増殖が原因と考えられます。
異常増殖した血管と神経がくっ付いてしまうと症状を長引かせてしまうということがあるのです。
その様な時には整形外科や血管外科などを受診することをお勧めします。
予防方法
日ごろより予防をして二度と同じ痛みを経験しないようにしましょう!
普段からの身体のケア
練習量が増えてきた、最近足が重いなどの症状を感じたら、アイシングやマッサージで出来るだけ疲労を残さないようにしましょう。
最近はお風呂に入る習慣のない選手もいますので、出来るだけお風呂に入って血液循環を促進すべきです。
ときにはプロによる身体全体のメンテナンスも定期的に受けられればさらにいいですね☆
筋肉の疲労回復方法はこちら。
インソール
回内足や偏平足、O脚の改善は意識だけで直すことはできません。
足の着き方を変えるにはインソールがもっとも効果的、かつ即効性がありますのですぐに入れるべきでしょう。
今では競技やアーチの高さに合わせて選べるほどの種類がありますので、足の状態にあったインソールを入れることで痛みはもちろん、パフォーマンスもアップすることでしょう。
当院でも扱っていて、回内足や偏平足の患者さんには必ずインソールをオススメしています。
結果、皆さん「足が軽くて、走りやすい!足の痛みも感じなくなった!」と喜んでいただけています☆
インソールについて詳しくはこちらをご覧ください。
練習量の調節
大会前になると指導者も気合が入り、練習量の増加や時間の延長になりがちです。
選手に手を抜くことを指導することはないかと思いますので、ここは指導者が選手の動きや顔色、雰囲気を察知して練習量は調節すべきです。
中高生では指導者に意見は言えませんので、是非ともお願いいたします。
筋トレ
筋トレは完全に痛みが消えてから行うべきです。
そして、筋肉が硬いままの状態で筋トレを行うと患部には負担でしかありませんので、筋肉が柔らかい状態になったら患部周辺の筋トレを始めましょう。
負荷も日数をかけて徐々に上げていくようにしてくださいネ。
筋トレについての関連記事はこちら。
骨に異常がなければ接・整骨院へ、疲労骨折は整形外科へ
患部の状態に合わせて治療を変えることで、早期に症状は変化していきます。
いつまでも湿布や低周波を当てていても痛みはとれません。
疲労骨折とわからずに施術していても治りを遅くするだけです。
きちんと患部の状態を把握しながら、症状と照らし合わせて治療することがもっとも大切なことなのです。
自己判断せず、画像にて患部の状態をきちんと診てもらうことが早く治るスタートです。
「いつか治るだろう…」ではなく、あなた自身で早く治す行動をしてくださいネ!