靭帯損傷とは?症状や治療法、早く良くなる方法を解説します。
カテゴリー:お勉強シリーズ
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骨と骨を結び付けて支えて、コラーゲン繊維の一種である靱帯。
靱帯は、骨と骨の位置関係を正しい状態に保つ役割があるので、損傷・伸びるには健康的な毎日を脅かす心配なリスクがいくつもあります。
今回は、「靱帯が伸びる・損傷する」とはどのような状態なのか、早めに治すためにすべきこと、症状や治癒期間などについても合わせて解説していきます。
Contents
靱帯が伸びるとは?
靱帯が伸びる状態とは、【靭帯の部分的な断裂】です。
靭帯は骨と骨の固定力を高めるためにある組織ですので、伸びるという状態にはならないのです。
MRIや超音波(エコー)で、「伸びた」と言われた時には部分的な断裂と受け取って間違いありません。
靭帯損傷ってどういうこと?
靱帯損傷とは、
- 各スポーツ
- 交通事故
などによって関節に大きな力・負荷が加わり、靱帯に損傷が生じることを言います。
靱帯は、骨同士で形成されている関節を横や縦、斜め方向につながっているため、この靭帯部位に過剰な負担がかかって損傷するのです。
靭帯を損傷すると出てくる症状に関しては後ほど詳しくお伝えします。
靭帯損傷しても自然治癒するのか?
靭帯損傷しても自然治癒するのかというのも気になるところだと思います。
靱帯損傷は一般的に、部分断裂のような微細な断裂が一度でも起こってしまうと、自然には元に修復されません。
靱帯の断裂の修復には、手術による治療や超音波による治療機器が必要になります。
当院では【伊藤超短波のオステオトロン】という骨折治療機器にて、靭帯の修復を目的に施術しております。
「骨折治療機器」と表記されていますが、靭帯の修復にも効果があるという報告があります。
また靱帯損傷に保存療法を行っても、関節の安定感が戻らない・日常生活に支障が出ている場合は手術が必要になるケースも少なくありません。
靭帯損傷すると出る症状
靭帯損傷すると出る症状にはどのような症状があるのでしょうか。
靱帯は関節のあらゆる部位に存在しているため、損傷をすると上半身・下半身ともにさまざまな症状が起こります。
ここでは、靱帯損傷をすると出る症状について、膝や足首、指・肘を部位別でご紹介します。
膝
膝の靱帯を損傷して出てくる症状には、
- いつもとは違った不自然な膝の動きを感じる
- 関節内の出血
- 関節の不安定感や動きの制限
- 歩行障害
などがあり、放置をしてしまうと痛みの慢性化や膝に水が溜まって関節水腫が生じるケースもあります。
日常生活に支障がでてきますので、我慢してやり過ごす、なんてことはないでしょう。
足首
足首に生じる靱帯損傷は、捻挫によって最も起こりやすいトラブルで、
- 患部周辺に熱や腫れ
- 動く、体重をかけると痛い
- 動きの制限(しゃがみ動作や正座)
などの症状が出てきます。
捻挫をするとほとんどのケースで靭帯は損傷していています。
捻挫で痛みが出た時には必ず適切な処置を受けたほうが、後遺症を残さずに済むでしょう。
捻挫についてはこちらの記事で詳しくお伝えしています。
→足首捻挫が治らないのは後遺症かも!?リハビリとセルフチェック方法
肘
肘の靱帯損傷で出てくる症状には、
- 押すと痛い
- ある動きになると痛みを感じる
- 肘の内側に強い痛み、つるような違和感を感じる(野球の投球時など)
- 腫れたり熱がある
- 押すと痛い
などの症状があります
肘と膝は横への動きに対応している関節ではありませんので、横からの強い圧力がかかると、外傷性・反復性両方の損傷が起こるのです。
指
指に生じた靱帯損傷で出てくる症状には、
- 損傷を受けてからすぐに手指の痛みが生じる
- 腫れや内出血が出る
