捻挫と骨折の見分け方は?それぞれの対処法と疑問にお答えします
カテゴリー:お勉強シリーズ
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日常生活で転んだり、スポーツなどで手や腕、足を痛めた時、それが捻挫なのか骨折なのか、見分けがつかないと悩んだ経験はありませんか?
また捻挫だと思っていたら「実は骨折していた!」という経験をした方もいらっしゃるでしょう。
今回は捻挫と骨折にどんな症状や原因の違いがあるのか、ケガをした際にも早めに判断できる見分け方についてお伝えしていきます。
Contents
捻挫と骨折の見分け方
捻挫と骨折の見分け方には、
- 痛みのレベル
- 患部の見た目
- セルフチェックによる判断
- エコーなどの画像による検査
の4つから判断が可能になっています。
捻挫と骨折の4つの見分け方についてひとつひとつ見ていきましょう。
痛み方
捻挫と骨折は、痛みレベルから判断できることもありますが、あくまでも痛みレベルでの判断ですので、痛みだけで捻挫と骨折の見分けるのはとても困難です。
参考程度にお見知り置きください。
次の二つが捻挫と骨折を見分ける判断材料になります。
- 痛めた部位を押すと逃げたくなるほどの痛みがある
- 固定をしていないとズキズキとした痛みがある
骨折の場合、ヒビ程度でも押すとかなり痛くて、思わず逃げたくなるほどです。
ですが、捻挫の重症でも同じような痛みを感じるため、痛みだけで捻挫と骨折の判断はとても難しいでしょう。
骨折では固定をしていないと骨折面が離れていることでズキズキとした痛みを感じやすいですが、捻挫ではそのような痛みを感じるケースはそこまで多くはありません。
「動かさないと痛みは楽」というのも捻挫と判断する症状でしょう。
骨折を早く治すにはこちらをご覧ください。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
患部の見た目(腫れ・内出血・異常可動性・軋轢音)
捻挫と骨折は、患部の見た目に大きな違いがあることも。
骨折の場合の見た目は、
- 腫れや熱感、内出血の出るスピードがとても早い
- 普通は動かないはずの方向へ骨が曲がってしまう変形
- 骨折部で両方の骨の端が触れ合う、軋轢音(あつれきおん)
などが生じます。
2・3の症状は捻挫では起きない症状ですので、変形や軋轢音があった際には骨折に間違いないでしょう。
捻挫でも重症では、腫れや熱感、内出血のスピードが早いケースもありますので、そのような場合には骨折の処置をしながら先生に見てもらいましょう。
セルフチェック方法
続いては、捻挫と骨折を見分けるセルフチェック法について見ていきましょう。
【捻挫のセルフチェック法】
- 足や足首、手や手首をひねると痛いけども動かせる
- 腫れがあるけども動かせる
- 足をつけると痛いけども、歩ける
【骨折のセルフチェック法】
- 皮膚がボコッとしていて、変形が見られる
- 患部を押すと激しい痛みを感じる
- 患部に力が入らず、動かせないし動かしたくない
- 内出血の範囲が広い
あくまでも一つの目安です。
完全に骨が折れていないヒビの場合には歩けたり、手を付くことは可能だ出来るケースもあります。
しかし骨折の場合、患部を押すと1ミリ以下のヒビでも逃げたくなるほどの痛みですので、捻挫と骨折を見分ける大きな目安の一つにはなるでしょう。
超音波(エコー)
捻挫と骨折を見分けるには、超音波(エコー)などの画像にて確認することが一番確実です。
最も細かく患部を見られる超音波(エコー)では、1ミリ以下の骨の損傷を見ることが可能ですので、疑わしい場合にはレントゲンよりもエコーで患部を確認すると見過ごすことはありません。
写真にある赤矢印の先の白い線が切れている所が、骨を損傷した箇所です。
サイズは0.4ミリととても小さいですが、しっかりと写り、1ミリ以下の骨折でも患部を押すと手を引っ込めるほどの痛みを感じていました。
捻挫では、患部の靱帯や筋肉、腱などの損傷はもちろん、内出血まで目で見て確認できます。
参考までに…
左:白い線が途切れている(靭帯の完全断裂) 右:白い線が靭帯
レントゲンでは異常がなくても、超音波(エコー)でみたら骨が損傷していた、という例は実は多く、なかなか治らない場合には骨折だったケースも珍しくありません。
部位別:捻挫と骨折の見分け方
捻挫は手首や足首、足の甲などに起こりやすいので、部位別の捻挫と骨折の見分け方を見ていきましょう。
手首:腫れ・痛み方・見た目
手首の捻挫は、手首の周辺に腫れと痛みが生じ、同時に内出血や腫れが見られるでしょう。
手首の骨折の場合は、強い痛みとズキズキ感があり、短時間のうちに皮膚の腫れや赤み、熱感が生じます。
骨を損傷しているので、ヒビでも手首を動かす動きができなくなります。
完全に折れている場合には変形が見られ、痛みの感じ方もさらに強くなることでしょう。
手首の捻挫に関してはこちらをご覧ください。
→手首の捻挫は接・整骨院へ!完治までの期間と治らない理由を徹底解説!
