骨折の超音波治療|効果と注意点とは。
カテゴリー:お勉強シリーズ
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骨折に使われる低出力パルス超音波(LIPUS)とは?
仕組み、使用時間、効果に関する研究、料金、子どもへの使用、レンタル時の注意点を「白石接骨院いとう」が解説します。
骨折に使われる超音波治療は、低出力パルス超音波(LIPUS:ライプス)と呼ばれる方法です。骨折部に微弱な超音波を断続的に照射し、骨がつながっていく過程を補助する目的で使用されます。
ただし、超音波を当てればどの骨折も必ず早く治るわけではありません。骨折の部位やずれ、固定状態、手術の有無、年齢、喫煙、基礎疾患などによって経過は異なり、研究結果にもばらつきがあることをご理解ください。
この記事では、骨折に使われる超音波の仕組み、期待できること、使用方法、注意点や料金について、できるだけわかりやすく解説します。
「白石接骨院いとう」では、伊藤超短波社製の超音波骨折治療器「オステオトロン」を使用しています。
骨折の回復を支える方法については、こちらもご覧ください。
→手や足の骨折を早く治す方法は?骨の回復を早める秘訣を教えます
骨折に使う超音波治療機器とは?
骨折に使われるLIPUSは、人の耳には聞こえない微弱な超音波をパルス状に骨折部へ届ける治療法です。一般的な温熱用超音波とは出力方法が異なり、強く温めたり、電気刺激を流したりするものではありません。
また、骨折部を確認するための超音波画像観察と、修復を補助する低出力パルス超音波治療は別のものです。
- 超音波画像観察:骨表面や周辺組織の状態を観察する
- LIPUS:骨折部へ微弱な音圧刺激を与え、骨癒合を補助する
骨折の確定診断や転位の評価、固定期間の決定には、整形外科での診察やレントゲンなどが必要です。LIPUSは整復・固定・手術・経過観察に代わるものではなく、骨折治療を支える選択肢の一つです。
骨折に超音波を使う仕組み
LIPUSによる微細な機械的刺激が骨折部へ伝わると、骨の修復過程に関係する細胞反応や骨形成を促す可能性があると考えられています。
骨折した骨は、炎症期、修復期、リモデリング期という段階を経て回復します。LIPUSは、このうち骨が形成されていく過程を補助する目的で使用されます。
一方で、LIPUSだけで骨のずれを元に戻したり、不安定な骨折部を固定したりすることはできません。適切な位置での固定と定期的な画像確認が治療の基本です。
超音波で骨折は早く治る?
過去の一部の臨床研究では、LIPUSによって骨癒合までの期間が短縮したと報告されています。
医療機器メーカーも、特定の研究結果を根拠に「約40%短縮」と案内しています。
しかし、この数字がすべての骨折に当てはまるわけではありません。
比較的新しい質の高い研究では、手術を受けた新鮮骨折に対して、機能回復や画像上の骨癒合を明確には早めなかったという結果も報告されています。
そのため、現在は次のように理解するのが適切です。
- 骨折の種類や状態によって効果が異なる可能性がある
- すべての骨折が一律に40%早く治るわけではない
- 遷延癒合や偽関節など、治りにくい骨折で検討されることがある
- 固定や手術、整形外科での経過確認を補助する方法である
「白石接骨院いとう」でも「何日で治る」と断定せず、骨折部位、固定状態、生活習慣や栄養状態、整形外科での画像所見などを踏まえて、おおよその固定期間や復帰までの見通しをお伝えします。
骨折時の超音波の使用方法
代表的なLIPUS機器では、骨折部にプローブを固定し、1日1回、約20分照射します。機器によって設定や使用方法が異なるため、必ず医師や施術者、メーカーの指示に従ってください。
照射中は刺激や熱をほとんど感じないことが一般的です。ただし、「何も感じないから場所はどこでもよい」ということではありません。骨折部に正しく超音波が届くよう、照射位置と角度を合わせることが重要です。
ギプスやシーネを使用している場合でも、必要に応じて照射窓を設け、固定を保ちながら使用できることがあります。ただし、照射窓を自己判断で開けたり、固定を外したりしてはいけません。医師の治療方針と患部の状態を確認したうえで行います。
「白石接骨院いとう」で超音波を始めるまでの流れ
初回来院時に確認すること
受傷した状況、腫れ方、内出血、圧痛、変形の程度、手術の有無、固定状態、LIPUSを照射できる部位かどうかを確認します。必要に応じて超音波画像で骨表面や周辺の軟部組織を観察しますが、超音波画像だけで骨折を確定するものではありません。
手術創が治っていない場合やワイヤーが皮膚外へ出ている場合などは、感染管理と術後の治療方針を優先します。
LIPUSが感染を起こすという意味ではありませんが、医師の許可が得られるまでは患部への使用を控えます。
整形外科へ紹介する判断
次のような状態では骨折や重い損傷を疑い、整形外科での画像検査を優先します。
- 明らかな変形がある
- 腫れや内出血が強い
- 骨の一点に強い痛みがある
- 体重をかけられない、または患部を動かせない
- しびれ、感覚低下、皮膚の色の変化がある
- 皮膚に傷があり、骨折部とつながっている可能性がある
- 固定後も痛みや腫れが強くなっている
