繊維筋痛症とは?診断・チェック、症状、治療方法も解説。
カテゴリー:身体のいろいろな不調
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身体のあらゆるところに痛みが生じる「線維筋痛症」。
原因がまだ解明されておらず、さまざまな検査でも異常が見られないので、診断が遅れてしまうことが多い疾患です。
今回は、そんな線維筋痛症の診断、チェック方法や症状、治療法を解説します。
Contents
線維筋痛症とは
「線維筋痛症」とは、3ヶ月以上の長期にわたって、身体のあちこちの広い範囲に痛みが出没し、身体の強いこわばりとともに、激しい疲労感、不眠、頭痛やうつ気分など多彩な症状を伴いますが、病気の原因はまだよくわかっていません。
という疾患です。
痛みの強さは軽度のものから耐えられないほどの痛みまでさまざまで、痛み以外の症状も現れます。
30~60代に多く見られますが、全年齢層で起こる可能性があるのです。
日本では約200万人以上の患者がいると言われており、男女比は男1:女4と女性の方が多いと推定されています。
線維筋痛症のチェック方法
線維筋痛症のチェック方法は「これが当てはまれば診断できる」ということではありません。
さまざまな検査をしても異常が見られないので、発見が遅れることも。
以下の項目で当てはまるものがあれば線維筋痛症の可能性があるので、医療機関を受診してみましょう。
- 3か月以上身体のあらゆる場所に痛みがある。
- 原因がわからないけど身体が痛い。
- 身体の痛みの他にも、頭痛や腹痛、不安感などさまざまな症状がある。
時には自律神経失調症と間違いやすく、要因でもそのように診断された方が実は線維筋痛症だった、ということがありました。
頭痛や腹痛、不安感などの感じると心療内科への受診をまずは考えますが、痛みを感じる場合には整形外科への受診が望ましいでしょう。
線維筋痛症の診断方法
線維筋痛症の診断方法には主に2つあります。
- 広範囲(右半身/左半身、上半身/下半身、身体の真ん中)の痛みが3ヵ月以上続いている。
- 身体の18か所の圧痛点を指で押して、11か所以上で痛みが出る。
(11か所に満たなくても、医師の判断で線維筋痛症と診断されることもあります。)
※線維筋痛症は、尿検査や血液検査、CTやMRIなどの画像検査などで異常が見られません。
数値や画像で異常がないことも見逃されてしまう要因と考えられるでしょう。
線維筋痛症の原因
線維筋痛症の原因はまだ明らかになっていません。
しかし、線維筋痛症によって起こる痛みは痛みがある場所に原因があるのではなく、痛みを脳に伝える神経や脳の痛みを感じる機能に問題があると考えられています。
これらに障害が起こることで、通常では何も感じないような弱い刺激でも痛みを感じるようになるのです。
こういった脳の機能障害は、精神的ストレスや外傷がきっかけで起こることが多いとされています。
また、次のような疾患がきっかけで線維筋痛症が起こる場合もあるのです。
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス
- 変形性関節症
- シェーグレン症候群
- 甲状腺機能低下症
- 間質性膀胱炎
当てはまる項目がありましたら、適切な治療と施術を受けるようにしましょう。
線維筋痛症の症状
線維筋痛症の主な症状は身体の痛みですが、痛み以外にもさまざまな症状が見られます。
線維筋痛症の予兆とは
線維筋痛症は、突然身体に強い痛みが出るわけではなく、最初は身体のある部分を押したときに痛みを感じる程度です。
そのため、この段階で線維筋痛症だと気づくことは少なく、だんだん症状が進行してしまいます。
身体の痛み
線維筋痛症の主な症状である「身体の痛み」は、痛みが全身に生じる場合もあれば一部のみに生じる場合もあります。
また、痛みの強さや種類もさまざまで、毎日痛みを感じる人もいれば、天候や季節によって痛みの強さが変わる人も。
線維筋痛症の痛みは、3か月以上にわたって継続的に続くのが特徴です。
内科的症状
