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公開日:2024年9月26日

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後十字靭帯損傷(こうじゅうじじんたいそんしょう)は、太ももの骨とすねの骨の間に付いている膝関節内の靭帯が、何らかの衝撃を受けて損傷を受けた障害のことをいいます。

緑矢印が【後十字靭帯】赤矢印が【前十字靭帯】です。

太ももの骨はわかりやすいように載せていませんが、後十字靭帯は太ももの骨が後に行かないよう(すねの骨は前に行かないように)に付いていて、前十字靭帯は太ももの骨が前に行かないよう(すねの骨は後ろに行かないように)に付いています。

ここでは後十字靭帯損傷の症状について、原因や治療法、リハビリなどを詳しく見ていきましょう。

院長:伊藤良太
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後十字靭帯損傷の症状とは

後十字靭帯損傷の症状には、急性期(受傷後すぐ)と慢性期(受傷後の症状が落ち着いてから)では違いがあり、

急性期では

慢性期には

などがあります。

後十字靭帯損傷を生じると、膝の動きや曲げ伸ばしに関わる他の組織も損傷してしまうケースがあり、靭帯損傷と同時に半月板損傷を起こしていたり、将来的に変形性膝関節症に進行してしまうことも少なくありません。

そのためにも、画像検査は必ず受けるようにしましょう。

半月板損傷変形性膝関節についてはこちらをご覧ください。

半月板損傷のリハビリとは。原因や症状を詳しく解説します。

変形性膝関節症の原因と将来ならない為に今すぐにでもすべきコト

後十字靭帯損傷の原因

後十字靭帯損傷は、膝の下部分が後方に押し込まれるような強い力が加わった際に生じることが原因で、起きやすい場面では

などがほとんどです。

後十字靭帯損傷の治療法

後十字靭帯損傷は症状の経過によって治療法が異なります

ここでは後十字靭帯の治療法について、

それぞれの治療法について見ていきましょう。

痛めてすぐ

後十字靭帯損傷で受傷後すぐの段階では、保存的治療である一定期間過ごします。

後十字靭帯損傷の保存的治療には、

がとられ、サポーターや包帯による固定などを行います。

ケガに対する処置として、必ずと言って良いほど行うRICE処置

目的は

です。

腫れが少なければ早い段階で次の治療・施術が始められるため、早く治るには欠かせない処置です。

RICE処置について詳しくはこちらをご覧ください。

アイシングを効果的にする方法、時間と回数、やりすぎない為の注意点

腫れが大きく出てしまった場合には、注射器にて膝関節内の血腫を抜いて対処するケースもあるでしょう。

腫れが落ち着いてきたら

後十字靭帯損傷による腫れが落ち着いてきた際の治療は、保存療法の場合では太ももからすねにかけて装具を使って固定しながらも可動域改善のアプローチや松葉杖を使っての歩行訓練が行われます。

同時に装具療法と並行しながら、膝の安定性を図るための筋トレも徐々に始めていく流れになるでしょう。

腫れが軽減してくると、靭帯の損傷具合やスポーツの有無なども考慮して手術の検討もされます。

受傷後すぐの段階では腫れが強いため、画像での検査や手術に影響を及ぼすこともあり、腫れを最小限にすることや腫れを早く引かすために固定して安静を図ります。

数日後、改めて画像検査には患部の状態を見極めながら保存療法か手術の検討がなされるでしょう。

腫れが治ってきたら

後十字靭帯損傷の腫れが治ってきた際の治療は、

があります。

腫れが治ってきたら日常生活に支障のあった動作を取り戻すリハビリが始まりますが、筋力低下や固定による身体の使い方の制限のため、自分の身体が思うように動かず、かなりのストレスを感じるでしょう。

焦らずにリハビリを継続すれば以前のように日常生活には支障なく動けるようになりますので、地道に先生と進めてください。

また、保存療法にて腫れが治ってきても

と判断した際には、損傷した靭帯に身体の他の部位の腱を移植して再建する「後十字靭帯再建術」という手術が選択されるでしょう。

後十字靭帯が完全断裂し、今後もスポーツを続ける方のほとんどのケースでは手術が選択されます。

後十字靭帯損傷のリハビリとは

後十字靭帯損傷のリハビリは、

ことが一般的です。

ここでは後十字靭帯損傷の主なリハビリ内容とそれぞれの目的について見ていきましょう。

関節可動域訓練

後十字靭帯損傷の発症後は、固定や安静によって患部の筋力が低下し、膝の可動域が制限された(思うように動かせない)状態となるのがほとんどです。

関節可動域訓練のリハビリは、

ための目的があり、患者さんが自身で行う自動運動、先生が関節を動かす他動運動の両方で行われます。

痛みを伴うケースがほとんどなので、先生と一緒に相談しながら進めてきましょう。

筋トレ

筋トレによるリハビリは、膝の機能の回復と強化を図る目的があり、筋肉がつくことで膝を支える身体のバランスも安定します。

後十字靭帯損傷の筋トレによるリハビリには、

などがあります。

そして早く筋力をつけるには【加圧式トレーニング】がオススメです。

短時間・高負荷・しかもケガのリスクも限りなく低いため、リハビリにはとても適していて、さらに組織の修復も早めてくれる素晴らしいトレーニング方法です。

詳しくはこちらをご覧ください。

加圧トレーニングの効果とは?実は良いことだらけなのをご存知ですか?

