歩くと膝が痛い原因とは。症状のセルフチェック法や痛みを和らげる対処法
カテゴリー:膝の痛み
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膝の痛みはつい我慢してしまうことがよくある症状でもありますが、歩くと膝が痛いのは日常生活やスポーツの支障になる可能性も否定できません。
ここでは歩くと膝が痛い時に考えられる原因と、痛みを和らげる対処法をお伝えしていきたいと思います。
Contents
歩くと膝が痛い時の原因
歩くと膝が痛い時の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
考えられる原因を見ていきましょう。
変形性膝関節症などによる組織の変性
歩くと膝が痛い時に考えられるもっとも多い原因に、変形性膝関節症があります。
次に半月板や靭帯など膝関節を構成する組織の変性です。
膝の痛みの原因となりやすい変形性膝関節症は、加齢やケガ、歩き方や作業による負荷の連続によって軟骨がすり減り、膝関節が変形する病気のことを言い、女性に多い傾向にあります。
高齢になるほと発症率が高まるとされる変形性膝関節症は、立ち上がるとき・歩き始めて間もない時に痛みを感じますが、しばらくすると痛みが治まるケースもあるため、何が原因なのかわからずに進行してしまうケースも珍しくありません。
半月板や靭帯の変性は毎日の労働や癖などによっても起き、気づかないうちにも起こってしまうのです。
変形性膝関節症についてはこちらをご覧ください。
→変形性膝関節症の原因と将来ならない為に今すぐにでもすべきコト
靴があっていない
歩くと膝が痛むのは、靴が合っていないことも原因のひとつとして考えられます。
足のサイズや幅などに合っていない靴を履くと、
- 歩行時の足首への動きを制限する
- 足の趾への負担増、または使わない歩き方になる
などの影響によって膝に何かしらの症状を招いてしまうでしょう。
その理由について詳しくはこちらをご覧ください。
→変形性膝関節症のしてはいけない運動とスクワットやウォーキングの効果
筋肉系
歩くと膝が痛いのは、運動不足による筋力不足、または筋肉の緊張過多になっていることも原因です。
膝には、
- 太腿の骨となる大腿骨(だいたいこつ)
- すねの骨となる脛骨(けいこつ)
の2つの骨で主に構成されていて、膝には軟骨や関節包などの組織で構成されています。
過重時には太ももとふくらはぎの筋肉により、膝関節への負担軽減、または過度に負荷がかからないように筋肉が守っているのです。
その筋肉が不足していると、膝関節への負担が軽減できずに関節内の組織へ余計な負荷をかけてしまいます。
逆に筋肉の緊張過多になると、膝関節へいつも余計な負荷をかけてしまうのです。
膝への負担軽減と余計な負荷が加わり続けると、ただ痛みがあるだけでなく、膝関節内部を構成している軟骨や関節包に何かしらの変性を起こしてしまい変形性膝関節症を引き起こしてしまうケースも多くあります。
詳しくはこちら。
→変形性膝関節症の原因と将来ならない為に今すぐにでもすべきコト
スポーツ障害
スポーツ障害とは、スポーツをしている選手に多く現れる障害で、
などがあり、症状がひどくなると歩くだけでも痛みを感じてしまいます。
それぞれは組織が炎症を起こしたり、筋肉による膝関節への過負荷によって痛みが出てきますが、詳しくは下記をご覧ください。
→ジャンパー膝の痛み・症状とは?治療・リハビリ方法も徹底解説
→腸脛靱帯炎になりやすい人とは?原因と症状チェック、早く治す方法をお伝えします
→オスグッドの症状は放置せず冷やしてストレッチで治療期間を短く!