線維筋痛症は、身体の痛みに伴って以下のような内科的症状も見られます。
- 不安感
- 抑うつ症状
- 不眠、過眠
- 焦燥感
- 集中力の低下
- 健忘
- 注意力の低下
- 起床時の不快感
健忘などの症状が感じ始めたらすぐに他の疾患の疑いもあるため、早急に医療機関を受診すべきです。
全身的症状
線維筋痛症による身体症状には以下のようなものがあります。
- 手指のこわばり
- 関節痛
- 乾燥症状
- 体重の変動
- 四肢のしびれ
- 筋力低下
- 耳鳴り
- めまい
- 難聴
- 頭痛
- 腹痛
- 直腸障害
このように様々な症状があるため、一つや二つの症状があっても診断までに時間がかかってしまうのも線維筋痛症の難しいところでしょう。
線維筋痛症のステージ
線維筋痛症はステージ1~5に分類され、1が最も軽症で、5が重症です。
ステージ1:身体に痛みはあるが、日常生活に重大な影響を及ぼすほどではない。
ステージ2:痛みが末端部まで広がり、不安感・不眠・抑うつなどが見られ、日常生活に支障をきたす。
ステージ3:激しい痛みが続き、軽い刺激でも激痛が生じる。自力での生活が困難になる。
ステージ4:激痛のため自力で体を動かすことができなくなり、ほとんど寝たきり状態。
ステージ5:意識障害、目の乾燥、直腸障害、尿路感染などの全身症状が見られ、日常生活は完全に不可能となる。
出来るだけステージが低いうちに適切な治療を始めたいものですね。
線維筋痛症と食べ物の関係
線維筋痛症と食べ物の関係には何があるでしょうか。
特にコーヒーとヨーグルトは線維筋痛症と深い関係があると言われています。
コーヒー
コーヒーに含まれている「カフェイン」が、線維筋痛症によって生じる痛みを増幅させると考えられています。
カフェインを摂取することで交感神経が優位になり、痛みを感じやすくなるのです。
そのため、線維筋痛症の症状が強い方はコーヒーをなるべく避けるようにしましょう。
ヨーグルト
ヨーグルトや牛乳などの乳製品や人工甘味料は、線維筋痛症を誘発させるとされています。
ヨーグルトなどを食べ過ぎると腹痛や便秘、下痢などの症状が生じ、線維筋痛症の症状が強くなる可能性があります。
そもそも人工甘味料という「人工的」なものは身体にとって有害ですので、出来るだけ摂取は控えるべきでしょう。
線維筋痛症は難病
線維筋痛症の患者は日本だけでも200万人以上いるとされており、日常生活には支障をきたさない程度の症状の方もたくさんいます。
しかし、最も重症であるステージ5になると、意識障害が見られ自力で動くことが完全に不可能になることも。
早期に治療を開始すれば治癒することもありますが、さまざまな検査を行っても異常が見られないので、発見が遅れてしまうことが多いです。
また、原因が解明されていないので完全に予防することはできません。
現在、線維筋痛症は難病として認定されていませんが、こういった面から考えると難病であると言えるでしょう。
線維筋痛症の治療法
線維筋痛症の治療法には原因がはっきりわからないのに加え、人によって症状が異なるので治療法も症状に合わせた方法となるでしょう。
《薬物療法》
線維筋痛症によって生じる痛み、うつ症状、睡眠障害などに対して薬を服用します。
ただ、全ての方に効果が認められる薬はないので、医師と相談してさまざまな薬を試しながら自分に合う薬を見つけていく流れになります。
《運動療法》
ストレッチなどの運動を定期的に行うことによって、血行が改善して筋肉の代謝がよくなり症状の軽減も。
また、運動することで痛みを調節する物質が増えるとも言われています。
《心理療法》
線維筋痛症は、精神的・社会的ストレスも大きく関係していると言われています。
そのため、精神的症状が見られる場合にはカウンセリングを受けて、少しでも精神的負担を軽減しましょう。
まとめ:線維筋痛症は早期の対策が大切
線維筋痛症は原因がわからず根治治療がないのが現状ですが、早期に治療を行った場合、若年者の線維筋痛症は比較的予後良好となっています。
少しでも身体に異変を感じたら、「いつか治るだろう…」と思わずに出来るだけ早く医療機関を受診しましょう。