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公開日:2024年10月3日

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出産後のお母さんたちは、出産時の傷や違和感、後陣痛、慣れない授乳での痛みやストレスなど、様々な不調が多く大変です。

そういった直後の痛みだけでなく、産後しばらくしてから、身体の節々の関節が痛くなってきた、だるさや重さを感じる、といった声も聞こえてきます。

今回は、そんな産後の関節痛について解説していきます。

院長:伊藤良太
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産後の関節痛はいつまで?

産後の関節痛はいつまで、そしてどこの部位に感じるのでしょうか。

それぞれ見ていきましょう。

手首や指

妊娠中から産後にかけて、手首や指の付け根、腕などが痛くなる人が多いです。

原因としては、赤ちゃんの抱っこやおむつの交換や入浴などで、手首や腕に負担がかかるためと考えられ、腱鞘炎やバネ指といった症状を引き起こす場合も。

腱鞘炎になると腕だけではなく肩にまで痛みが走り、だるくなったり、物を持つと痛くなったりします。

中でも指関節は他の関節に比べ常に酷使されていて、日常生活における家事も大きな負担となっているのです。

短い方では数週間で痛みは治りますが、長い方では授乳や長い抱っこをしている間は痛みを抱えてしまう場合もあるでしょう。

膝の関節は、腰椎や股関節とともに体重を支える役目を担う大切な関節の1つです。

膝関節が痛む理由は、立ったり座ったり、またはお母さんにとってはよくない姿勢でも、赤ちゃんには少しでも良い姿勢や状態にしてあげようと、よくない姿勢になっているのも大きな要因です。

また、産後に骨盤が広がった状態であることが原因で、関節やその周辺の組織に炎症が起きているためとも考えられています

出産の影響で、足がO脚気味になり足先が外に広がることで日々膝に過度の負担がかかり続け、出産直後よりは3~4ヶ月経過した人に多く発生しやすい傾向です。

なかなか治りにくく、放っておくと膝以外に腰や背中の痛みにまで発展することもありますので、我慢せずに適切な対処をしてほしいと思います。

出産後に腰が痛くなるのはいくつかの原因が考えられ、その一つには妊娠中は腹筋が緩む上に、大きくせり出したお腹を支えるために反り腰になっていて、腰に負担がかかった状態です。

腰が反り腰になると腰への負担は大きくなり、ついには痛みとなって現れます。

そして赤ちゃんが生まれる前までいたお腹の中は、出産により隙間が生まれ、その隙間に内臓が下垂することでさらに腰への負担が増えているのです。

内臓下垂と反り腰についてはこちらをご覧ください。

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腰痛を自覚していても育児が忙しくて十分な休養は取れず、メンテナンスや腹筋の強化に費やす時間もありません。

その結果、痛めた腰をかばって無理な姿勢になりさらに悪化する、といったケースも見受けられます。

また、子宮筋腫や子宮内膜症の場合、筋腫が大きくなって周辺臓器や神経を圧迫し、腰の痛みとしてあらわれることもありますので、場合によっては婦人科を受診しましょう。

その他の関節

分娩中は、骨盤や靭帯、関節などが開いて分娩に対応しますが、赤ちゃんの大きさと妊婦さんの骨盤の大きさのバランスが悪いと、負担が大きくなり骨盤が歪んで開いてしまうこともあります。

また、子どもを肩紐や抱っこ紐で抱っこをすれば、肩や首には当然のようにストレスがかかり続け、授乳中も下を向いているので、僧帽筋をはじめとする首・肩甲部の筋肉の血流が悪くなり、固くなってしまいます。

こういった要因により、腱鞘炎になりやすい腕だけでなく、他の関節でも痛みが出る可能性があるのです。

産後の関節痛が起きる理由 

産後の関節痛が起きる理由にはどのようなことがあるのでしょうか?

一つ一つ見ていきましょう。

ホルモン

いくつかのホルモンの影響が考えられます。

【エストロゲンの減少】

エストロゲン(女性ホルモン)の減少により、腱の通り道である腱鞘滑膜が厚くなると、腱鞘滑膜を覆っている組織と摩擦が生じ、痛みとなって現れるのです。

また、エストロゲンは関節包の内側にある関節滑膜(かつまく)や、関節包の外側に存在する靭帯にも影響を及ぼしているため、手のこわばりや節々の痛みを引き起こすことがあります。

【ステロイドホルモンの分泌】

妊娠中は、「ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)」といって、炎症を抑える作用を持つホルモンが大量に分泌されるのですが、出産後はステロイドホルモンが減少するので、痛みが強くなる場合があります。

この影響があるのは数ヶ月で、生理が再開されるとホルモンバランスが安定して痛みはなくなるでしょう。

【リラキシンの作用】

妊娠3ヶ月頃から「リラキシン」というホルモンが分泌され、骨盤・恥骨結合部を緩めて産道を確保し、赤ちゃんが産まれやすくする準備をします。

6ヶ月ほどかけて徐々にリラキシンの分泌は少なくなるのですが、その期間に慣れない沐浴や抱っこなどで身体に無理な力を加え続けていると、関節に負担がかかったまま痛みが残るのです。