病気
歩くと膝が痛い時は、
- 膝の関節が炎症を起こして腫れ、痛みを伴う「関節性リウマチ」
などの病気が原因になっている可能性もあります。
初期症状の時には腫れや熱感などは強く表れませんが、進行していくと痛みだけでなく腫れや熱感が強くなり、日常生活にも支障をきたしかねません。
痛みが出たり出なかったりを繰り返す場合には病院にて、検査を受けましょう。
歩くと膝が痛い時の痛みを治す(和らげる)ストレッチ
ここからは、歩くと膝が痛い時の痛みを治す(和らげる)ストレッチをご紹介しますので、家事や仕事、運動の合間にぜひ試していただければ幸いです。
寝ながら
- 仰向けに寝転がり、片方の足先を掴む
- 掴んだ方の足を伸ばして太ももの裏を伸ばす
- 気持ちよさを感じる間行う
おそらくほとんど方は太もも裏の筋肉が固いために、膝を完全に伸ばすことはできないでしょう。
無理に伸ばすと痛いだけでストレッチも逆効果となってしまいますので、膝は曲げてまま行っても構いません。
太ももの裏には膝の動きに関わる、大きくて強い筋肉が付いています。
太ももの裏が緩まるだけで、足が軽くなるでしょう。
ストレッチの方法について詳しくはこちら。
→間違ったストレッチをしないために、知っておくべきこととは?
立って
立って行うストレッチも併せて行うと良いでしょう。
- 片手を壁やイスに起きバランスを保ち、片足の足首をつかむ
- 掴んだ足のかかとをお尻の方に引き寄せる(お尻にかかとが付けば更に効果アップ)
- 気持ちよさを感じる間行う
太ももの前にも大きくて強い筋肉がついています。
膝の前に症状がある場合には大変効果的なストレッチです。
時間の合間を見て、積極的に行ってみてください。
座って
座って行うストレッチはふくらはぎになります。
ふくらはぎも膝の動きや痛みにとても強く関わってきますので、しっかりとストレッチしてみましょう。
- 床に座る
- かかとを遠くに突き出すように伸ばす
- 気持ちよさを感じる間行う
ふくらはぎから膝裏に伸びている感覚があれば、上手にできている証拠です。
お風呂やリラックスしている時に行ってみてください。
立ってふくらはぎを伸ばすストレッチやテーピングの方法はこちら。
→歩くと痛いアキレス腱炎の対処法とテーピング。違和感は切れる前兆!?
歩くと膝が痛い時の症状チェック
歩くと膝が痛いのは、痛みがある膝の部位によって考えられる原因が異なります。
ここでは歩くと膝が痛い時の、膝の部位別の症状と考えられる原因を見ていきましょう。
膝の上
歩くと膝の上に痛みを感じる場合は、
- 膝のお皿と靭帯の付着部に炎症が起こっているジャンパー膝
- 膝に何かしらの負荷により、余分な水が溜まっている
などの可能性が高いです。
スポーツをしている方ではジャンパー膝の可能性が高く、高齢の方で膝のう上に水が溜まっている場合には変形性膝関節症の疑いがあります。
→ジャンパー膝の痛み・症状とは?治療・リハビリ方法も徹底解説
→変形性膝関節症の原因と将来ならない為に今すぐにでもすべきコト
膝の下
歩くと膝の下が痛い場合は、
などのスポーツ障害が考えられます。
ジャンパー膝はお皿の上と下に症状が出て、オスグッド・シュラッター病はお皿下の出っぱり周辺に痛みを感じます。
どちらも放置をしていても良くなるまでにかなりの時間を要するでしょう。
詳しくはこちらをご覧下さい。
→オスグッドが治らない理由は?オスグッドに関する疑問にお答えします!
そのほか
膝の内側
歩くと膝の内側が痛い場合は、膝の「鵞足(がそく)」という部分が炎症を起こした、「鵞足炎」の可能性があります。
膝の鵞足は、膝の曲げ伸ばしや膝から下を外側にひねる動作で動く、
- 縫工筋
- 薄筋
- 半腱様筋
- 半膜様筋
写真はそれぞれ左から縫工筋、薄筋、半腱様筋、半膜様筋となっています。
という4つの筋肉がまとまっている部分となるため、膝の酷使によってこれらの筋肉に負荷がかかり、膝の内側に痛みが出やすくなります。
鵞足炎についてはコチラ。
膝の外側
膝の外側の痛みは、ハードな運動習慣がある人に生じやすく、ランニングやジャンプなど、膝に負担がかかる動作を繰り返すことによって腸脛靱帯という箇所に炎症が起きる、「ランナー膝」が原因と考えられます。
同時に横方向に激しく動く競技にも置きやすく、歩くだけでなく、階段の上り下りや膝の曲げ伸ばしても痛みを感じ、日常生活にも支障をきたすケースも少なくありません。
腸脛靱帯炎についてはこちら。
→腸脛靱帯炎になりやすい人とは?原因と症状チェック、早く治す方法をお伝えします
歩くと膝が痛い時の対処法
歩くと膝が痛い時の対処法として
- マッサージ
- ツボ押し
の方法をご紹介しますので、見ていきましょう。
マッサージ
膝の痛みには、膝の動きに関わる筋肉の柔軟性を高めると痛み軽減が望めます。
「どこの部位を緩めるべきか」を知るとセルフケアで膝の痛みを軽減できるでしょう。
ではどこの部位の筋肉にマッサージをすると良いのかというと…
- 大腿四頭筋(太ももの前)
- 太ももの裏
- ふくらはぎ
- 膝裏
の4つの筋肉になります。
運動前後や入浴後など、血行が促されているタイミングで次のマッサージを試してみましょう。
【大腿四頭筋】【太ももの裏】【ふくらはぎ】のマッサージは下記の記事を参考に行ってみてください。
→筋肉痛への部位別マッサージ方法をご紹介。早期対処で早期回復!
