打撲と骨折の見分け方とは?見た目や症状の違い、部位別の見分け方をご紹介
カテゴリー:お勉強シリーズ
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打撲や骨折は痛みや皮膚に現れる症状、熱感などの共通した症状が出やすいため、両者の見分け方が難しいと感じたことはありませんか?
ここでは打撲と骨折の見た目や症状、セルフチェック法などからわかる、見分け方についてお伝えします。
「打撲だと思っていたら実は骨折だった…」といったトラブルを未然予防するために、ぜひ参考にしてください。
Contents
打撲と骨折の見分け方
打撲と骨折の見分け方は、
- 見た目
- 症状
- セルフチェック
- 超音波(エコー)
により判断することができます。
打撲と骨折の見分け方についてそれぞれ見ていきましょう。
見た目
打撲は転倒や何かにぶつかった時に起きやすくいのですが、骨折も何かにぶつかった際に発生しやすく、痛みの起きた原因だけでは判断できません。
そこで見た目で判断すると容易に見分けがつくこともあり。それは「変形」です。
骨折は骨が折れた状態ですので、骨折面がズレて関節以外のところで曲がってしまうことがあります。
変形は痛時間の経過とともに出てくるものではなく、痛めた衝撃で起こり、変形があったならば間違いなく「骨折」と判断して良いでしょう。
変形がなく、時間の経過と共に腫れや内出血が徐々に出現し、患部を中心に丸く出ている場合には打撲として処置を行います。
打撲の関連記事もご覧ください、
→打撲のしこりの原因とは?治るまでの目安期間・してはいけない注意点を解説!
症状
打撲の症状には、
- 内出血
- 皮膚の腫れ
- 患部を押すと強い痛みを感じる
- 重度の場合は内出血によって血種ができたり、血行障害が起こる
などがあり、しびれ症状が出ることもあります。
筋肉などの血液循環が多いところの打撲の場合、すぐに腫れ上がり、熱感も出てくるでしょう。
代わって骨折の症状には、
- 患部を動かしたり、足を着くなどで強い痛みを感じる
- 痛めた直後から痛みが強く出る
- 複雑骨折の場合はショック状態に陥りやすい
- 痛めた際に中で何かが折れた感じや感触を感じる
などがあります。
骨折をした時の感覚(感触)を患者さんに聞くと「中で音がした」「中で何かが折れた感触があった」という話を聞くことが多いです。
私も足首を剥離骨折した際には、「ボキッ!」と足首の中で音と感触がありました。
セルフチェック方法
打撲のセルフチェック法は、
- 腫れや内出血があるだけで動ける
- 筋肉を縮めることはできるが、伸ばせない
- 打撲の反対側を押すと痛みが楽になる
などで判断できます。
特に3のセルフチェック方法はとても有効ですので、こちらをご覧ください。
→自分で早く治す!打撲の対処法とセルフケアの方法をお伝えします!
続いて骨折のセルフチェックについて見ていきましょう。
- 関節以外のところで皮膚が盛り上がり、変形が見られる
- 骨折部位を押すと激しい痛みを感じる
- 骨折部位に力が入らず、動かせない、動かしたくないと感じる
- 患部から離れたところを叩くと、患部に痛みが響く
などがあります。
骨にヒビが入った場合の骨折は、手をつく動作や歩行が可能になるケースもあります。
骨折は1ミリ程度のヒビでも、患部を押すと脳天に突き抜けるような痛みを感じるため、打撲と骨折の見分ける目安になります。
骨折を早く治す方法はこちらよりご覧ください。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
超音波(エコー)
捻挫と骨折を見分けるために、超音波(エコー)による画像確認がもっとも確実な見分け方です。
超音波(エコー)検査でわかることは、
- 1ミリ以下の骨の異状
- 患部の筋肉や周りの組織の損傷の程度
- 内出血の範囲
などを目で見て確認することが可能ですので、打撲と骨折の見分けは困難ではありません。
写真の赤矢印の先の白い線が骨折面で、大きさは0.4ミリでした。
ですが、超音波(エコー)の精度によって、太ももの深い部分は見れないこともありますので、大きな打撲だったり骨折の疑いがある場合にはレントゲンが必要になるでしょう。
太もも以外の部分は超音波(エコー)にて容易に判断できますので、ご安心ください。
部位別:打撲と骨折の見分け方
続いては、部位別に打撲と骨折の見分け方についてお伝えしていきます。
肋骨
肋骨の打撲と骨折に見分け方で簡単な方法では
- 息が大きく最後まで吸ったり、吐いたりできるか
- 背伸びができるか
で判断します。
打撲では息の吸う・吐く、だったり、背伸びが問題なくできますが、少しでも骨が損傷しているとできません。
同時に肋骨の骨折の場合は、
- 骨折部位に身を引きたくなる痛み
- 皮膚をなでると凹みを指で触れる
などの症状が見られます。
肋骨の骨折について詳しくはこちらをご覧ください。
→肋骨骨折の原因・症状・治療について解説!セルフチェックの方法もお伝えします
腕
腕の打撲は強い痛みと、脈を打つようなズキズキ感がありながらも腕を動かすことは可能です。
代わって骨折の場合は、ズキズキとした痛みを感じ、短時間のうちに腫れや内出血、しびれや熱感が生じることも。
骨折は骨を損傷しているため、わずかなヒビでも腕(肘の曲げ伸ばし)が動かしにくくなるでしょう。
手の甲や指
手の甲や指の打撲は内出血とともに皮膚が紫色に変色することがありますが、指が動かせるケースがほとんどです。
手の甲や指の骨折では、指を曲げ伸ばし時の痛みはもちろん、場合によっては指が不自然な方向に曲がったりしてしまうこともあります。
痛めてからすぐにズキズキする強い痛みを感じるため、「ただの打撲ではないかも…」と感じて来院する患者さんがとても多いです。
疑いのある時にはすぐに先生に見てもらいましょう。
太もも
太ももの打撲(「ももかん」という)でも筋肉の損傷、内出血が起こるため歩行や膝を曲げることが一時的に困難になるでしょう。
太ももの打撲が重度の場合は、内出血によって筋肉の中に血種や骨化が起こる(骨化性筋炎)場合もあり、治るまでに長期間を要することもあります。
太ももの骨は、股関節と膝を繋ぐ身体の骨でもっとも長い骨で、骨折をすると激しい痛みが出て脚はもちろん、身体全体を動かすことが困難になるケースもあるでしょう。
太ももの骨折は固定だけでなく手術を要することもあり、完治までの期間は半年以上も必要となります。
太ももの打撲で要注意しなければいけない骨化性筋炎についてはこちらをご覧ください。
→骨化性筋炎とは?原因やメカニズム、予防法について解説します
→ももかんって何?正式名称や原因と症状、対処法をわかりやすく解説!