- 手指を動かすと痛く、曲げ伸ばしができない
などの症状があり、指の靱帯が完全に断裂している場合は、関節が曲がらなく、または横方向に指が曲がることもあります。
強い衝撃で指の靭帯損傷をした時には脱臼の危険性もあり、実は身近で怖い傷害と言えるでしょう。
靭帯損傷で出た症状を早く治すには
靭帯損傷で出た症状を早く治す方法も、部位別の対処法でご紹介していきます。
膝
膝の靱帯損傷で出た症状を早く治すには、
- サポーターを装着して痛みのない範囲で可動域訓練を行う
- 筋力の低下を最小限にとどめる運動やストレッチ
- 受傷の初期段階では疼痛緩和や安静を促す
- ギプスでの固定
など、保存的な治療やセルフケアを行うことで様子を見ることが一般的です。
靭帯を損傷してしまった動きが靱帯だけでなく、周りの組織も同時に痛めているために腫れや熱感、そのほかの症状が出ています。
炎症を早く抑え、早期に日常生活に戻ることが早く治すことにつながります。
適切な固定や治療・施術、リハビリが必要になりますので、先生にきちんと指導を仰ぎましょう。
肘
肘の靱帯損傷が軽度または中度の場合は、
- 安静と固定
- 筋力強化
- 運動時の身体の使い方の修正
などが必要になります。
肘の関節の緩みが顕著だったり、靭帯損傷が完全に断裂している場合は、靱帯を縫合する手術が選択されることもあります。
足首
足首の靱帯損傷によって出てきた症状に対する治療法は様々あり、プロスポーツ選手以外は手術を行うのは稀です。
ほとんどのケースにおいて理学療法が選択され、高度の場合でも1週間~10日間はギプス固定をしたのち、理学療法が行われます。
理学商法とは
- 運動
- マッサージ
- 温熱療法
- 電気
- 水や物理的手段
などによる治療法です。
指
指の靱帯損傷によって出てきた症状を早く治すには、
- 2~3週間程度の固定と安静が基本
- 腫れや炎症、痛みを抑えるために湿布や鎮痛作用のある内服薬を用いる
などの方法で経過を観察し、この期間後に指関節の不安定性が見られない場合は、指を動かす練習を行います。
靭帯損傷した時に出てくる症状の治癒期間
靱帯損傷を生じてしまった場合、治癒期間はどのくらいになるのでしょうか?
靱帯損傷を受けた部位別の目安の治癒期間を参考にしてみましょう。
膝
膝の靱帯損傷は程度にもよりますが、軽度であれば、サポーターをして経過を観察し、6~8週程度で症状は落ち着くでしょう。
中度より症状が強くなると松葉杖と固定を行い、膝への荷重と曲げ伸ばしが制限されます。
運動をしない方は手術をしない選択となり、症状が軽減してくにつれて固定や運動の制限も徐々になくなっていきます。
靭帯の完全断裂で手術をしない方は、当院での施術により3ヶ月ほどの期間を要して普通通りに動けるでしょう。
手術を選択した方は、日常生活に支障なく動けるようになるまでは半年ほどの期間をみてください。
肘
肘の靱帯損傷で出てきた症状は、軽度または中度の場合であれば短期間のギプス・テーピングを施して経過を観察し、リハビリを含めて3ヶ月ほどの期間で運動ができるようになるでしょう。
重度(靭帯の完全断裂)となると手術が選択されますので、年単位での期間が必要になります。
もちろん全ての方が手術を選択するわけではありませんし、運動をしない方は理学療法によって2〜3ヶ月ほどの期間で日常生活には支障がなくなりますのでご安心ください。
足首
足首の靱帯損傷によって出てきた症状の治癒期間は、
- 軽度:3〜10日程度(最も速いのは翌日)
- 中等度:2〜3週程度
- 重度:長い時には2ヶ月を要することも
が目安になります。
放置しているとこれよりも長い期間を要します。
痛みを感じた時には必ず先生に見てもらいましょう。
指
指の靱帯損傷によって出てきた症状の治癒期間は、
- 軽度で3日程度
