すべり症でやってはいけないストレッチとは?正しく知って症状軽減!
カテゴリー:腰の痛み
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すべり症はさまざまな原因によって腰の骨がずれてしまい、腰痛や足の痛み、しびれが生じてしまいます。
ここではすべり症でやってはいけないストレッチをはじめ、詳しい原因や症状、治療法や予防法などをわかりやすく見ていきましょう。
Contents
すべり症とは?
すべり症とは、第1~第5までの腰椎が、何かしらの原因によってずれてしまう障害のことを言い、その原因や症状は主に次のようなものがあります。
原因
すべり症には、
- 脊柱の一部に疲労骨折が発生し、その部位が剥離して起きる「分離すべり症」
- 骨と骨の間にある椎間板が老化し、変性して起こる「変性すべり症」
のふたつの種類があります。
変性すべり症の根本的な原因は明確になっていないことが現状ですが、女性ホルモンのバランスの乱れによって骨の状態が悪くなる中高年以降の女性に多く見られる傾向です。
分離すべり症の原因には、成長期の活発なスポーツ活動による腰の骨の疲労骨折後に起きるとされています。
分離すべり症は腰のケガに多い腰椎分離症の次に生じやすく、第5腰椎に多く見られるのが特徴のひとつです。
→腰の疲労骨折(腰椎分離症)の原因・症状は?セルフチェックと予防法を解説
症状
すべり症は、
- 腰痛
- 坐骨神経痛
が主な症状になります。
すべり症が重度になると、腰椎の後方にある脊柱管という神経が通る道が細く狭くなることで、脊椎の神経が圧迫され、下半身にしびれや痛みが生じ、この状態が長期的に続くことも珍しくありません。
すべり症にはその他にも、
- 排尿の勢いがこれまでよりも弱くなる
- 足の筋力の低下
- 少しの距離を歩くだけでも臀部や太ももに痛みやしびれを感じる
- 一時的な休息で痛みは引くものの、再度の歩行で痛みが繰り返す(間欠性跛行:かんけつせいはこう)
などの症状があります。
すべり症が軽度の場合は単純に腰や足の疲れ、腰痛だと判断してしまい、自身ですべり症に気付けないケースも少なくはありません。
坐骨神経痛と腰痛に関してはコチラ。
→坐骨神経痛でしびれがあるのはなぜ?チェック方法とストレッチを紹介
→腰痛を早く治す方法はお風呂とストレッチ!腰痛の時の寝方と湿布の使い方
治療法
すべり症の治療法は、
- 安静を維持する
- 内服薬の投与
- コルセットの使用
などの保存療法が主な治療法となり、すべり症による痛みやしびれが強く出ていても、保存療法で回復するケースがほとんどです。
動き始めると痛みが出るなど、すべり症の症状を繰り返している場合は、
- 電気治療
- 理学療法
- マッサージ
- 軽い体操
などの治療が行われるでしょう。
すべり症はその程度によって、レアケースではあるものの手術による治療が選択され、すべり症の手術は主に、
- 骨のずれによって神経が圧迫されている状態を取り除く「除圧術」
- 内視鏡を使った「椎弓切除術(ついきゅうせつじょじゅつ)」
- 必要に応じて脊椎を固定する「脊椎固定術」
などになります。
マッサージともみほぐしについてはこちらをご覧ください。
→もみほぐしの効果と目的とは?マッサージとほかの施術との違いを解説
すべり症でやってはいけないストレッチ
すべり症でやってはいけないストレッチがあり、間違って行うと症状の悪化になることも。
すべり症の悪化や長期化を避けるためにも、ここではやってはいけないストレッチと禁忌次項を把握していただけると幸いです。
ストレッチ
すべり症でやってはいけないストレッチは、
- 腰を後ろにそらせる動きが必要なストレッチ
- 腰をひねる動作が必要なストレッチ
となり、このような動きをしてしまうと痛みが強くなって歩行や動作がスムーズにならないなどの支障が出てしまうおそれがあります。
またすべり症は、腰に強い衝撃が加わるジャンプなどの動きも避けることが推奨されています。
スポーツ活動ももちろん中止となり、特にテニスやバドミントン、野球など腰を強く捻る競技では注意も必要です。
腰やお尻、太ももなどに何かしらの異状を感じたら、すぐに先生に見てもらうことを強くお勧めします。
こちらも併せてご覧ください。
→椎間板ヘルニアを重症化予防の対処法や、痛みを和らげる方法を詳しく解説!