すね
すねの打撲は患部のまわりの皮膚が盛り上がったり、内出血が出てきます。
すねという部位は筋肉で覆われていないため、直接の外力(打撲)が加わるとすぐに骨折してしまうリスクが大きい部位です。
もし骨折が起きた際には歩行や荷重で強い痛みを感じ、腫れや熱感、圧痛があり、重度になると骨折面がズレてしまうこともあります。
何度も繰り返す衝撃によって起こる「シンスプリント」というすねの障害についてはこちらをご覧ください。
→シンスプリントの原因と治療法、症状予防に必要な環境改善とセルフケア
足の甲や指
足の甲や指に生じる打撲は、痛めてからすぐは歩けないほどの痛みを感じて骨折と間違えてしまうケースも少なくはありません。
ですが、時間の経過と共に足も着けるようになり、次第に痛みも軽減していくでしょう。
代わって骨折の場合は、広い範囲で内出血や腫れが起こり、時間の経過とともに痛みが強くなるなどの症状があります。
また患部に少し触れただけで激痛がある場合も、足の甲や指の骨折と判断して良いでしょう。
打撲と骨折の対処法
打撲と骨折の対処法には、症状や痛みの出方が異なるためいくつかの違いがあります。
それぞれ見ていきましょう。
打撲
打撲の対処法は、RICE(ライス)処置が基本となっています。
- 安静のREST:患部と全身を動かさないよう、安静を維持する
- 冷却のIce:打撲した部位をアイスノンや冷却シートなどで冷やす
- 圧迫のCompression:ガーゼやタオルを使って患部を圧迫し、固定する
- 拳上のElevation:患部を心臓よりも高い位置に上げる。血液循環を抑えて内出血を防ぐ効果が期待できる
RICE処置の目的は【炎症物質の分泌を最小限に抑え、腫れや痛みをできるだけ少なくする】ことです。
《長期化を防ぐ方法としてRICE処置を行う》と、ご認識ください。
RICE処置について詳しくはこちらをご覧ください。
→アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点
骨折
骨折の対処法は、
- 骨折部位を動かさず、副木や板、傘などで上下の関節までを包帯や布などで固定する
ことが応急処置になります。
その後、接・整骨院や整形外科にて画像にて患部の状態を見てもらいましょう。
ヒビや小さな骨折の場合は患部のアイシングがとても効果的ですが、変形が見られる場合はアイシングはせずに固定だけにしてください。
その理由はアイシングで冷やすと筋肉が緊張し、整復(骨を元の位置に戻すこと)ができなくなるケースもあるためです。
そのような時は固定だけで、早急に先生に見てもらいましょう。
打撲と骨折の見分け方に関する疑問アレコレ
打撲の骨折の見分け方に関する、病院へ行くべき症状や痛みが続きやすい期間など、疑問アレコレにお応えしていきます。
打撲で病院に行くべき症状
打撲で病院に行くべき症状は、
- 手足の打撲の場合:痛みや腫れが時間の経過と共に強くなっている
- 肋骨や胸部の場合:呼吸をするだけでも辛い
- 頭部の打撲の場合:吐き気やめまい、頭痛などがある
場合で、骨折や脳震盪などが考えられるケースもあります。
頭部に関する関連記事はこちらをご覧ください。
→赤ちゃんにたんこぶが…!?様子別に見る症状と対処法を解説します。
打撲の痛みはいつまで?
打撲の痛みがどれくらい続くのかは、程度や個人差によって異なります。
打撲の痛みは一般的に放置していると、
- 軽度の場合は3〜7日程度
- 重度の場合は1ヶ月以上
となります。
あくまでも打撲だけの痛みですので、骨化性筋炎を発症すると半年かかることもありますので、十分な注意が必要です。
→骨化性筋炎とは?原因やメカニズム、予防法について解説します
「打撲して歩くと痛い」時の対処法は?
打撲して歩くと痛い時の対処法には、包帯で患部を巻くと楽になります。
包帯がなければ伸びるデーピングで患部を2周ほど巻くと、動きはかなり楽になります。
打撲を自分で治す方法はこちらをご覧ください。
→自分で早く治す!打撲の対処法とセルフケアの方法をお伝えします!
【まとめ】打撲と骨折の見分け方について
本記事では、打撲と骨折の見分け方についてお伝えしてきました。
打撲と骨折は痛みの出方や患部の見た目で判断できる場合がありますが、時間が経過しても症状が強かったり、または変わらないなどの異状を感じたら、すぐに先生に見てもらいましょう。