股関節が固い原因とは?セルフチェックや対処法、疑問アレコレにお答えします
カテゴリー:脚の痛み
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股関節の固さは普通に生活をしていると自身では気づきにくいもの。
施術の際にストレッチをしたり、思いつきで運動をした時に股関節に固さにみなさん気づくようです。
ここでは股関節が固い原因や固さを判断するセルフチェック法、股関節を柔らかくすることで得られるメリットなどをわかりやすくお伝えします。
Contents
股関節が固い原因とは
股関節が固い原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは考えられる原因を見ていきましょう。
生まれつき
股関節の固さは生まれつきによる原因も珍しくはありません。
子どもの頃に先天性股関節脱臼を生じていたことがある人の場合は、股関節が浅い構造になってしまうため、股関節の動きが制限されて固くなってしまうのです。
同時に股関節を酷使するような動きも制限されるため、できるだけ股関節に負担をかけないでいることも余計に股関節を硬くしてしまう原因でもあります。
先天性股関節脱臼についてはこちら。
→先天性股関節脱臼とは。特徴や原因、症状や治療法についてお伝えします。
ケガによるもの
股関節の固さは、大腿骨頭という球状の骨がずれてしまう股関節脱臼や股関節に近い太ももの骨折などが原因になることも。
股関節脱臼やその周辺の骨折やケガが生じると、そもそもの関節構造が脱臼により形状が変わる、または股関節を動かさないような動きを自然に身につけていきます。
ケガによって関節の形状が変わるために、物理的に関節の可動域が狭くなるのです。
同時に動かさないことによっても関節組織が固まり、関節自体も固くなっていきます。
ケガによる関節の固さについてはこちらをご覧下さい。
→足首を伸ばすと硬くて正座ができない方はストレッチinお風呂で解決!
生活習慣
以前の生活習慣は床に座ったり、和式トイレを使用したりと、普段から股関節が自然と使われる生活をしていました。
ただ、現代では床に座る、和式トイレのように深くしゃがむ動作をほとんどしないケースも珍しくありません。
生活習慣の中で股関節への刺激が減少し、知らないうちに股関節は硬くなっていくのです。
筋肉の固さ
股関節とそのまわりの筋肉・関節は、上半身を支えて、
- 立つ
- 歩く
- 走る
- 座る
といった動きを担っています。
運動不足や筋肉を使わない習慣は血行が滞って老廃物の排出ができなくなり、筋肉が長期間こわばったままとなるため、股関節が固くなってしまうことも。
同時に筋肉だけではなく、関節包、靭帯、関節周辺組織も固くなり、加えて股関節の固さを招いていくのです。
靭帯についてはコチラ。
→靭帯損傷とは?症状や治療法、早く良くなる方法を解説します。
年齢による組織の変性
年齢による組織の変性、と書きましたが厳密には
- 動かさないことによって、関節を構成する筋肉や関節包、靭帯などの組織が固くなる
も強く関わって起きる原因と言って良いでしょう。
悪く言えば「老化」という表現にはなりますが、定期的な運動や刺激があると関節はそう固くはりません。
ただ、動かしすぎると関節にも負担をかけることになりますので、定期的な運動と使い過ぎの両者のバランスは簡単ではないと常に現場で感じています。
股関節が固いとどうなるのか?
股関節が固いとどうなるのでしょうか。
関節が固いと、下記の良くない影響が出ると言われています。
などなど、色々と挙げられるでしょう。
股関節が人体で一番強い力を発揮する関節ですので、筋肉も多く使われて、代謝にも大きく影響します。
関節の可動域が狭いと力の発揮できる強さに影響して、高いジャンプやダッシュなども最大限引き出せません。
そして股関節は下肢を支え、骨盤につながる関節のため、背骨や骨盤の姿勢維持にも影響して諸々の良くないことを起こしてしまうのです。
猫背に関する記事と、お腹ぽっこりについて詳しくは下記をご覧下さい。
→猫背矯正ベルトとは?おすすめする理由と効果のある人とない人の違い
→反り腰チェックでひどい腰痛の原因を知ろう!答えはインナーマッスル⁉︎
股関節が固いのは女性に多い?
股関節が固いのは男女ともに大きな差はないように現場では感じています。
そして男女では股関節の固さにも
- 男性:内側に固い(写真左)
- 女性:外側に固い(写真右)
と、それぞれ生活習慣やクセによって固さの方向性に違いがあります。
男性は小さい頃からあぐらをかいて座ることが多く、一方女性はアヒル座りと言われる両足を外側に開いて座る傾向があり、それぞれ自然に行なっている逆の方向では固くなっている方がとても多いです。
そして現代の子供で多いのは股関節を抱え込んで行うストレッチの動作です。
こちらは年少から大人まで、男性の方が固い傾向にあります。
言い換えれば関節の柔軟性は、普段の生活の中でも十分に柔らかくできる、とも言い換えられるのでしょう。
関連記事はこちら。
→足首を伸ばすと硬くて正座ができない方はストレッチinお風呂で解決!