体重の増加

妊娠中の体重増加も大きく影響しています。

人によっては臨月には普段より15kgも増えてしまうケースもありますので、関節への負担が増えることは必至です。

数ヶ月で体重が10kgも増えるとなると筋力がつくまで追いつかないために、痛みとなって現れると考えられます。

節への負荷

産後は赤ちゃんの世話のために立ったり座ったりという動作が極端に増え、各関節に負荷を与え、手首や膝や腰などの関節に負担がかかって、炎症を引き起こすケースも見られます

慣れない動きを、赤ちゃんが産まれたとたん始めるのですから、身体にとっては負担でしかありません。

無理をせずに、ご家族や周りに協力してもらいましょう。

筋力不足

妊娠中に筋力が落ちたまま身体を酷使すると、筋肉量よりも動くので痛みとなって身体に現れます

筋力不足で生じた痛みは、身体全体のバランスを崩すため、肩こり・首の痛み・腰痛・股関節痛・膝痛など、関節の痛みにつながります。

筋力は動かないと付きませんので、筋力不足による痛みの場合はある程度の期間が必要です。

産後の関節痛の見分け方と対処法

産後の関節痛の見分け方と対処法、さまざまな関節の痛みについてご紹介していきます。

腰椎ヘルニアや膠原病やリウマチなど、特別な治療が必要な病気の可能性もありますので、「ただ関節が痛い」だけでは済まない場合も。

発熱がある、しびれを感じる、日常生活に支障をきたす、といった場合は、整形外科や内科などを受診して相談してください。

バネ指

指の痛みやこわばりが特徴の「バネ指」は、日常生活で手をよく使う人に多い疾患です。

膨らんだ腱が狭くなった腱鞘のトンネル内をうまく通れずに、指を動かすときにカクンカクンとバネのような動きをしたり、指が曲がらなくなったり、しっかり伸びなくなるなど、腱鞘炎が悪化した状態です。

全ての指に症状が出たり、手根管症候群を併発したりもします。

指に痛みを感じはじめたら、一時的に指を固定して氷水などで冷やすなど、こまめに応急処置を施してください。

痛みが慢性化している時は冷やさずに温めるほうが効果的です。

リウマチ

「関節リウマチ」が知られていますが、患者の中でも若い女性の割合が高いものに「全身性エリテマトーデス」があり、出産後に発病するケースがよくみられます。

リウマチが疑われた場合は血液検査を行い、注射に加えて内服薬も考慮します。

妊娠中には免疫の働きが抑制されるため、関節リウマチの症状が軽くなることがありますが、産後に悪化する場合が多いようです。

また、授乳期間中の服薬については、母乳を通じて赤ちゃんに影響が出ることもあるので、出産後の治療方針を主治医とよく相談してください。

腱鞘炎

腱鞘炎は、筋肉と骨をつないでいる腱、それを固定する腱鞘が擦れたりして起きる炎症です。

回避するには、普段から手首や首や背中に負担をかけすぎないことが大切です。

手首や指を動かす運動神経や、痛みを感じる感覚神経は首から出ていますので、できるだけ手首は真っ直ぐな状態を保ってください。

腱鞘炎に対しては、装具の着用や音波治療を行い、湿布などの外用薬が処方されます。

激痛で子育てに支障がある場合は、ステロイドの腱鞘内注射を行います。

腱鞘炎についてはこちらをご覧ください。

腱鞘炎は安静だけでは治らない!?痛み改善と手術回避のためにできること

膠原病

「膠原病」は、真皮・靱帯・腱・骨・軟骨などを構成する蛋白質であるコラーゲンに全身的に障害・炎症を生じる様々な疾患の総称です。関節リウマチは代表的な膠原病ですが、関節リウマチ単独でその他の膠原病すべて合わせたよりも患者数が多いこと、その他の膠原病に比べると皮膚・内臓病変が少なく、関節症状が主体になること、従って本邦においては比較的最近までは整形外科医が治療の中心にあったことなどから、他の膠原病とは区別されることが多いです。関節リウマチとその他の膠原病は、共に自己免疫が病態背景にあるため、合併することはまれではありません。

膠原病:東京女子医科大学

原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が共通してみられ、出産をきっかけに発病することもあります。

以前から罹患していた場合、症状の重さや服用している薬の種類によっては、妊娠が許可されないこともあるので、医師との相談が必要です。

まとめ:産後の関節痛を予防するために

まずは姿勢に気を付けましょう。

  • 無理な体勢を続けない
  • 赤ちゃんが寝ている隙にストレッチをする
  • 慣れてきたら背すじを伸ばして授乳をする
  • あぐらで座って正しい姿勢でオムツを替える
  • 赤ちゃんを抱くときは前屈みにならず下半身を使うことを意識す
  • 寝るときは横向きではなく仰向けに
  • 赤ちゃんを抱っこするときは腕全体で抱え込むようにする
  • 低い位置にあるものを取るときは腰を曲げずにしゃがむ
  • 温かいお風呂に浸かる

こういった生活上の工夫で、関節痛を防ぐことができます。

関節に痛みを感じたら、ひどくなる前に、接・整骨院などで施術を受けることもおすすめします。

赤ちゃんが生まれた後は生活が急激に変化するので、不調が起こりやすく、身体も精神面も不安定になりがちです。

がんばりすぎないように、お昼寝も含めてよく休み、リラックスすることが必要です。

無理せず適切なケアをして、赤ちゃんとの楽しい毎日を過ごしましょう。

院長:伊藤良太
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