禁忌なこと
すべり症で禁忌なことは、
- 腰に負担、衝撃がかかる動作や中腰
- 長時間の同じ姿勢、体勢
- 猫背などの乱れた姿勢
などがあります。
またすべり症によって下肢の痛みやしびれが長期的に続いているのに、そのまま放置してしまうことも禁忌次項のひとつとなります。
ケガ以外のものに【いつか治るだろう…】は通用しません。
場合によっては、ケガでも放置して治らないものもあります。
痛みや不具合は身体からのメッセージです。
受け取ってきちんと対処したほうが早期の軽減・消失となるでしょう。
腰痛におすすめのストレッチはこちら。
すべり症の予防法とは
すべり症の予防法には、
- 腰回りの筋肉を緩めておく
- 腰への負担軽減につながる、腰痛予防に良い対策を行う
- 適度な運動や栄養バランスの取れた食生活で肥満に気を付ける
- すべり症による保存、手術療法を終えた後も腰に負担のかけない生活を心がける
がポイントになります。
普段の過ごし方や、スポーツでは運動量や運動時間、そしてフォームの見直しも必要です。
自分の身体の使い方や姿勢などはなかなか自身では気づきにくいもの。
先生と協力しながら一緒に進めていきましょう!
すべり症に関する疑問集
ここからでは、すべり症に関する疑問にお答えしていきたいと思います。
歩き方ってどうなるの?
すべり症は、腰椎の後方を走る脊椎神経が圧迫された状態のため、下半身に痛みやしびれが生じ、それをかばうびっこを引いたような歩き方になってしまうことも。
すべり症では長い距離を歩くと痛みやしびれが出ますが、かがむとこの症状が一時的に緩和する「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」という症状も生じやすくなります。
痛みをかばう歩き方を一度身につけてしまうと、以前のような歩き方に戻るまでに時間がかかる、または戻せない、なんてことも十分あり得ます。
このような理由からも、身体に異状を感じたらすぐに対処したほうが賢明と言えるでしょう。
しびれに関して詳しくはこちら。
温めるのはいいの?
すべり症は、
- 急性のもの、炎症が起こっている場合は過度な血流を抑えるために冷やすのが良い
- 慢性のすべり症、筋肉や組織が硬くなっている状態は血流を改善するために温めるのが良い
と言われています。
すべり症の状態は自分自身で明確に判断できないケースがほとんどですので、温めるまたは冷やすどちらが良いのかは、状態を見てもらった先生に適切なアドバイスをもらうようにしましょう。
何事もその道の専門家に任せたほうが間違いありません。
そして、疑問に思うことはなんでも先生に遠慮せずに質問しましょう。
暖める腰痛対処法はこちら。
→腰痛を早く治す方法はお風呂とストレッチ!腰痛の時の寝方と湿布の使い方
立ち仕事の人がなりやすい?
すべり症になりやすい人には、運動や加齢によるものが主な原因とされていますが、このほか筋肉の硬さも強く関わってきます。
常日頃から腰に硬さや疲労感、つっぱり感などがある場合にはきちんと解消しておくべきでしょう。
すべり症はこの他にも、
- 背骨の後ろ側、椎間関節がすべり症になりやすい形状をしている人
- 子どもの頃に腰の疲労骨折である分離症があった人
なども、椎間板が傷みやすい状態にあるためにすべり症になりやすいと考えられています。
腰には「反り腰」という状態になると様々な不具合も出てきます。
詳しくはコチラ。
→反り腰チェックでひどい腰痛の原因を知ろう!答えはインナーマッスル⁉︎
→反り腰の原因や改善する方法とは?ストレッチや運動を徹底解説!
ウォーキングはいいの?
すべり症の保存療法によるリハビリや運動指導では、ウォーキングのメニューが選択されるケースもあるため、すべり症時のウォーキングは有効と言えます。
ウォーキングは他の有酸素運動・筋トレに比べると下半身にかかる負荷が低いため、腰回りの筋力アップやすべり症で気を付けておきたい肥満の緩和や予防にもお勧めです。
ただ、間欠性跛行がある方にウォーキングはお勧めできませんので、先生と相談しながら距離や負荷などを設定しましょう。
身体に負担なく筋力をつけるトレーニング方法として「加圧トレーニング」というものがあります。
こちらも参考にご覧ください。
→加圧トレーニングの効果とは?実は良いことだらけなのをご存知ですか?
コルセットはつけるべき?
すべり症のコルセット使用も、保存療法で必ずといいほど行われる治療のひとつです。
すべり症でコルセットを装着すると、
- 患部の固定を保つ
- 中腰などの腰に負担のかかる動作の制限
- 腰回りの筋肉への負担軽減
などのメリットが期待できます。
すべり症によるコルセットの装着は、状態によって目的や装着の期間が異なるため、先生に相談して適切な使い方を指示してもらいながら、使用の期間をしっかりと守るようにしましょう。
コルセットの使い方に関してはこちら。
【まとめ】すべり症でやってはいけないストレッチについて
本記事ではすべり症の原因や症状、禁忌事項などについてお伝えしてきました。
すべり症は単純な疲労や腰痛と楽観視してしまうケースもあるため、痛みやしびれが長期化している際は早めに検査と治療(施術)を受けていただければと思います。