足首:腫れ・痛み方・見た目
足首の捻挫は、外くるぶしの前や下側(写真参照)に痛みや腫れが生じ、筋肉の痙攣が見られることも。
足首の捻挫はもちろん、足首の骨折の原因も足首を捻って起きるのがほとんどです。
両者を見た目だけでの判断はとても難しい上に、後遺症を残さないためにも決して骨折は見逃してはいけないものでもあります。
必ず画像にて患部の状態を確認してください。
足首の骨折は、患部を動かせなくなるほどの強い痛みと同時に、足が付けない状態となります。
腫れも大きく、つま先が垂れ下がると骨折面が離れるため、痛みが強くなるのも特徴です。
変形などは脱臼骨折を併発すると見られますが、基本的には腫れが強いので見られないでしょう。
捻挫についても合わせて、詳しくは下記もご覧ください。
→足首捻挫が治らないのは後遺症かも!?リハビリとセルフチェック方法
→剥離骨折を早く治す方法をご紹介!大切なのは適切な固定と適度な刺激!
足の甲:腫れ・痛み方・見た目
足の甲の捻挫は、赤丸部分に腫れや内出血、歩いた時に痛みを感じるでしょう。
この部分では「下駄骨折」「ジョーンズ骨折」という骨折も起きやすく、手術が必要になるリスクもあるためしっかりと捻挫と骨折を見分けるべきです。
もし骨折が起きている場合には、患部に体重をかけるような動きをすると強く痛んだり、腫れや内出血が見られます。
また足の甲の骨折は、患部から離れた場所を刺激した際にも生じる痛みのことを言う、軸圧痛が起こることもあります。
指先を叩いて、足の甲に痛みを感じる時には骨折の疑いがとても強いでしょう。
→下駄骨折とは?原因や症状、早く治す方法とよくある疑問にお答えします!
→ジョーンズ骨折(第5中足骨骨折)とは?原因や治療法、症状や経過を解説!
捻挫と骨折の対処法
捻挫の場合の対処法は、
- 患部を氷水などで冷やし、安静にする
- 布やラップ、テーピングや専用の器具などで患部を固定し、枕や座布団を使って患部を少し高くして安静にする
- 接・整骨院でみてもらう
捻挫はアイシングによって、痛みと症状がかなり軽減します。
「関節を捻ってしまった!」という時にはアイシングをすぐにしましょう。
アイシングについてはこちらをご覧ください。
→アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点
骨折の場合の対処法は、
- 骨折部位を動かさず、板や傘、副木になるもので骨折箇所を上下の関節までをしっかりと固定する
- 包帯やテーピングを使う際には、副木が動かない程度に、きつすぎず緩すぎずに巻く
- 早めに画像で患部をみてもらう
ことが適切な対処法になります。
ヒビなどの小さい骨折ではアイシングは有効ですが、変形などがあるとアイシングによって筋肉が緊張し、整復(骨を戻すこと)の際に筋肉の緊張で整復出来ないケースもあります。
明らかな変形がある時には、アイシングはせずに固定だけして先生に見てもらいましょう。
捻挫と骨折の見分け方に関する疑問アレコレ
捻挫と骨折の見分け方に関する疑問アレコレにお答えさせていただきます。
捻挫しても歩けるけど痛いは普通?
捻挫が軽度の場合は歩けるものの、痛みがあるのは普通です。
痛いけど歩ける、または患部を押さなければ痛くない、というもの軽度ではよくあること。
損傷した組織(靱帯や関節包などの軟部組織、軟骨)が歩行によって刺激が加わると、痛みを感じるのです。
骨折は自然治癒するの?
軽度の骨折であるヒビは、正しい固定や適切な安静期間にて自然治癒し、痛みが消えていきます。
基本的に骨折は放置していても、骨折面が離れていなければ骨同士はくっ付きます。
ですが、きちんと骨の位置を戻さないと曲がったままくっ付いてしまい変形が残るため、整復は受けて、固定はしっかりと行いましょう。
捻挫だと思ったら骨折!?
捻挫だと思っていたら実は骨折だった…というケースには、
- 患部の腫れや熱感が強く、広範囲
- 日を追うごとに痛み強くなる、または同じ痛みが続いている
- 地面に足をつけないなどの痛みがある
特に症状だけで判断すると骨折を見逃すケースが起きてしまします。
足首や手首を捻った際には必ずエコーなどの画像にて患部を確認しましょう。
骨折の痛みはどのくらい?
骨折の痛みは捻挫に比べるととても強く、部位によっては我慢ができないほどの痛みになるほどです。
また骨折は患部をそっと押しただけでも、思わず逃げたくなる痛みや脳天にギーンと刺激が伝わるような痛みのこともあります。
痛みの感じ方は人それぞれですが、痛みは身体からのメッセージです。
自己判断せずに対処していただければと思います。
骨にヒビが入った時の症状って?
骨にヒビが入ると、
- 患部が腫れて熱感や内出血がある
- 押すと痛みが強い(ヒビでも飛び上がるほどの痛みの場合も)
- 何もしない状態でも痛みを感じる
- 患部近くの関節を動かすと響くような痛みを感じる
などが挙げられます。
ヒビの程度にもよりますが、基本的には腫れや内出血、運動機能に支障をきたすでしょう。
【まとめ】捻挫と骨折の見分け方について
本記事では、捻挫と骨折の見分け方や対処法について解説してきました。
捻挫と骨折は、パッと見ただけではそれぞれの判断が難しいケースも多々あります。
ケガやスポーツ、事故などで手や足を痛めた場合は、捻挫または骨折の可能性があることを考慮し、適切な対処を行うようにしましょう。