ストレッチ

後十字靭帯損傷のストレッチによるリハビリは、凝り固まった関節や筋肉に付着する腱の動きをなめらかにする目的があります。

ストレッチには主に、

などがあります。

全て自力で行えるストレッチですので、動かせる程度に合わせて毎日行っていきましょう。

ストレッチをより効果的に行う、誰も知らない方法はこちらをご覧ください。

間違ったストレッチをしないために、知っておくべきこととは?

歩行訓練

後縦靭帯損傷の歩行訓練のリハビリは、受傷した人それぞれの症状や運動能力に合わせた方法で行われ、

などの器具を使うケースもあります。

ただ現在の手術の方法は以前と比べると侵襲性(身体に与えるダメージが少ない)が低いため、次の日から松葉杖ですぐに歩行訓練を始めるケースが多いです。

侵襲性が低いことと、筋力低下をできるだけ防ぐ狙いと、神経系低下を考慮して早期のリハビリ開始となります。

後十字靭帯損傷の症状についての疑問集

続いて、後十字靭帯損傷の症状に関するさまざまな疑問にお答えしていきたいと思います。

軽度の症状は?

後十字靭帯損傷の軽度の症状には、

などがあるでしょう。

後十字靭帯だけでなく、靭帯の損傷は自然治癒しないため軽度の症状では見逃してしまうケースも珍しくありません。

そして気づかずに放置をしてしまうと、次に大きな衝撃が膝へ加わると重度の状態へ移行するリスクがあるため、軽度でも早期の画像診断を受けることをお勧めします。

靭帯の損傷についてはこちら。

靭帯損傷とは?症状や治療法、早く良くなる方法を解説します。

後十字靭帯損傷しても歩けるの?

後十字靭帯損傷をしても、程度によっては歩けることもあります。

ただ、状態によっては立ち上がれないほど強い痛みが出たり、膝がガクッと抜けたようになる「膝くずれ」現象が起こるでしょう。

軽度の場合は違和感があっても歩けることがほとんどですが、中~重度の場合は普通に歩けるまでは数ヶ月を要する場合がほとんどです

「歩けるから大丈夫」では、年齢を重ねると変形性膝関節症に移行してしまう場合もありますので、衝撃を受けた後から膝に何かしらの症状を感じた際には画像検査を受けることをお勧めします。

変形性膝関節についてはこちら。

変形性膝関節症のしてはいけない運動とスクワットやウォーキングの効果

後十字靭帯損傷のテスト方法は?

後十字靭帯損傷を判断できるテスト方法は、

こちらのテスト方法は、後十字靭帯損傷においてとてもメジャーな方法です。

どこでも確認でき、完全断裂の場合には大きくすねが後方に動くのがわかるでしょう。

軽度では明らかな動きを触知できないため、痛みの出た原因が後十字靭帯損傷が疑わしい時にはMRIにてきちんと確認した方が賢明です。

正座できないのはなぜ?

後十字靭帯損傷で正座ができない理由は、膝を曲げる際の軸となる靭帯が損傷し、膝の後ろ側に詰まり感が出るためと考えられます。

後十字靭帯損傷は正座ばかりではなく、しゃがむ体勢を取れないことがほとんどです。

無理にすると、組織を痛めてしまうため無理に行うのはやめましょう。

全治まではどのくらい?

後十字靭帯損傷は保存療法や手術、そして個人差があるものの、

の期間がおおむねの目安となります。

ご紹介した加圧式トレーニングに加え、酸素ルームも併せて行うとさらに回復時期は早まるでしょう。

酸素ルームについて詳しくはこちら。

酸素ボックスとは?仕組みや効果、さまざまな疑問にお答えします

 リハビリで禁忌(してはいけないこと)なことは?

後十字靭帯損傷のリハビリの禁忌(してはいけないこと)には、次のようなものがあります。

などがあります。

リハビリを行っていると、朝起きたら膝が腫れていたり、昨日できていたことが痛みでできなかったりすることもしばしば起こりうることです。

その際に、同じリハビリを続けるのか、強度や回数を下げて行うのかの判断が難しいですので、先生と相談しながら進めていった方が、結果早く治るでしょう。

自己判断でのリハビリはお勧めしない理由でもあるのです。

まとめ】後十字靭帯損傷の症状について

本記事では後十字靭帯損傷の症状、原因やリハビリ内容などについてお伝えしてきました。

後十字靭帯損傷になってしまったらまずは検査を受け、状態や症状に合わせた治療や施術をすぐに受け、正しいリハビリを継続ながら早期の回復を目指していただければと思います。

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