コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)とは?原因や症状、分類について解説。
カテゴリー:肩・肘・手首の痛み
この記事は約 6 分で読めます。
主に転倒で手を床に強く付き、のちに手首周辺に痛みや腫れが生じていた場合は、コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の可能性が考えられるかもしれません。
ここでは手首の骨折のことをいうコーレス骨折(橈骨遠位端骨折)について、原因や症状、その分類だけでなく、リハビリや治療法などもお伝えしていきたいと思います。
Contents
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)とは
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)とはどのようなケガなのでしょうか。
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の原因や症状、骨折の分類や起きやすい年齢層をそれぞれ見ていきましょう。
原因
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)は【前腕にある2本の骨のうちの橈骨(とうこつ)が手首の部分で折れてしまう骨折】のことを言います。
コーレス骨折は、高所からの転落や転倒時に床に手をつき、大きな衝撃が手関節に加わることが主な原因です。
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の他に、手をついて起こる骨折である「舟状骨骨折」についてはこちらをご覧ください。
→舟状骨骨折について。原因や症状、治療法や早く治す方法を解説します
症状
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の主な症状には、
- 手首の強い痛み(鼓動をうつようにズキズキした痛みの場合も)
- 腫れや熱感
- 手首の著しい動きの制限
などがあります。
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)が中等の症状の場合は、手首の不自然な曲がりなどが見た目で判断できるケースがあり、重度の場合は指や腕全体のしびれなどの神経症状が起こることがあるでしょう。
分類(スミス骨折・掌側バートン骨折・背側バートン骨折)
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)には、
- 転倒した際に手の甲側を地面について骨折し、骨折部位が手のひらの方向にずれてしまう「スミス骨折」
- 遠位骨片が手根骨とともに手のひらの方向に転位(手関節内の骨が手のひらの側にずれたもの)した「掌側バートン骨折」
- 遠位骨片が手根骨とともに背側に転位(手関節内の骨が手の甲の側にずれたもの)「背側バートン骨折」
の3つの分類があります。
スミス骨折について詳しくはこちらをご覧ください。
→スミス骨折(橈骨遠位端骨折)とは?原因や症状、治療法・リハビリを解説!
起きやすい年齢層
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)は、閉経後で骨が脆くなった中高年の女性に多く見られる傾向にあります。
ただコーレス骨折は、子ども・青壮年・高齢者のどの年代でも起こり得るケースがあり、
- 子ども:橈骨の手首側の成長軟骨の部分で骨折が起こりやすい
- 青壮年:高所やバイクからの転倒、衝撃による高エネルギーによる損傷の骨折が起こりやすい
- 高齢者:転倒やちょっとの躓きで床に手を強く付いた際に起こりやすい
など、それぞれに原因や症状が異なっています。
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)は、どの年代にかかわらず、前腕のもう一本の骨である尺骨(しゃっこつ)の先端やその手前部分が同じタイミングで折れてしまうケースがあります。
子供の骨折は骨が折れずに「しなる」骨折も特徴的で、それは「若木骨折」といいます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→若木骨折とは?子供に多い手首骨折の治癒期間やリハビリを詳しく解説
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の治療法
続いてはコーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の主な治療法について見ていきましょう。
シーネ固定
シーネ固定とは、
- 石膏
- グラスファイバー
- アルミニウム
などでつくられた固定具で、コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)が生じた部位に当て、弾性包帯で固定する治療法です。
シーネ固定は、骨の修復がある程度の時期になるまで行われます。
「骨が完全にくっ付くより前に固定を外す理由」はこちらをご覧ください。
→剥離骨折を早く治す方法をご紹介!大切なのは適切な固定と適度な刺激!
手術
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)で手術が選択されるケースは、
- 著しい変形が見られるとき
- 関節にも骨折があるとき
に検討されることが多く、骨の形を整えるための金属のプレートとネジで固定をします。
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)が完治した後に再度手術を行い、抜去することが推奨されています。
リハビリメニュー
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)のリハビリメニューは、
- 固定中:手首以外の指や肘など日常生活での使用、血液循環の向上
- 固定後:手関節の拘縮改善のため、日常生活での積極的な使用
が行われます。
また手首の関節の動きを取り戻すため、ボールを使った自動可動域訓練なども行われるでしょう。
よく骨折後には筋力トレーニングがリハビリとして行われますが、本気のスポーツ選手以外では必要とない現場では感じています。
なぜなら、著しく筋力が落ちる部位でもありませんし、日常生活を過ごすだけでも取り戻せるからです。
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の予後と後遺症
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の予後と後遺症について見ていきましょう。
予後
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)は、
- 適切な期間のギプス固定
- 症状に応じた治療・施術を受ける
- 固定後の継続的なリハビリ
を正しく行うと、予後は較的良好です。
- 最初(初診時)の見立てに間違いがない
- 固定中に骨折面がズレない
- 粉砕骨折などの重症ではない
などの状態でなければ、後遺症が残るケースは少ないでしょう。
後遺症
- 手首の変形
- 変形治癒による手関節の可動域制限
- 骨折部の長期的な痛み
- 骨癒合が停止している偽関節
- 親指・人差し指・中指と薬指半分の感覚異常
などの後遺症が残るケースが稀にあります。
軽度~中度の場合のコーレス骨折(橈骨遠位端骨折)は、受傷2~3ヶ月後に手首の固さを感じますが、次第に日常生活への支障はなるでしょう。
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)についての疑問
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)について、完治期間や固定部位の範囲などの疑問にお答えしていきたいと思います。
完治までどのくらい?
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の完治は、
- 固定のみとリハビリでは早くて2ヶ月半程度で完治
- 術後6〜8週間で手をつくなどの中等度の作業が可能になり、3ヶ月〜4ヶ月程で完治
とみておきましょう。
「完治」というのは日常生活に支障なく使えて、スポーツをしても問題ない状態のことを言います。
「治療を卒業した状態」とも言えるでしょう。
骨の癒合期間はどのくらい?
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の骨の癒合期間は、一般的には【5週間】が目安となっています。
ですが、骨の癒合と固定が外れる期間は一致しません。
なぜならある程度の状態になったら刺激を加えたほうが骨の治りも早いからです。
固定は3〜4週間、骨の癒合まではもう少しかかるとお見知り置きください。
骨の治りを早くする方法はこちら。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
固定部位はどこからどこまで?
コーレス骨折(橈骨遠位骨骨折)の固定部位は、肘の下から手(指の下)までです。
骨折の固定する範囲は「骨折した部位の上下の関節付近まで」が基本的な原則になっています。
言い換えると「骨折部位が動かない範囲までの固定が必要」ということです。
【まとめ】コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)について
本記事ではコーレス骨折(橈骨遠位端骨折)の原因や症状、リハビリ内容などについてお伝えしてきました。
コーレス骨折(橈骨遠位端骨折)は季節柄、雪道での転倒が原因となることもあります。
寒い時期には足元注意で、転倒には十分気をつけましょう。