すねの骨折の種類、原因や症状、完治期間の目安、よくある疑問にお答えします
カテゴリー:脚の痛み
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すねの骨折は一括りのイメージがありますが、実はすねの骨折にはさまざまな種類・症状があることをご存知でしょうか?
ここではすねの骨折の種類やそれぞれの原因、早めに把握しておきたい完治期間の目安やよくある疑問をわかりやすくお伝えしていきます。
Contents
すねの骨折の種類と原因
すねの骨折には、
- 衝撃による外傷
- 疲労骨折
など大まかな原因が2種類あります。
すねの骨折の種類と原因について詳しく見ていきましょう。
外傷
外傷が原因で起こるすねの骨折は、ケガや事故、転倒などによって発生します。
- 骨が完全にズレて(転移や変形)している場合(完全骨折)※写真参照
- またはズレが見られない場合(不全骨折)
などの症状があり、完全に骨が折れていない場合のヒビでも痛みは強く生じるでしょう。
すねの骨折はヒビを含め、患部の強い痛みや腫れ、内出血、圧痛、骨折部が動くことで生じる軋轢音(あつれきおん)、変形などの症状が見られ、完全骨折になると激痛でその場から動けませんし、外傷によるヒビでも脚は地面に着けないでしょう
疲労骨折(疾走・跳躍・後内側型)
すねの骨折の二つめに分けられる疲労骨折は、スポーツなどですねの骨に継続した負荷がかかり、骨の組織が
- ヒビ
- 骨膜の炎症
が生じたことを言い、痛みを感じます。
またすねの疲労骨折は、痛みが生じる部位によって、次の3つのタイプに分かれています。
- 疾走型疲労骨折:陸上選手をはじめ、走る競技に生じやすく、すねの上1/3の部位に多く見られている
- 跳躍型疲労骨折:ジャンプ動作が多いスポーツ時に生じやすく、脛骨(けいこつ)中の1/3によく見られている
- 後内側型疲労骨折:ジャンルにかかわらず、スポーツ全般で生じ、発生頻度がもっとも多いと言われている。脛骨下1/3後内側によく生じる
別名「シンスプリント」といい、運動選手にとても多い障害となっています。
詳しくはこちらをご覧ください。
→シンスプリントの原因と治療法、症状予防に必要な環境改善とセルフケア
すねの骨折(脛骨骨折)の完治期間の目安
すねの骨折(脛骨骨折)が完治するまでには、どのくらいの期間がかかるのでしょうか?
すねの骨折の完治期間の目安について見ていきましょう。
外傷によるヒビ(不全骨折)
外傷によるヒビが完治するまでには、およそ4~6週の期間を目安とみていてください。
もちろん、ヒビの範囲や深さにより治るまでの目安期間も短くなります。
外傷による完全骨折
外傷による完全骨折の場合はすねの骨の機能が回復し、完治できるまでには12週程度の期間が目安とされています。
固定期間も長く、日常生活にも大きく支障をしたすことでしょう。
疲労骨折
すねの骨の骨折(脛骨骨折)の疲労骨折について、疾走型・跳躍型・後内側型それぞれの完治の目安期間を見てみましょう。
- 疾走型脛骨疲労骨折の場合:2~3ヶ月のリハビリによって完治しやすい
- 跳躍型脛骨疲労骨折の場合:難治性のために完治まで半年以上かかるケースがあり、早期復帰を目指す場合は手術が必要になることも
- 後内側型疲労骨折の場合:通常、運動を1ヶ月程度休止することで完治することがほとんど
あくまでも目安ですので、適切な治療・施術を行うとより早く完治までの期間を短くすることが可能です。
先生の指示やアドバイスに従って、焦らずに治しましょう。
骨折を早く治す方法はこちら。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
すねを骨折しても歩けるのはなぜ?