皮膚から骨が見える、出血が多い、手足が冷たい・白い、感覚が低下している場合は、早急な医療機関受診が必要です。
固定と超音波を行う時期
骨折が疑われる場合は、まず患部を安定させ、必要な固定を行います。整形外科で骨折部位やずれを確認した後、医師の治療方針を踏まえてLIPUSを開始します。
接骨院で骨折に対する継続的な施術を行う際には、原則として医師の同意が必要です。当院では病院での経過観察と併用しながら、固定状態の確認、LIPUS、関節が硬くなりすぎないための段階的な運動などを進めます。
歩行練習や競技復帰を始める時期
歩行練習や競技復帰を始める日は一律ではありません。骨折部位、骨のずれ、固定方法、画像上の経過、圧痛、腫れ、筋力などを確認して段階的に進めます。
痛みが少ないことだけを理由に固定を外したり、走ったりするのは危険です。超音波を使用していても、荷重や運動の開始時期は医師の指示と患部の状態を優先します。
酸素ルームや加圧式トレーニングの併用について
当院では、状態や回復段階に応じて酸素ルームや加圧式トレーニングを提案することがあります。ただし、LIPUSと併用すれば骨折が必ずさらに早く治ると断定できるものではありません。
受傷直後は固定と医療機関での評価を優先します。加圧式トレーニングや歩行練習は、骨折部へ加わる負担を確認し、安全に実施できる段階から行います。
酸素ルームを受傷後早期から利用できる場合もありますが、手術直後や持病がある方を含め、すべての方に一律で問題がないとは言い切れません。医師の治療方針、全身状態、機器の注意事項を確認して判断します。
酸素ルームについてはこちらをご覧ください。
→酸素ボックスとは?仕組みや効果、さまざまな疑問にお答えします
前腕両骨骨折・ワイヤー固定手術後の経過
ここからは一例として、院長の息子が2026年6月、運動中に手をついて前腕の橈骨と尺骨を骨折し、救急搬送後にワイヤー固定手術を受けた際の経過をご紹介します。
以下は一個人の経過であり、同じ施術や運動を行えば同じ日数で復帰できることを保証するものではありません。
骨折の状態、手術方法、年齢、競技によって経過は異なります。
超音波を開始した時期
手術後はギプスとワイヤーで固定されていたため、当初はLIPUSを使用できなかったため、ギプスからシーネ固定へ変更され、手術創と患部の状態を確認できるようになってから開始しました。
LIPUS開始後は圧痛が徐々に軽くなり、約1週間で圧痛を感じなくなるように。
ただし、痛みの軽減だけで骨癒合したとは判断せず、整形外科での画像確認を継続はマストです。
酸素ルームを利用した経過
酸素ルームは手術翌日からギプス除去後までの44日間、症状を確認しながらほぼ毎日利用しました。
利用中や利用後に患部の痛みなどの異常は無しです。
これは本人の利用経過であり、酸素ルームが骨癒合を早めたと、この一例だけから判断することはできません。
加圧式トレーニングを始めた時期
加圧式トレーニングは術後2日目から、患部のある上半身を避けて下半身に実施。
骨折部へ衝撃や負担が加わらない、小さな動作から行います。
加圧式トレーニングは自己判断で行わず、術後の状態、血栓リスク、持病、服薬などを確認したうえで、医師の指示と専門家による負荷設定が必要になります。
リハビリを始めた時期
指の運動は手術後早期から、医師の指示に従って、強い痛みが出ない範囲で始めました。
日数の経過とともに指の可動域と力が徐々に戻り、ギプス除去前には物をつまめるまでに。
サッカー練習への復帰経過
術後4日目には、転倒や接触を避けられる環境で、リフティングやインサイドキックなどの軽いボール操作を開始。
術後18日目には、接触や転倒の危険があるメニューを除いて練習へ参加し、ダッシュも行いました。
上肢を固定した状態でのサッカーには、転倒による再受傷の危険があります。
この日数を一般的な復帰基準にはせず、必ず担当医の運動許可、骨折の安定性、競技環境を確認してください。
ギプス除去後のリハビリ
ギプス除去後は、医師の指示と画像上の経過を確認しながら、次の内容を段階的に行いました。
- 指と手首の関節可動域運動
- 患部へ加える刺激と負荷の調整
- 加圧式トレーニングによる患部以外の体力維持
2か月を迎える前に練習へ完全参加し、術後61日目には医師から、サポーターを装着したうえで対人練習を行う許可が下りる。
この症例では、固定を守りながら、医師の指示による早期の指運動、患部以外のトレーニング、LIPUSなどを組み合わせて段階的な復帰を進めました。
復帰までの日数には個人差があり、LIPUS・酸素ルーム・加圧式トレーニングのいずれか一つによる成果ではなく、総合的な結果と判断するのが妥当です。
超音波治療で効果を感じにくい理由
LIPUSを使用しても期待した経過にならない場合は、次のような要因が考えられます。
- 骨折部と照射位置が合っていない
- 決められた頻度や時間で使用できていない
- 骨折部が不安定、または固定が適切でない
- 骨折部のずれや欠損が大きい
- 喫煙、糖尿病、栄養状態などが回復に影響している
- 感染や血流障害など、別の問題がある
「超音波の回数を増やせば解決する」とは限りません。
痛みや腫れが強くなる、予定より骨癒合が進まないといった場合は、整形外科で再評価を受けることが重要です。
骨折時の超音波にデメリットはある?
