昔と今の過呼吸症候群〔過喚起症候群〕の対処方法の違い
カテゴリー:お勉強シリーズ
この記事は約 6 分で読めます。
皆様こんにちは! 仙南 白石接骨院いとうの院長、伊藤良太です。
本日は女性に多く、運動選手や精神的不安時に起きやすい過呼吸症候群〔過喚起症候群〕ついて書かせていただきます。
Contents
過呼吸症候群(過換気症候群)とは?
精神的不安や極度の緊張などにより過呼吸の状態となり、血液が正常よりもアルカリ性となることで様々な症状を出す状態です。
過呼吸症候群(過換気症候群)の症状とは?
過呼吸は通常30分~1時間ほどで自然と改善し、後遺症を残すこともありません。
結果だけで考えると予後良好な疾患ではありますが、発作中は非常に苦しく「このまま死んでしまうのではないか」という非常に強い恐怖に襲われます。
発作の恐怖は軽視できるものではなく、過呼吸は軽く扱ってよいものではありません。
実際私も目の前で友人が過呼吸を起こした際には非常に焦りました。
とても切羽詰った呼吸で、すぐに異常な呼吸とわかるくらい早く、浅く、そして本人にもどうすることも出来ない状態となっていました。
一度過呼吸を経験すると、「次にも過呼吸が起こったらどうしよう…」という恐怖感も覚えてしまいます。
以前過呼吸を経験した時の状況を覚えていたり、起きた場所に再び行った時などの記憶が誘発し過呼吸が起こってしまうという悪循環にもなりかねません。
例〕
・試合で緊張する場面
・生理時などの強い痛みを感じたとき
・精神的に不安感を強く感じているとき など
ですが過呼吸は、正しい対処法を知っていれば恐れる必要はありません。
正しい対処法を知り、行うことで、「またなっても大丈夫」という安心感が生まれ、安心感が過呼吸を起きにくくしてくれます。
本日は過呼吸発作が生じたときの正しい対処法をご紹介します。
昔はよく用いられていた方法が実は間違っていた対処法もご紹介します。
過呼吸が起きているときの身体の状況
発作はとても苦しいもので自分では「何か重大なことが身体に起きている」と感じます。
初めて症状を経験した時は、実際にこれが本当に過呼吸なのかと判断に迷うと思います。
発作は「息が吸えないのではなく、吸えない「感覚」に襲われているだけ」ということも理解しておきましょう。
病院での検査でも、酸素濃度は全ての症例で正常以上を計測してるというデータもあります。
本人には難しいかもしれませんが、周りも落ち着いて対処することが初期の対処法としてとても大切なことですね。
過呼吸が起きた時の対処法は?
過呼吸発作は、通常は30分~1時間で、特別な対処をしなくても自然と治まり、後遺症が残ることもありません。
1時間以上続くことは極めて稀です。
初めて経験した場合は自己判断せず一度は救急外来や内科などを受診し検査を受けると良いでしょう。
では対処法を順次紹介していきます。
1〕待つこと
過呼吸は待つことで自然と治まります。
ピークは30分前後で、病院に着いたら落ち着いた、なんてケースも多いようです。
実際に友人がなったときも病院に着いた頃には落ち着き始めていました。
ここで先ほども書きましたが、落ち着いて「必ず治まるから大丈夫」と焦らないこと
2〕ゆっくりと浅い呼吸を意識する
過呼吸時の症状は特に二酸化炭素濃度の低下が関係しています。
すると、意識がボーッとし、動機や胸痛、手足の痺れや痙攣が生じます。
これらの症状を改善するには、二酸化炭素濃度をあげる必要があります。
その方法として、「ゆっくり、浅く」の呼吸がとても有効的です。
ポイントは「浅く」です。
呼吸自体は十分すぎるくらいできているので、少ないと感じるくらいのほうが二酸化炭素濃度の上昇を促します。
呼吸は「ゆっくり、浅く」です。
3〕抗不安薬の服用
過呼吸の誘発要因は、不安、緊張、精神的ストレスです。
ですので不安を和らげてくれる「抗不安薬」は有効です。
飲む時のポイントですが、「自分の中で過呼吸が起こりそう…」と感じたときに服用しましょう。
なぜならば、発作時に飲むのはとても難しく、しかも誤飲する危険性があるからです。
ですが抗不安薬は最後の砦として使うべきです。
そもそも過呼吸とは自然と治まるものです。
どうしても必要という時以外は控えたほうがよいでしょう。
抗不安薬は過呼吸発作が起こりそうな時に予防的に服薬するのは意味がありますが、発作が起こってしまったら無理して抗不安薬を服薬したり注射する必要はありません。
過呼吸の人への周囲がすべき接し方
1.一緒に慌てないこと
どんな状況でもそうですよね。
まず慌てない。
過呼吸が起きる原因は、不安、恐怖です。
周りが慌てることで不安や恐怖を増長させてしまいます。
「大丈夫、ちゃんと治るから安心して、落ち着こう」などと安心できる状況、言葉がけをすることで、発作も治りやすくなります。
2.話しかけてあげる
意識を過呼吸に向けないためにも話しかけましょう。
「この姿勢で大丈夫?」
「どこが苦しい?」
「話し声は聞こえてる?分かる?」
など、頻繁に話しかけてあげてください。
話しかけると同時に「呼吸を抑える」はたらきがあります。
人は話している時は呼吸は制限されます。
話をしていると、呼吸が制限されるため、二酸化炭素濃度が上がりやすくなります。
患者さんが話せば話すほど過呼吸は早く改善するということです。
一昔前の間違った対処方法
ペーパーバッグ法はご存知でしょうか?
私の時代も「過呼吸といえばビニール袋」でした。
ですが今は間違った対処法なのです。
ビニール袋で口を覆い、吐いた息をもう一度吸うことで二酸化炭素濃度を上げよう、という考え方です。
たしかにペーパーバッグ法はかなった方法なのですが、現在では推奨されていません。
その理由は、自己判断にて行った結果、二酸化炭素濃度を上げすぎてしまう事があるからです。
二酸化炭素濃度は低すぎても、高すぎても問題です。
血液中の二酸化炭素濃度が高くなりすぎると頭痛や吐き気、めまいなどが生じ、ひどい場合には意識を失うこともあります。
ですので、もしペーパーバッグ法を行うのであれば、リスク回避の為に病院で酸素濃度を測定しながら行うべきなのです。
私もこの記事を書くきっかけはペーパーバッグ法が時代遅れだったと言うことを知ったからです。
日々医学は進歩、もしくは新しいことがわかってきていますネ!
医療従事者としては情報収集をかかせません。
教えてくれた患者さんに感謝です!
ありがとうございます!
皆様のご参考になれば幸いです。
本日もお読みいただきまして誠にありがとうございました☆
関連記事:間違ったストレッチをしないために、知っておくべきこととは?
参考記事:スマホ症候群の原因と予防法、そしてセルフケアの方法とは?
ネットからすぐの予約の空き状況を見たい方はこちら!
(メールなどでやり取りせずに、患者さんのご都合で来院時間を決められます☆)
TEL:0224-25-8611