スミス骨折(橈骨遠位端骨折)とは?原因や症状、治療法・リハビリを解説!
カテゴリー:肩・肘・手首の痛み
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スポーツや事故、日常生活の躓きなどで転倒しそうになると、手をついて身体を衝撃から守ろうとすることでしょう。
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)はこのようなシーンで起こりやすい手首の骨折のひとつです。
ここではスミス骨折の正式名称や原因、症状や治療法、リハビリなどの基礎知識についてお伝えしていきたいと思います。
Contents
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)とは
スミス骨折の正式名称は橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)と言い、この骨折を報告した人の名前がスミスという著名人であったことが由来と言われています。
最初に発表した人の名前が付くもので代表的なのは「オスグッド・シュラッター病」なども有名です。
オスグッド・シュラッター病に関してはこちらをご覧ください。
→オスグッドの症状は放置せず冷やしてストレッチで治療期間を短く!
→オスグッドが治らない理由は?オスグッドに関する疑問にお答えします!
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)の原因と症状
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)の原因と症状について見ていきましょう。
原因
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)には、
- 手の甲側をついて転ぶ
- 自転車やバイクに乗っていて転倒する
などが原因で前腕の2本の骨のうち、橈骨(橈骨)で折れる骨折(緑丸部分)のことを言います。
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)は男女の性別や年代にかかわらずに起こる可能性のある骨折です。
特に高齢者の場合は年齢を重ねるごとに骨がもろくなっているため、ちょっとの躓きで手をつき転倒した際にも、スミス骨折が起こりやすい傾向でもあります。
- 高いところからの転倒で手をついた
- 外部からの強い力が加わる
ことが原因で起きることもあるでしょう。
症状
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)の症状には、
- 手首周辺の強い痛み
- 手首まわりの腫れや内出血
- 手首周辺の変形
- 手首が思うように動かせない
などの症状が現れます。
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)は、たとえヒビでも手首の動きは著しく制限され、日常生活にも支障をきたすため放置する例はほとんどない骨折です。
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)は骨折面の状態によっては、
- 手首にフォークのような変形
- 親指から薬指のしびれ
- 腫れが原因の手首の圧迫(手根管症候群)による神経の麻痺
などが起こることも。
手根管症候群についてはこちらをご覧ください。
→手根管症候群の治療は手術が最善?体験談からの読み解きと手術失敗のリスク
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)の治療法とリハビリメニュー
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)の治療法、リハビリメニューには何が必要となるのでしょうか?
それぞれ見ていきましょう。
治療法
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)の治療法は、
- 骨折による転位(骨のズレ)がほとんど見られない場合:ギプスを用いて4週間程度固定
- 骨の転位がある場合:手術による整復と固定(転位状態によりプレートなどで固定)
- 何かしらの麻痺などの神経症状がある場合:手術により原因の除去
などの治療が行われます。
骨折した衝撃で骨が曲がったままだったり、骨折面同士にズレがある場合は、麻酔をしながら骨を元の状態に戻す「整復(せいふく)」を行います。
治療後の経過を観察し、固定はきちんと継続されている場合は、およそ4~6週間程度のギプス固定となり、骨折面の転位が大きく、手首の関節に面した骨の一部が整復不可能な場合は、全身麻酔での手術が選択されることもあるでしょう。
リハビリメニュー
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)は、ギプス固定中と固定が外れた後で行われるリハビリメニューに違いがあります。
それぞれのリハビリメニューについて見ていきましょう。
【ギプス固定中のリハビリメニュー】
ギプス固定中には骨折が生じた手のむくみを緩和するため、次のようなリハビリが行われます。
- 手を心臓よりも高い位置に保持する
- 指を握る、開く、または摘む動作を行う
- 肘を曲げて肩の高さにまで挙げる
- 肘を伸ばして腕を耳の横につける
骨折部位の位置により固定の位置が肘まである時には、肘の曲げ伸ばしが制限されるので、指の動きと肩の運動だけでも積極的行うことをオススメします。
【ギプス固定が外れた後のリハビリメニュー】
ギプス固定が外れてからのリハビリメニューは、
- 台やテーブルに腕をのせ、手首を手のひらの方向や手の甲の方向に動かす(「おいでおいで」の動き)
- 脇をしっかりと締めて、手のひらを上下に動かす
比較的1の動きを取り戻すまでは長い時間はかかりませんが、手のひらを上と下に返す動きは肘を使って誤魔化してしまう傾向があるため、積極的に、しかも意識を持って動かさないと長い時間がかかるでしょう。
お風呂などで温めた後に行うと筋肉や周りの組織が柔らかくなるため、毎日積極定に行いましょう。
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)のリハビリ期間
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)のリハビリ期間の目安としては年齢や治療法(固定のみか手術か)、骨の癒合期間によって変動します。
学生さんで、固定のみの場合には治癒に至る期間も早く三ヶ月程度で完治となりますが、高齢者で骨粗鬆症などを抱えている、または手術適応の際には半年以上もかかることでしょう。
半年もかかる理由としては
- 骨粗鬆症により骨の癒合が遅い
- 周りの組織の修復・正常化まで時間がかかる
- 年齢のためリハビリへの意欲が低い
などが挙げられます。
ですが、積極的なアプローチにより骨が元に戻るだけただ待つよりも明らかに早い変化は可能です。
その方法はこちらをご覧ください。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)と間違いやすい骨折
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)と間違いやすい骨折には、
- コーレス骨折
- バートン骨折
があります。
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)との違いを見ていきましょう。
コーレス骨折
コーレス骨折は手のひらをついて転倒した際に手首付近の橈骨骨折のことを言います。
コーレス骨折には、
- 橈骨の遠位骨編が手の甲の方に転移している
- フォークを伏せたような変形が見られる
などの症状があります。
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)は橈骨の手首側の骨折面が手のひらの側に転位した症状のため、コーレス骨折とは逆の状態・変形が見られます。
バートン骨折
バートン骨折は関節内骨折で関節面が手のひら側、または手の甲の方にズレて脱臼を伴う骨折のことを言います。
バートン骨折には、靱帯や関節包の損傷があるため、スミス骨折(橈骨遠位端骨折)やコーレス骨折に比べると、徒手整復後の固定性が悪く整復が困難なため、手術が適応になるケースが多い傾向です。
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)を早く治すには
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)を早く治すための食生活や運動のポイントについてお伝えしたいと思います。
食生活について
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)を早く治すためには、骨の形成を促すタンパク質やカルシウム、ビタミンDやKを含有する食品をバランスよく補うようにしましょう。
糖質は骨の癒合を遅らせてしまうリスクがあるため、間食などで過剰な摂取をしないように気を付けましょう。
お菓子はもちろん、果物の過剰摂取も要注意です。
運動について
スミス骨折(橈骨遠位端骨折)は療養中でも、固定を維持しながら無理のない範囲で身体を動かすことを推奨します。
例えば、固定はしながらでも患部に痛みや違和感がないようでしたら、適度な運動を行うことで全身の血行が良くなり、骨の癒合が促されるのです。
骨の修復は安静にしているよりも、ある時期になったら患部への適度な刺激が骨の癒合を早めることになります。
【まとめ】スミス骨折(橈骨遠位端骨折)について
本記事ではスミス骨折(橈骨遠位端骨折)の原因や症状、治療法などについて解説してきました。
スミス骨折を未然に予防するのは難しいかと思いますが、万が一なってしまった場合でも回復を早めるためにも是非とも本記事を参考していただければと思います。