LIPUSは低出力で、照射時の痛みや熱感が少ない治療法です。
一方で「デメリットがまったくない」とは言い切れません。
- 毎日または定期的に使用する時間と通院負担がある
- 自費の場合は費用がかかる
- 照射位置がずれると、目的の部位へ十分に届かない可能性がある
- すべての骨折で効果が保証されているわけではない
- 超音波を使っている安心感から、固定や受診を軽視する危険がある
使用できる部位や注意事項は機器によって異なります。
植込み型医療機器の使用、妊娠、腫瘍、感染などがある場合は、事前に医師や施術者へ必ず伝えてください。
骨折時の超音波に関する質問
超音波だけで骨折は治りますか?
いいえ。LIPUSは骨癒合を補助する治療法です。整復、固定、手術、画像検査、リハビリなど、必要な治療の代わりにはなりません。
超音波を当てると痛みは早く取れますか?
当院では、LIPUSを使用した後に「押したときの痛みが軽くなった」と話される方がいます。
ただし、痛みの変化だけで骨がつながったとは判断できません。
痛みが軽くても、整形外科で画像確認を受け、決められた固定期間や運動制限を守る必要があります。
子どもの骨折にも使えますか?
子どもの骨折に使用される場合も当院では多くの症例であります。
ただし、成長軟骨との位置関係、骨折の状態、機器の添付文書を確認する必要があるでしょう。
子どもは照射中に動いてプローブがずれることもあるため、正しい位置で固定できているか大人が確認します。
子どもに多い若木骨折についてはこちらをご覧ください。
「白石接骨院いとう」の料金はいくらですか?
当院では、骨折に対する超音波を1部位550円で行っています。
通常の施術を受けず、LIPUSの照射のみで来院することも可能です。
骨折の部位や施術内容によって異なる場合がありますので、ご予約時にお問い合わせください。
超音波治療器をレンタルできますか?
当院では、適応や使用方法を確認したうえで、1泊1,100円で貸し出しています。
貸し出し状況や期間については事前にお問い合わせください。
レンタル中は、説明を受けた位置へ決められた方法で照射してください。
痛みが軽くなっても自己判断で固定を外したり、運動を再開したりしないようにしましょう。
超音波治療は健康保険の対象ですか?
医療機関では、骨折の状態、手術内容、治療開始時期、難治性骨折かどうかなど、定められた条件により保険適用となる場合があります。すべての骨折が対象になるわけではありません。
また、病院の診療報酬上の取り扱いと、接骨院での施術料金は同じではありません。当院でのLIPUSは自費で行っています。
病院での適用については、受診している医療機関へご確認ください。
当院では健康保険の適用状況にかかわらず、1回550円の自費料金です。
使用頻度は骨折の状態、医師の治療方針、通院状況を確認してご案内します。
自宅で気をつけること
- 固定を濡らしたり、自己判断で外したりしない
- 指示された荷重や運動の範囲を守る
- 喫煙を避け、たんぱく質、カルシウム、ビタミンDなどを含むバランスのよい食事と十分な睡眠を心がける
- 腫れ、痛み、しびれ、皮膚の色を毎日確認する
- レンタル機器は説明された位置と時間で使用する
固定後に痛みや腫れが急に強くなる、指先や足先が白い・紫色になる、冷たくなる、しびれが増す場合は、固定による圧迫や血流障害の可能性があります。
すぐに施術者または医療機関へ連絡してください。
骨折の超音波治療まとめ
骨折に使われるLIPUSは、微弱な超音波を骨折部へ照射し、骨癒合を補助するための治療法です。刺激が少なく使用しやすい一方、どの骨折でも同じように治療期間を短縮できるわけではありません。
大切なのは、整形外科で骨折の状態を確認し、適切な整復・固定・経過観察を受けたうえで使用することです。白石接骨院いとうでは、医療機関での画像確認と治療方針を大切にしながら、固定状態の確認、LIPUS、段階的なリハビリを行い、仕事やスポーツへの復帰を支えます。
骨折後の超音波治療やレンタルについて知りたい方は、現在の診断内容や固定方法がわかるものをご用意のうえ、ご相談ください。
参考資料
白石市周辺で、骨折・捻挫・肉離れから早期復帰を目指したい方へ
白石接骨院いとうでは、超音波による患部の状態確認やオステオトロンなど、症状や回復段階に合わせた施術に対応しています。