注意点としては
- 最初のうちは、物足りないくらいの強さと回数で行う
- 痛気持ちいいくらいの強さで行う
です。
強さや回数を間違うと筋肉痛や余計な膝の痛みを出しかねません。
自分の身体がどのように反応、変化するのかを確かめながら徐々に強さや回数を変えていきましょう。
【膝裏のマッサージ】
膝裏のマッサージは直接指で揉むと、激痛でしかありません。
揉むのではなく「押して動かす」と緩みやすいのです。
押しすぎると筋肉の痛みも残りやすい箇所でもありますので、注意しましょう。
膝裏のマッサージの方法はこちらをご覧下さい。
→膝裏の痛みの原因は歩きすぎ?腓腹筋と痛みの原因を徹底解説!
ツボ
膝の痛みに効果的なツボもご紹介します。
膝を曲げると痛みがある時には
- 血海(けっかい)
- 梁丘(りょうきゅう)
の二つのツボを押してみましょう。
膝を伸ばすと痛い時には
- 外膝眼(がいしつがん)
- 内膝眼(うちしつがん)
的確なポイントを押さえるのは難しいので、丸で囲った周辺を指で押してみて、気持ちいいところ、周りとは感覚が違うところを10秒ほど押してみましょう。
血海のツボは、歩くと膝が痛む原因、変形性関節症のケアにも効果的です。
歩くと突然膝が痛くなるのはなぜ?
歩くと突然膝が痛くなるのは、これまでご紹介した原因以外にも突然痛みは発生します。
その理由には【身体が頑張って隠していた状態が、カバーしきれなくなって痛みが出る】のです。
重いものは待たず、しかも運動はしていないにもかかわらず、普通に生活していただけなのに、下り坂を降りた時に痛みを感じて、それ以降歩くと痛い、という患者さんがいらっしゃいました。
病院での診断は「変形性膝関節症」です。
特に思い当たる節がないのに、突然痛みを感じ、しかも膝関節が変形していたということに患者さんは驚いていました。
このようなことからも、身体は年齢と共に変化し、骨や靭帯、そのほかの組織も年相応になっていくということ。
その中でも身体は上手に痛みが出ないように頑張ってくれているのです。
同じような例では、レントゲンなどの画像検査をしても「何も異常はない」という方、または痛くないけど画像検査をしたら「変形性膝関節症」だった、という方もいらっしゃいました。
痛みがあるから必ず病名がつくわけでもありませんし、痛くなくても病名がついてしまうことも。
一番お伝えしたいことは【痛みはいつ来るかわかりませんし、完全に防ぐことはできない】という事実です。
大切なのは《痛みが出てから適切な行動を起こし、早期に痛みを軽減・消失できるか》ということだと、私は常々感じています。
今通っている院で長く通っているにもかかわらず症状に変化がない場合には、通院する院を変える勇気も必要です。
先生のために通院しているのではなく、あなたのために院があるということを今一度、認識し直して早く症状が楽になっていただけたらと強く思います。
【まとめ】歩くと膝が痛いについて
本記事では歩くと膝が痛い時の原因や病気、和らげる方法についてご紹介しました。
歩くと膝が痛む場合は運動量や作業時間などの調整、膝に負担がかかる肥満などに気を付けましょう。
膝の長期的な痛みが続いている場合はすぐに検査や施術、治療を受けていただければと思います。