- 中度では1~3週
- 重症の場合は1~3ヶ月程度
かかることがあります。
固定期間を適切に施さないと指の変形や指が曲がらないなどの後遺症を残します。
腫れて痛みを伴う時には必ず適切な処置を受けましょう。
靭帯損傷した時の症状チェック
靱帯損傷した時の症状をチェックしておくと、いつもとは違った状態を早めに理解して正しいセルフケア・病院などでの治療もスムーズになります。
靱帯損傷をした時の、部位別の症状のチェックポイントを一緒に見ていきましょう。
膝
- ヒザに脈打つような痛みが生じている
- 腫れや関節内出血が生じている
- 膝が伸ばせない
- 不安定感
迷わずに病院でMRIを撮ってもらいましょう。
肘
- 転倒後に手をついてから肘を動かすと肘の内側に痛みを感じる
- 引き戸を閉めたり開けると肘の内側が痛む
- ボールなどを投げる際に肘の内側に痛みを感じる
ケガ以外では野球のピッチャーが多く肘の靭帯を痛めてしまいます。
肘に違和感があるうちに適切な処置を受けてほしいです。
足首
- 足関節を内側・または外側に捻った
- 体重をかけると、歩くと痛みがある
- 熱感や腫れが見られる
足首の靭帯損傷は、ほとんど捻挫によって起こります。
足首を内側・外側に捻ってしまい、痛みや腫れ・熱感がある時には靭帯を損傷したとみて間違い無いでしょう。
放置せずに治療・施術を受けてくださいね。
指
- 指の曲げ伸ばしで痛みがある
- 内出血や腫れがある
日常生活ではドアや布団などの布に指を引っ掛けて、スポーツではボールに指をぶつけて指の靭帯を痛めるケースが多いです。
何かしらの衝撃を指に受けてしまった時には靭帯の損傷を疑ってよいでしょう。
靭帯損傷に関する疑問アレコレ
靱帯損傷に関する疑問をここでまとめて解説していきます。
「靭帯損傷」と「伸びる」って何が違うの?
靱帯損傷と伸びることには、
- 靱帯損傷:靱帯に耐え切れないほどの強い力が加わり、完全または大きく断裂した状態
- 伸びる:靱帯が微細・部分的に小さく断裂した状態
という違いがあります。
たとえ小さい断裂でも「部分断裂です」とドクターに言われると患者さんはビックリして、かなりひどい状態だと思ってしまいます。
靭帯は損傷しているけども、それを伝えなければいけません。
柔らかい表現で伝えようとして「切れた」ではなく、「伸びた」という言葉を使っているのでしょう。
そして、完全断裂以外の部分的な断裂の程度を見極めるのが難しいということも、端的に伝えられる「伸びた」という表現が使われるもう一つの理由かもしれません。
靭帯損傷しても歩けるのはナゼ?
靱帯損傷をしても歩けるのは、
- 靱帯には痛みを感じる神経が無いため
という理由があります
たとえ靭帯を損傷しても、関節内にある靭帯以外の組織が大きく損傷していなければ、膝でも足首でも歩けます。
靭帯には痛みを感じる神経が無いため、靭帯以外の組織が痛みを感知しているので、程度によっては靭帯を損傷しても普通に動けるのも珍しくないのです。
いつまで痛みが続くのはナゼ?
靱帯損傷の痛みがいつまでも続いてしまうのは、
- 「すぐ良くなるだろう」という油断や安心で症状を放置してしまう
- 自己判断での間違ったセルフケア
などの原因が考えられています。
先ほども書いた通り、靭帯には痛みを感じる神経がありません。
そのため周りの組織の修復がいつまでも続くと、痛みも続いてしまうのです。
痛みを感じている場合には放置はせずに、きちんとして対処と処置が必要になります。
【まとめ】靭帯損傷したらきちんと治しましょう
靱帯損傷をしたら、患部を動かさないように安静を維持し、早めに先生にみてもらうことが治癒期間を早めるポイントになります。
運動選手は身体の使い方の改善と修正、そして治療や施術を、運動をしない方は靱帯(関節)に、負荷をかけない動きを心がけていきましょう。