股関節の固さチェック
ここで股関節の固さチェックを行ってみましょう。
股関節の多方向の動きをチェックしておくと、固いのか柔らかいのかを判断することができます。
是非とも行ってみてください。
【股関節の前後方向への動きをチェック】
- 仰向けに寝転がり片足は伸ばして床についたまま、もう片方は股関節と膝関節を曲げて、両腕で膝を抱えるようにしながら膝を胸に引き寄せる(写真右)
柔らかい方は、引き寄せた足の太ももが胸に付くでしょう。
固い方は太ももは胸にはつかず、伸ばした足も床から浮いていることでしょう。(写真左)
股関節が後ろ方向に柔らかければ、伸ばした足も浮かずに床に付いているかと思います。
こちらのチェックで固かった方は、是非ともこちらの記事もご覧下さい。
→足首が固いのはなぜ?原因と生じるデメリット、セルフチェックや対処法を解説
【①股関節の内方向の固さチェック】
- 仰向けに寝転がり、片方の膝を内側に倒す
柔らかい方は床に太ももの内側が付くでしょう。
固い方は腰が浮いたり、あるところで股関節にロックがかかりそれ以上倒せません。
【②股関節の内方向の固さチェック】
- つま先は正座のように伸ばし、両足を外に開いて座る
柔らかい方はお尻が床につきますが、固い方は股関節や膝に痛みを感じて、それ以上お尻を下に下げることはできません。
このチェック方法は無理をして行うと股関節だけでなく、膝も痛めてしまいますので、ゆっくりお尻を下げるようにしましょう。
ご紹介した二種類の方法は女性は比較的柔らかい傾向で、男性で両方とも柔らかい方はかなり少ないかと思います。
【股関節の外方向の固さチェック】
- 床にあぐらをかき、両足の裏側をくっつけた状態で座る
- 両手で膝の内側を押して床にくっつける
柔らかい方は両膝の外側が床にくっ付きますが、固い方は浮いてつきません。
このチェック方法は男性の方が比較的柔らかい方が多いでしょう。
股関節が柔らかい事によるメリット
股関節が柔らかいと、
- まわりの筋肉、関節の柔軟性が高いまま維持でき、血液の流れが良くなって痩せやすく、むくみにくくなる
- 骨盤が前傾し、正しい位置に収まって重心のバランスが取れるためポッコリお腹の解消につながる
- 筋肉が伸び縮みしやすくなり、股関節の衝撃吸収がスムーズになって日常生活動作の腰への負担が抑えられる
- 血液循環が良いことで酸素や栄養素を含んだ血液が筋肉に行き届き、疲れにくい体質になる
- パフォーマンスを最大限発揮できる
などの理想的なメリットがいくつも挙げられます。
関節は固いよりも柔らかいに越したことはありません。
日常生活で毎日少しづつ動かしていきましょう。
股関節が固い時の対処法
股関節の固さはストレッチやケガ後のリハビリをはじめ、生活の中での刺激などで改善・予防が可能です。
股関節が固い時に有効な対処法を見ていきましょう。
ストレッチ
チェック方法でご紹介した動きを、運動後やお風呂上がりに行いましょう。
身体を柔らかくするタイミングで最も適しているのは《身体の芯から温まっている運動後》がお勧めです。
運動習慣のある方は毎回の運動後にストレッチをするだけで自然と柔らかくなっていくしょう。
同時にストレッチによるメリットも享受できますので、是非とも行ってください。
「ストレッチで効率的に身体を柔らかくする方法」の詳しくはこちら。
→間違ったストレッチをしないために、知っておくべきこととは?
リハビリは最後まで
ケガによって股関節に負荷をかけない期間があった場合には、痛みが消えただけでなく、関節の可動域を取り戻せるよう最後までリハビリを行いましょう。
自己判断でリハビリを終了させると関節の可動域が狭いままになり、十分なパフォーマンスを発揮できませんし、場合によっては日常生活に支障をきたすこともあります。
同時に股関節が固い状態をそのままにしてしまうと、筋肉が衰えたり、疲労やストレスを感じやすくなるなどの良くない影響が出てくることも。
先生と一緒にリハビリは最後まで行うようにしましょう。
生活の中での刺激
関節は日常生活での刺激によっても柔らかさを維持、または柔らかくできます。
その方法として
- 和式トイレのようにしゃがむ
- 体育座りをする
- あぐらをかく
などを行い、普段から股関節に刺激を与えていきましょう。
加えて、普段からのストレッチも行えればさらに良し!です。
継続的な運動
やはり大切なのは運動です。
股関節の固さは周辺の筋肉を伸ばしたり、刺激を与えることで身体機能が活性化し、徐々に柔らかい股関節に変わっていくため、定期的な運動を心がけましょう。
外に出るのが億劫な時には、「その場足踏み」でも十分です。
ほんの少しの運動が、固くない股関節へと変えていけるでしょう。
「股関節が固い」に関する疑問
続いては、股関節が固いことに関するさまざまな疑問にお答えしてみたいと思います。
一日で柔らかくする方法はあるの?
股関節の固い原因が筋肉だけの問題であれば、一日で柔らかくできるでしょう。
ただ、その柔らかさを維持するにはやはり毎日の継続あるのみです。
施術により柔らかくすることは可能ですが、継続的な刺激を与えないと固くなる傾向にあります。
運動後にストレッチをして柔らかくなったら、当日のお風呂上がりにも行って、柔らかさを維持しましょう。
柔らかくする方法は、固さチェックと同じ方法で行ってみてください。
身体の芯から温まっている状態であれば、確実に股関節だけでなく他の関節も柔らかくなっていくでしょう。
股関節が固いのは太ももが太いから?
股関節の固さは、太ももの「太さ」ではなく「固さ」に大きな関わりがあります。
太ももの前が固いと股関節を後ろにする動作が固くなり、太ももの裏が固いと膝を抱え込む動作が固くなります。
同時に腰や膝にも何かしらの不具合をもたらしてしまうので、太ももはとても重要な役割を担っているのです。
【まとめ】股関節が固い原因について
本記事では股関節が固い原因とセルフでできるチェック方法、柔らかな股関節に導く対処法などについてお伝えしてきました。
柔らかい股関節は、現代人によくあるさまざまな不調の改善や予防につながります。
ぜひお伝えした対処法で股関節の固さをなくし、しなやかな動きと快適なコンディションを取り戻していただければと思います。