すねを骨折していても歩けるのはなぜ?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
シンスプリントでも骨にヒビは生じますが、日常生活での歩行は痛いながらも可能です。
もちろん完全に折れてしまった骨折では歩行はできません。
また骨粗鬆症によってすねを骨折した人でも、歩行可能なケースが数多く報告されています。
すねの骨折の特徴
すねの骨折には、
- 筋肉で覆われていない
- 治りにくい
- 合併症の危険性
などの特徴があります。
すねの骨の骨折のそれぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
筋肉で覆われていない
筋肉はスポーツや事故などの衝撃から骨や関節を守る役割があります。
ですが、すねの内側には筋肉がなく皮膚の下にすぐ骨があるため、打撲などの衝撃がすねに直に加わると、守る組織(筋肉)がないために骨折しやすい部位でもあるのです。
写真でも見えるようにすねの内側には筋肉がなく、皮膚の下は直ぐに骨となっています
サッカーなどで「すねあて」を入れるのも脚同士の衝撃からすねを守るためで、必ず装着するよう競技規則で定められています。
治りにくい
すねの骨の骨折は早期の応急処置と適切な治療にて通常は治る傾向ですが、
- 骨折片が皮膚を突き破った
- 骨がバラバラになった(複数骨折)
などでは、骨同士の癒合(ゆごう)が難しくなったり、骨が変形して癒合するケースも残念ながらあります。
骨折が早く治るには血管が多いことも条件となりますが、脛骨の下1/3部分では血管が乏しいため治りが遅くなる傾向で、後内側型疲労骨折の場合ではスポーツの復帰までに時間がかかってしまうのもそのためです。
合併症の危険性(神経・血管の損傷、コンパートメント)
すねの骨折には、次のような合併症のリスクがあります。
- 神経や血管の損傷:足のしびれや皮膚に触っても温かみがない(冷感)は神経や血管の損傷の可能性がある
- コンパートメント:コンパートメント(骨や筋膜、骨間膜で囲まれた状態のすねの構造)の中にある血管、神経が圧迫され、血流障害や麻痺が生じやすくなる
衝撃などの強い外傷では大きな力で損傷するため、組織(神経・血管)が広範囲で損傷するだけでなく、力のかかる方向により縦方向に骨が折れてしまうと、骨折面が鋭利になり神経や血管を傷つけてしまうのです。
コンパートメント症候群になると手術適応となることもあり、骨折以外の症状にも十分な配慮が必要になります。
すねの骨折の後遺症
すねの骨折の後遺症にはどのようなものがあるでしょうか。
主な後遺症とそれぞれの症状についてお伝えしていきます。
偽関節
偽関節とは、骨が折れたまま癒合せず可動性を残したままの状態を言います。
適切な治療をしたにも関わらず偽関節になってしまう理由には
- 細菌感染
- 血腫による影響
- 骨折部への圧迫力以外の外力
- 血行不良
- 体質的なもの
- 栄養障害
- 不適切な固定
などが原因です。
場合によっては防げないこともありますので、日々の先生との対話がとても重要となるでしょう。
変形治癒
変形治癒は、骨折したすねの骨が正常とは異なった形態で癒合することを言い、
- 機能障害や痛みを伴う
- 交通事故の骨折で見られることが多い
などの特徴があります。
すねの骨は皮膚の下に直ぐ骨があるため、変形治癒を皮膚下で触れ、見た目にもわかることから精神的ストレスを残すこともあるでしょう。
神経損傷による関節機能障害による麻痺
神経損傷による関節機能障害による麻痺は、神経が過度に圧迫されてしびれや麻痺が残り、さらには骨が固まってスムーズな歩行ができなくなるリスクがあります。
その他、
- 足首や指の運動障害
- 知覚感覚などの障害
などの症状を残し、以前とは明らかな支障をきたすようになってしまうのです。
鎖骨骨折の後遺症についてはこちらをご覧ください。
→鎖骨骨折の後遺症とは?治療法や全治期間、よくある疑問にお答えします
すねの骨折に関する疑問
すねの骨折の症状やリハビリ内容など、よくある疑問にお答えしていきたいと思います。
症状は?
すねの骨の骨折の主な症状は、
- 強い痛み(もちろん圧痛も)
- 内出血
- 皮膚の腫れ・熱感
などがあり、完全骨折では特に痛みは強く、その場からも動けないほどの症状となります。
衝撃による骨折では内出血が広範囲に現れますが、シンスプリントでは内出血は現れずに腫れや熱感、圧痛、運動痛のみの場合がほとんどです。
リハビリは何をするの?
すねの骨の骨折によるリハビリには、
- 足関節の柔軟性の改善を図る、有酸素トレーニングや筋トレ
- 動作改善確認
などがあり、ギプス固定中でも行える足趾はできるだけ動かすようにしておきます。
その後固定の範囲や固定力軽減によって徐々に動かす関節や動作を増やしていき、次第に筋トレなどで落ちた筋力と関節の可動域を取り戻すリハビリを行っていく流れとなるでしょう。
同時に、骨折部に体重をかけたり、ジャンプ動作時などの恐怖心も無くしていくことも必要になってきます。
手術ではボルトを入れるって本当?
すねの骨の骨折の手術では、ボルトを入れて骨折部を固定するケースがあります。
ボルトによる手術は、固定が強固になることで骨折した部位のズレを予防したり、ボルトのサポートによって荷重をかけられる時期が早くなるなどの利点があります。
適切な固定は、早期の骨の修復に絶対必要な要素です。
手術に関する先生の説明に疑問がある場合には、納得するまで質問をしましょう。
【まとめ】すねの骨折について
本記事ではすねの骨折の種類や原因、完治までの目安期間について解説してきました。
すねの骨折の種類である疲労骨折は、全体の45%を占めるほどに起こりやすいと言われています。
すねの骨折が起こりやすいシーンや原因、症状を理解し、スポーツ前後のストレッチやケア、骨に良い食生活を心がけて骨折を未然に予防しましょう。